喘息が動脈硬化の進行を促す?

提供元:HealthDay News

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公開日:2022/12/29

 

 喘息がアテローム性動脈硬化の進行を促す可能性を示唆するデータが報告された。米ウィスコンシン大学マディソン校のMatthew Tattersall氏らの研究によるもので、詳細は「Journal of the American Heart Association(JAHA)」に11月23日掲載された。持続型喘息の患者では、頸動脈の動脈硬化が有意に進行していることが確認されたという。ただし、間欠型喘息の患者では、この関係は非有意とのことだ。

 喘息とアテローム性動脈硬化の病態にはともに炎症が関与していることから、両者に何らかの相互関係がある可能性が想定される。Tattersall氏らは、アテローム性動脈硬化のリスク評価に頻用されている、超音波検査による頸動脈内膜中膜複合体厚(頸動脈IMT)を指標として、喘息の有無により動脈硬化の進行レベルが異なるか否かを検討した。

 研究対象は、アテローム性動脈硬化に関する多民族疫学研究(MESA)の参加者のうち、ベースライン時に心血管疾患のなかった成人5,029人(平均年齢61.6±10.0歳、女性53%)。このうち、喘息でない人が4,532人であり、持続型喘息患者(発作抑制のために毎日薬剤を使用している人)が109人、間欠型喘息患者(発作時の薬剤使用のみで管理されている人)が388人含まれていた。頸動脈IMTについては、1.5mm以上の肥厚、または周辺より50%以上肥厚している箇所がある場合に「プラークあり」と定義した。炎症レベルは、C反応タンパク質(CRP)とインターロイキン-6(IL-6)で評価した。

 まず、炎症レベルに着目すると、CRPは持続型か間欠型かにかかわらず、喘息患者群は喘息のない対照群に比べて有意に高値だった。IL-6については、持続型喘息群のみ対照群より有意に高値であり、間欠型喘息群は対照群と有意差がなかった。

 頸動脈プラークを有する割合は、対照群が50.5%、間欠型喘息群は49.5%、持続型喘息群は67.0%だった。動脈硬化の進行に影響を及ぼし得る因子〔年齢、性別、BMI、喫煙習慣、人種/民族、総コレステロール、HDL(善玉)コレステロール、収縮期血圧、糖尿病、スタチン・降圧薬の処方、教育歴など〕を調整後に、対照群を基準として頸動脈プラークを有する割合を比較。その結果、持続型喘息群は「プラークあり」が83%有意に多いことが分かった〔オッズ比(OR)1.83(95%信頼区間1.21~2.76)〕。間欠型喘息群はOR1.10(同0.87~1.38)であり、対照群と有意差がなかった。

 Tattersall氏は、「本研究により、炎症が動脈硬化と喘息の双方の発症に重要な役割を演じていることが明らかになった。ただし、本研究結果からは因果関係に言及することはできない」としている。また、調整因子に炎症マーカーのIL-6またはCRPを追加した解析でも、持続型喘息群では「プラークあり」のオッズ比が高いという有意性が消失することはなかったことから、「炎症以外にも喘息患者の頸動脈プラーク形成リスクを高める因子の存在が示唆される」と考察。「喘息患者の頸動脈IMTの肥厚には、喘息の罹病期間なども関係しているのではないか」とした上で、「持続型喘息の患者は喘息の管理を継続するとともに、食事や運動に気を付け、血圧・コレステロール・体重をコントロールするなど、修正可能な動脈硬化リスク因子にも注意を払う必要がある」とアドバイスしている。

 Tattersall氏はまた、2019年に米国心臓協会(AHA)が策定した心血管疾患一次予防のためのガイドラインの中に、慢性炎症が心血管疾患リスクと関係しており、臨床医にこの点の留意を求める記載があることに言及。「われわれの研究結果も、あらゆる種類の炎症が心血管疾患リスクを高めるという考え方を支持している」と語っている。

 米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)のGregg Fonarow氏によると、米国成人の約10人に1人が喘息を患っているという。同氏は、「慢性炎症は喘息と心血管疾患の双方に関連しており、今回報告された研究も、その関連性を浮き彫りにしたものと言える。何らかの抗炎症療法がメリットをもたらし得るのか、さらなる研究が必要」と論評している。

[2022年11月29日/HealthDayNews]Copyright (c) 2022 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら