アメフトのシーズン前後で学齢期の子どもの脳内に変化

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HealthDay News

アメフトのシーズン前後で学齢期の子どもの脳内に変化のイメージ

 フットボールのプレー中の衝突などで受ける脳のダメージは、たとえ1シーズンでも学齢期の子どもの脳の発達に影響を及ぼす可能性があることが、米テキサス大学サウスウエスタン医療センター放射線科のGowtham Krishnan Murugesan氏らの研究で明らかになった。この予備的な研究の結果は、北米放射線学会(RSNA 2018、11月25~30日、米シカゴ)で発表された。

 この研究は、脳震盪の既往がなく、神経発達や精神的な障害のない9~18歳のフットボール選手60人を対象としたもの。選手のヘルメットに加速度計を装着し、頭部への衝撃の度合いや位置、方向を測定。その情報を用いて参加者を、強い衝撃を受けた群(24人)と衝撃の程度が低かった群(36人)に分けて、シーズン前後に実施した機能的MRI所見を比較検討した。

 その結果、シーズン中に頭部に強い衝撃を受けた選手は、脳震盪を起こしていなくても灰白質の体積が大きいことが分かった。Murugesan氏らによれば、脳の神経細胞はシナプスと呼ばれる部位を介して結合するが、いったんシナプスが形成されると必要な結合は強められ、不要な結合は除去されるシナプスの「刈り込み」が行われている。しかし、脳の灰白質の体積が大きいということは、このシナプスの刈り込みが十分に行われず、脳が本来の機能を果たせていない可能性を意味するという。

 また、Murugesan氏らは、灰白質内の深い場所にあり、何もしない安静時だけ活動が活発になる複数の脳の領域で構成される「デフォルトモードネットワーク(DMN)」にも着目した。このDMNは社会的な行動やそのコントロールに重要な役割を果たしていると考えられている。解析の結果、頭部に強い衝撃を受けた群ではDMNが有意に活動していることが分かった。

 この結果について、Murugesan氏は「灰白質でシナプスの刈り込みが十分に行われていれば、脳が効率的に機能できるため、DMNの活動は低下するはずだ」と説明している。ただ、灰白質への影響が一時的なものかどうかは不明で、「9カ月のオフシーズン後には元の状態に戻る可能性もある」と同氏は述べている。

 専門家の一人で米アセンション・プロビデンス病院のBruce Silverman氏は「今回の研究では、失神や脳震盪を起こさなくても頭部への衝撃によって、脳内に変化が起こっていることが明らかになった」と指摘する。しかし、長期的な影響についてはまだ分かっておらず、子どもたちは今すぐフットボールを止める必要はないとしている。

 一方で、今回収集された加速度計のデータからは、練習中に頭部への衝撃が多く起こっていることが示唆されており、「安全のためには練習内容を変えることも一つの方法だ」とMurugesan氏は強調している。また、Silverman氏は、動きやすいパッド類が開発されたことで、かつてよりも選手の動きが素早くなってきていることも問題点の一つに挙げている。そのため、同氏は「親は子どもにヘルメットやパッドをきちんと装着させ、また、指導者は頭部外傷を監視し、適切に対処する訓練を受けることが重要だ」と述べている。

[2018年11月26日/HealthDayNews]Copyright (c) 2018 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら

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