日本の精神科診療におけるデキストロメトルファン乱用者の特徴

提供元:ケアネット

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公開日:2026/04/09

 

 近年、日本の精神科臨床現場において、市販薬(OTC)の乱用が増加している。千葉病院の谷渕 由布子氏らは、日本におけるコデイン(COD)乱用者とデキストロメトルファン(DXM)乱用者を比較することにより、DXM乱用者の臨床的特徴を明らかにし、この集団に必要な支援策を検討するため、本研究を実施した。Neuropsychopharmacology Reports誌2026年3月号の報告。

 本研究では、2024年の精神科入院施設における薬物関連障害に関する全国調査のデータを使用した。データベースから、主にCODを含むOTC薬(COD群)とDXMを含むOTC薬(DXM群)を乱用している患者を抽出した。人口統計学的特性、ICD-10のサブカテゴリー、併存する精神疾患を調査し、Fisherの正確確率検定を用いて両群間の比較を行った。DXM乱用に関連する因子は、多変量ロジスティック回帰を用いてさらに分析した。

 主な結果は以下のとおり。

・COD群160例、DXM群72例を分析に含めた。
・COD群と比較し、DXM群では女性と若年層の割合が高く、過去1年以内の薬物使用率、自傷行為または自殺企図の既往歴も高かった。
・また、DXM群では、ICD-10に基づく「急性中毒」および「気分障害(F3)」の併存率が有意に高かった。
・多変量ロジスティック回帰分析では、若年(調整オッズ比[aOR]:2.558、95%信頼区間[CI]:1.218〜5.371)、急性中毒(aOR:2.73、95%CI:1.254〜5.942)、併存する気分障害(aOR:2.201、95%CI:1.146〜4.227)がDXM乱用と有意に関連していた。

 著者らは「これらの知見は、DXM乱用者を支援するうえで、急性期管理、併存する精神疾患の評価、そして自殺リスク評価を含む介入の重要性を浮き彫りにしている。さらに、メンタルヘルスに焦点を当てた自殺予防の視点を取り入れた予防教育および市販薬の販売に関する規制措置が緊急に必要である」と結論付けている。

(鷹野 敦夫)