医学生のスマホは院内感染の温床?

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HealthDay News

医学生のスマホは院内感染の温床?のイメージ

 スマートフォンなどの携帯電話は、今や医療現場で欠かせないアイテムの一つとなっている。しかし、医療現場で使用される携帯電話は院内感染の原因となり得ることが、ウエスタン・サンパウロ大学(ブラジル)教授のLizziane Kretli Winkelstroter氏らが実施した研究で示された。同大学の医学生が使用する携帯電話から得たサンプルの40%で、院内感染の主な原因となる黄色ブドウ球菌が見つかったという。この研究の詳細は、米国微生物学会(ASM Microbe、6月20~24日、米サンフランシスコ)で発表された。

 スマートフォンなどの携帯電話は、医療従事者間の連絡や情報共有などで頻繁に活用されているが、実際に細菌やウイルスにどの程度、汚染されているのか、その詳細は不明だ。Winkelstroter氏は、日常的に使用する備品や器具には細菌やウイルスなどの病原菌が付着している可能性があるとし、「肉眼で見えないからといって、軽視すべきではない」と話している。

 そこで、Winkelstroter氏らは今回、この問題を検証するため、同大学の医学生が使用する携帯電話から採取した100サンプルについて調べた。サンプルは、生物医学、薬学、歯学、栄養学、看護学それぞれの課程で学ぶ学生の携帯電話から20サンプルずつ集められた。これらの課程で学ぶ医学生は、感染症の原因となる細菌が付着した物やその表面に直接触る実臨床に近い授業や診療現場に参加していた。

 その結果、100サンプルのうち40%で黄色ブドウ球菌が見つかった。また、分離した細菌のうち85%がペニシリン系の抗菌薬に耐性を示し、半数は物質の表面に付着する能力を有していることも分かった。さらに、分離した細菌の大部分は看護課程で学ぶ学生が使用する携帯電話に付着していたものだった。

 Winkelstroter氏は「医療従事者が使用する携帯電話が、院内に病原菌を拡散する原因の一つであるとすれば憂慮すべきだ」と述べ、「それが薬剤耐性菌であれば治療は困難で、最悪な場合、患者を死に至らしめる可能性がある」と警鐘を鳴らしている。

 この研究には関与していない米ジョンズ・ホプキンズヘルスシステムのLisa Maragakis氏は、米国でも同様に、医療従事者が使用する携帯電話が細菌やウイルスに汚染されていることに「疑う余地はない」と話す。「黄色ブドウ球菌は私たちの皮膚などに常在するありふれた菌だ。スマートフォンを普通に使っているだけでも、さまざまな病原菌に汚染されやすいことは明らかだ」と述べている。

 Maragakis氏によれば、問題は、携帯電話などの個人が使用する電子機器はほとんど消毒されていないことにあるという。同氏は「医療現場に限らず、普段の生活でも携帯電話やタブレットなどのモバイル機器は清潔に保つ必要がある。アルコールで表面を拭きとるだけでも、病原菌を拡散する温床となるリスクは減らせるだろう」と助言している。

 一方、Winkelstroter氏も「携帯電話の利便性から病院内でその使用を禁止するべきではない」とした上で、携帯電話の衛生管理にもっと注意を払うべきだと強調。「医療従事者が、携帯電話の消毒を1日1回以上行うためのガイドラインやマニュアルをまとめる必要があるのでは」と提案している。

[2019年6月24日/HealthDayNews]Copyright (c) 2019 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら

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