腎結石の再発予防のための食事とは

提供元:HealthDay News

印刷ボタン

公開日:2022/09/22

 

 腎結石の痛みを経験したことのある人なら、目がくらむほどの激痛を二度とは経験したくないと思うことだろう。腎結石の再発予防に役立つ可能性のある食事スタイルが報告された。米メイヨー・クリニックのJohn Lieske氏らが行った前向き研究の結果であり、詳細は「Mayo Clinic Proceedings」に8月1日掲載された。

 Lieske氏らは、腎結石の再発に食事スタイルが関与しているか否かを検討するために、2009年1月~2018年8月に腎結石の痛みのために同院で治療を受けた411人と、比較対照群384人の食物摂取状況を把握した上で、4.1年(中央値)追跡した。その結果、腎結石既往群の73人が追跡期間中に症状を再発した。

 Cox比例ハザードモデルで、BMI、水分摂取量、摂取エネルギー量の影響を調整した解析の結果、カルシウムおよびカリウムの摂取量が少ないことが、腎結石の症状再発の有意な予測因子として特定された。調整因子に処方薬やサプリメントの利用などを加えても、カルシウムの摂取量が少ないことは引き続き、腎結石の症状再発の有意な予測因子だった。一方、カリウム摂取量が少ないことは、サイアザイド系利尿薬やカルシウムサプリメントを使用していない人でのみ、有意な予測因子として特定された。

 この結果からLieske氏は、「腎結石の痛みを経験したことがない人は、食事スタイル変更のモチベーションはあまり高くないかもしれない。しかし、痛みを経験したことがある人が再発を避けたいと考えるのなら、食事に気を付けるべきだ」と述べている。また、再発予防のために重要なもう一つのポイントは、水を十分に飲むことだという。今回の研究では、水分摂取量は再発予測因子として特定されなかったが、それは、腎結石既往群の患者はその大半が医師から指導を受けて、積極的に水を飲んでいたためと考えられるという。

 腎結石の痛みによる治療を受けた人の5年以内の再発率は、約3割に上ると報告されている。腎結石は耐え難い痛みだけでなく、慢性腎臓病や骨粗鬆症、心臓病などのリスクとの関連も示唆されている。では、腎結石の再発予防には、どのような食事スタイルが良いのだろうか?

 今回の研究で再発リスクとの関連が明らかになったカルシウムとカリウムのうち、カルシウムについてLieske氏は、「低脂肪乳製品からの摂取を中心に、毎日1,200mgを取ることが理想的だ」としている。この値は、米国農務省(USDA)の成人向けの推奨値でもある。一方、カリウムについてUSDAは明確な推奨値を示していない。Lieske氏は、「果物や野菜をたくさん食べることのメリットが、多くの研究から示唆されている。果物や野菜にはカリウムだけでなく、腎結石の予防に役立つ可能性のあるクエン酸なども豊富に含まれている」とアドバイスしている。

 一方、本研究には関与していない米ブリガム・アンド・ウィメンズ病院のGary Curhan氏は、「腎結石には複数のタイプがあり、最も一般的なタイプはシュウ酸カルシウム結石だ」と解説。その予防には、十分な水分の摂取と、カルシウムやカリウムの摂取を心がけるとともに、シュウ酸の多い食品の取り過ぎに注意が必要とのことだ。同氏は、「多くの人は腎結石の予防における食事の重要性を意識していないが、実際は極めて重要」と述べるとともに、「腎結石のタイプにより理想的な食事内容が異なるため、腎結石のタイプを評価できる専門家に食事の相談をすることがベストだ」と付け加えている。

[2022年8月2日/HealthDayNews]Copyright (c) 2022 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら