がん放射線治療前の外用薬使用は安全か

提供元:
HealthDay News

がん放射線治療前の外用薬使用は安全かのイメージ

 放射線治療を受けるがん患者の多くは皮膚障害のために保湿剤を使用しているが、治療前には皮膚に何も塗らないようにとアドバイスされることが多い。今回、米ペンシルベニア大学のBrian Baumann氏らによる研究から、こうした一般的なアドバイスに反し、放射線治療前に保湿剤などの外用薬を使用しても適量であれば安全である可能性があることが示された。研究の詳細は「JAMA Oncology」10月18日オンライン版に発表された。

 この研究には関与していない米ノースウェル・ヘルスがん研究所の放射線腫瘍医であるLucille Lee氏によると、放射線治療前に皮膚に外用薬を塗っていると、皮膚に吸収される放射線量が高まり、皮膚症状が悪化する可能性があると考えられているという。こうした皮膚症状は、特に乳がんの放射線治療の主な副作用の一つとなっている。

 研究を実施したBaumann氏らによると、米国ではがん患者の約3分の2が放射線治療を受けているが、その約90%が皮膚の発疹や熱傷といった放射線皮膚炎を経験する。そのため、皮膚炎症状を軽減するために医療用や市販の保湿剤を必要とする患者は少なくない。

 そこで、同氏らは今回、医師や看護師、患者を対象にがん放射線治療前の外用薬の使用に関する調査を実施した。その結果、回答した医師と看護師(計105人)の91%が放射線治療前には患者に保湿剤を使用しないよう指示しており、患者(133人)の83%が主治医からそのような注意を受けたと回答していたという。

 しかし、Baumann氏は「このような注意喚起は、放射線治療が行われるようになった時代からそのまま続いているに過ぎない。しかし、現代の放射線治療では皮膚の放射線曝露量が低いため、こうした注意喚起は不要ではないかと考えられた」と説明している。

 Baumann氏らはさらに、この仮説を検証するためマウスを用いた実験を行った。実験ではAquaphor(アクアフォー)という製品名で市販されているOTCの軟膏と、医師の処方が必要な医療用医薬品であるスルファジアジン銀クリームを使用した場合の放射線の吸収量を、最新のデバイスを用いて測定した。その結果、使用量が過度に多くなければ軟膏やクリームによる皮膚の放射線吸収量の増加は認められないことが分かった。

 この結果を踏まえ、Baumann氏は「放射線治療を行う前に外用薬を使っても安全であることが示された。それによって放射線治療を受ける患者の生活の質(QOL)が向上する可能性がある」と説明している。ただし、同氏は、外用薬は適量にとどめ、あまり厚く塗るのは避ける必要があると付け加えている。一方、Lee氏は外用薬の量が多いか少ないかの判断は患者の主観的なものであるため、放射線治療前に外用薬を使用する際には医師に相談すべきだとアドバイスしている。

[2018年10月18日/HealthDayNews]Copyright (c) 2018 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら

掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。)