骨髄移植後の生存率が大幅に向上

提供元:HealthDay News

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公開日:2020/02/24

 

 骨髄移植は、多くの血液がん患者の救命に役立つ治療だが、時に致死的な副作用や合併症をもたらす。米フレッド・ハッチンソンがん研究センターの名誉会員であるGeorge McDonald氏らが行った研究から、米国では2013~2017年にかけて、骨髄移植に伴うこれらのリスクは大きく低減している可能性が示された。患者の高齢化や重症化が進んでいるにもかかわらず、2013~2017年の骨髄移植患者の全死亡率は、2003年から2007年と比較して34%低下していたという。研究結果の詳細は「Annals of Internal Medicine」1月21日オンライン版に掲載された。

 今回の研究では、がん専門の医療機関である米シアトル・キャンサー・ケア・アライアンス(SCCA)において、2003~2007年に骨髄移植を受けた患者1,148人と、2013~2017年に骨髄移植を受けた患者1,131人を対象に分析した。

 その結果、2003~2007年の患者群に比べて、2013~2017年の患者群では、移植時点で年齢が高く、健康状態が悪かったにもかかわらず、移植後の全死亡リスクは34%低いことが分かった(ハザード比0.66、95%信頼区間0.56~0.78)。

 骨髄移植に伴うリスクが低減した理由として、McDonald氏は、移植に関連した合併症が減少したことを挙げている。同氏によれば、感染症や肝臓、腎臓、肺の疾患などの合併症で骨髄移植後に死亡するリスクは、過去25年間で30%から11%へと低下しているという。一方、がん再発による死亡リスクにも低下がみられたものの、合併症リスクほどの劇的な変化ではなく、「移植の領域において、がんの再発は依然として大きな課題だ」とMcDonald氏は述べている。

 McDonald氏は「私たち医療従事者は、移植に伴うリスクの問題の改善に努めてきた。この小さな改善の積み重ねが、転帰の大幅な改善につながっていると思われる。今回の研究結果は、25年間に及ぶ臨床研究の成果の表れだ」と述べている。

 また、McDonald氏は、今回の研究は後ろ向きに解析したものであるため、死亡率が低下した理由は明らかになっていないが、「その理由を推測することはできる」と指摘。考えられる理由として、(1)免疫不全状態の移植患者を脅かす感染症の予防、発見、治療の質が向上したこと、(2)致死的な合併症リスクが高い患者を移植前に特定できるようになったこと、(3)移植前治療に毒性の低い化学療法や放射線療法を行えるようになったこと、(4)合併症の一つで、ドナー由来のリンパ球が患者の臓器を攻撃してしまう移植片対宿主病(GVHD)の予防治療が進歩したこと、(5)GVHD治療に用いる免疫抑制薬の減量により感染症が減ったこと、などを挙げている。

[2020年1月29日/HealthDayNews]Copyright (c) 2020 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら