運動により新型コロナワクチンの効果が高まる?

提供元:HealthDay News

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公開日:2022/11/22

 

 運動をよくする人ほど、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン(以下、新型コロナワクチン)の効果が高くなる可能性のあることが、南アフリカで実施された研究で示された。ワクチン接種を済ませた人のうち、週当たりの運動レベルが高かった人ではあまり運動していなかった人に比べて、COVID-19で入院するリスクがほぼ3分の1であったという。ウィットウォーターズランド大学(南アフリカ)臨床医学部のJon Patricios氏らによるこの研究の詳細は、「British Journal of Sports Medicine」に10月24日掲載された。

 今回の研究では、Discovery社の提供する医療保険プランに加入し、同保険加入者の健康増進と行動変容のためのプログラムに参加している18歳以上の19万6,444人の医療記録と運動量を分析して、新型コロナワクチンの接種と運動量との関連を検討した。対象者は、研究開始までの2年間の中等度以上の強度の運動の1週間当たりの平均運動量に基づき、高レベル(150分以上/週)、中レベル(60〜149分/週)、低レベル(60分未満/週)の3群に分類された。いずれの群にも、ワクチン(ジョンソン・エンド・ジョンソン社製のもの)接種者(医療従事者)と未接種者(医療従事者と非医療従事者)が含まれていた。

 その結果、COVID-19による入院に対する新型コロナワクチン接種の予防効果は、高レベル群で85.8%、中レベル群で72.1%、低レベル群で60.0%であったことが明らかになった。COVID-19による入院リスクは、低レベル群に比べて、中レベル群では1.4倍、高レベル群では2.8倍有意に低かった(いずれもP<0.001)。

 こうした結果についてPatricios氏は、「運動レベルとワクチンは、運動レベルが高いほどワクチンの有効率も高いという用量反応関係にあることが示唆される」と述べている。研究グループは、「人々に向けて、ワクチン接種後の効果を高めてCOVID-19の重症化や入院のリスクを軽減するためのシンプルかつ安価な方法として、運動を推進するメッセージを出すべきだ」と付け加えている。

 ただし、運動量が新型コロナワクチンの効果を高める理由については、明らかになっていないという。研究グループは、運動することにより、ワクチンに反応して産生される抗体の量が増える可能性が考えられるほか、免疫系が新型コロナウイルスを検知して攻撃する能力が高まることも考えられると説明している。

[2022年10月25日/HealthDayNews]Copyright (c) 2022 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら