SNSで健康情報を共有する前に自問すべき5つのポイント―AHAニュース

提供元:HealthDay News

印刷ボタン

公開日:2022/11/15

 

 健康に関する情報を求めてSNSなどのソーシャルメディアを利用する人が増えているが、それとともに誤った情報が増加し、その影響が深刻化している。専門家は、誤った医療情報を淘汰するために、情報投稿者には投稿前に踏むべきステップがあると指摘している。

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する不正確な情報が氾濫したことを受けて、米公衆衛生局は昨年、「健康関連の誤情報に立ち向かう(Confronting Health Misinformation)」というタイトルの勧告を発表した。22ページに及ぶこのレポートの中で、ソーシャルメディアでは情報の正確さよりも他者の関心を引くことが優先され、虚偽の情報が共有される確率は真実の情報が共有される確率よりも70%高いという研究結果が取り上げられている。

 パンデミックの規模はここ数カ月で縮小した。しかし、ソーシャルメディア上の誤った情報がすぐに消え去る可能性は低いと専門家は指摘している。不正確な情報をソーシャルメディアから駆逐するため、健康に関する話を共有する前に自分自身に尋ねるべき、5つの質問を紹介する。

情報源を信頼できるか?

 インターネット時代は、ソース(情報源)が信頼できるか否かの確認が重要だ。何らかの組織の公式サイトのように見えてそうではない、信頼性が低いサイトもあるので厄介だ。誤情報を研究している米ヴァンダービルト大学のLisa Fazio氏は、最善の方法は、サイト情報を批判的に読んだり、いったんそのサイトから離れて他の信頼できる情報源が同じ情報を取り上げているかを確認することだという。

 医療上の誤情報の取り扱いに関する研究論文が、2019年に「Circulation」に掲載された。その著者の一人であり、米テキサス大学サウスウエスタン医療センターの心臓専門医であるJoseph Hill氏も、自分がメッセージを発信する前に、その内容を米国の疾病対策センター(CDC)や食品医薬品局(FDA)、心臓協会(AHA)、メイヨー・クリニックなどの信頼のおけるサイトで精査することを勧めている。

その人だけに当てはまる話ではないか?

 Fazio氏によると、ソーシャルメディアの利用者は、ものごとの全体像を把握せずに、個人的な経験に基づいて「都合の良い部分を切り取った話題」を好む傾向があるという。「個人の経験談は説得力があるが、それが全ての人に当てはまるとは言えず、1回限りの出来事かもしれない」と同氏は語る。また、Hill氏は、「商業活動に関連している個人的体験談には要注意だ」と話す。

感情に訴えるような内容ではないか?

 米公衆衛生局の勧告では、「感情に訴える情報を共有した場合、それは急速に広まり、バイラル(ウイルスのような存在)になり得る」と警告されている。Fazio氏は、「興奮や嫌悪感など、何らかの強い感情を引き起こすような情報は多くの場合、真実でない内容を含んでいる。情報に接した瞬間に心が揺り動かされたとしたら、真実かどうかを確認すべき合図と考えた方が良い」とアドバイスしている。

すぐに投稿する必要があるのか?

 強い感情は切迫感を伴うことが多い。そのような場合は、まず深呼吸して数時間おいてから共有するのが最善だ。「時間をかけて、自分が投稿する理由を考えてみてほしい。情報共有が目的ではなく、フォロワーを獲得したい、または単に人々を楽しませたいといったことではないか?」とFazio氏は述べ、医療情報をそのような目的で発信しないよう警告している。Hill氏は、「共有のボタンをすぐにクリックするのではなく、内容をもう一度確認すべき。時間はかかるが、それは必須のステップだ」と強調する。

自分が知らずに誰かを傷つけている可能性があるのではないか?

 ソーシャルメディアは友人同士の楽しくて無害な空間だと思うかもしれない。しかし米公衆衛生局長であるVivek Murthy氏は、昨年の勧告の中で、「医療上の誤った情報を共有すると、混乱を引き起こし、不信の種をまき、人々の健康を害し、公衆衛生の取り組みを弱体化させる可能性がある」と述べている。そして、「情報を発信しようとする人の決断は、プラットフォーム上の少数の人々だけでなく、多くの人々に影響を与えかねない。何かを共有する前に、自分の行動は人々に役立っているのかを考えてみてほしい」と付け加えている。

 一方、Hill氏はもっとストレートに、「医療上の誤った情報は命を奪う」と言い切る。「この点を無視して勝手気ままに情報を扱うことは、自分自身に振りかかる危険を無視することにほかならない」と同氏は語る。

[2022年10月14日/American Heart Association] Copyright is owned or held by the American Heart Association, Inc., and all rights are reserved. If you have questions or comments about this story, please email editor@heart.org.
利用規定はこちら