夜食べると太る原因が明らかに

提供元:HealthDay News

印刷ボタン

公開日:2022/11/21

 

 夜の遅い時間帯に食事を食べると太りやすくなる原因の一端が、米ブリガム・アンド・ウイメンズ病院およびハーバード大学医学大学院のFrank Scheer氏らの研究により明らかになった。食事の時間帯が遅いと、食欲関連ホルモンや深部体温、脂肪貯蓄などに変化が起こることが関係しているという。詳細は「Cell Metabolism」に10月4日掲載された。

 深夜に食事をすると肥満になりやすいことはよく知られているが、これまでその理由はよく分かっていなかった。Scheer氏は今回の研究結果を基に、「食事の時間帯を遅くし、それ以外の生活パターンが全て同じままだと、消費エネルギー量が減り、食欲が増進し、体重増加につながる脂肪組織の変化が現れる」と、そのメカニズムを解説。そして、肥満リスクを高めないための対策については、「早い時間帯に食事を取ることだ」と話している。

 Scheer氏らの研究は、16人の肥満成人(平均年齢37.3±2.8歳、女性5人、BMI28.7±0.6)を対象に、クロスオーバーデザインで行われた。研究室に連続6日間(後述の2条件の合計では12日間)宿泊してもらい、決められたスケジュールに従って生活してもらった。

 比較した2条件のうち一つ目では朝食を8時に食べ、二つ目の条件ではそれより250分遅い時間帯に朝食を取ってもらった。朝食から昼食、および昼食から夕食の間隔は両条件でそろえ、また食事内容および就床・起床時刻も一致させた。試行する順序は無作為化し、また2条件の試行の間に3週間以上のウォッシュアウト期間を設けた。研究期間中、参加者は空腹と食欲の程度をビジュアルアナログスケールで記録し、各条件の3日目と6日目には1時間ごとに採血をしたほか、体温、消費エネルギー量の計測、および5日目には脂肪組織の生検が行われた。

 この研究の結果、250分遅く食事をスタートする条件では、肥満につながるさまざまな現象が起きることが確認された。例えば、空腹感の亢進、消費エネルギー量の低下、食欲刺激ホルモン「グレリン」の増加と食欲抑制ホルモン「レプチン」の減少、深部体温の低下、脂肪組織の分解を抑制するように働く遺伝子発現の変化などが認められた。

 なお、この研究は前述のように、食事のタイミング以外は変更しないという設定で行った。実生活では夕食を遅く食べることに伴い、生活パターンにも変化が現れると考えられる。Scheer氏は「われわれの研究で認められた変化が、日常生活下でも生じるのかを確認するため、さらなる研究が必要」とした上で、「実生活では食事時間の変更に伴い睡眠時間や睡眠の質、日中の身体活動量なども変化し、それらも体重に影響を与える可能性がある」と考察している。

 本研究について、米ワイルコーネル医科大学のLouis Aronne氏は、「これまでの研究では、1日の早い時間帯に食事を取った場合、体重が減ることが示されている。さらに本研究により、総摂取エネルギー量が等しくても、遅い時間帯に食べると体重増加につながるメカニズムが示された」と論評。また、「夜型の生活の人に朝食欠食者が多いのは、夕食の時間帯が遅いために、朝は空腹でないのかもしれない。夜の食欲を抑えるために、朝食と昼食をしっかり取るとともに、その時間帯を早めてはどうか」と提案している。

 米ニューヨーク大学(NYU)の元教授で食品・栄養・公衆衛生学の専門家であるMarion Nestle氏も、「食事の時間帯を早めることは、万能の減量法ではないかもしれないが、人によっては役立つ可能性がある。体重を減らしたい人は、自分に合った手段を見つける必要があり、夜遅い時間帯に食事をしないという方法は、試すだけの価値がある」と話している。

[2022年10月6日/HealthDayNews]Copyright (c) 2022 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら