肥満とがん死亡率、関連する血液腫瘍は

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2025/11/18

 

 肥満は血液腫瘍を含む各種がんによる死亡率の上昇と関連しているが、アジア人集団、とくに日本人成人におけるこの関連のエビデンスは限られている。今回、北海道大学の若狭 はな氏らが、わが国の多施設共同コホート研究(JACC Study)で肥満と血液腫瘍による死亡の関連を検討した結果、日本人成人において肥満が多発性骨髄腫および白血病(とくに骨髄性白血病)による死亡率の上昇と有意に関連していることが示された。PLoS One誌2025年10月30日号に掲載。

 本研究では、わが国の多施設共同コホート研究であるJACC Studyの参加者9万7,073人を対象に、平均17年間追跡調査した。自己申告の身長および体重からBMI(kg/m2)を算出し、低体重(18.5未満)、正常体重(18.5~24.9)、過体重(25.0~29.9)、肥満(30.0以上)の4群に分けた。血液腫瘍による死亡データは死亡診断書から取得した。人口統計学的要因、生活習慣、社会経済的要因を調整したCox比例ハザードモデルを用いて、原因疾患別のハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)を推定した。

 主な結果は以下のとおり。

・追跡期間中に479例が血液腫瘍により死亡し、うちリンパ腫が200例、多発性骨髄腫が107例、白血病が166例(骨髄性白血病106例を含む)であった。
・死亡リスクが正常体重群より肥満群で有意に高かったのは、血液腫瘍全体(HR:1.78、95%CI:1.02~3.11)、多発性骨髄腫(HR:2.75、95%CI:1.09~6.94)、白血病(HR:2.47、95%CI:1.07~5.69)、とくに骨髄性白血病(HR:3.89、95%CI:1.66~9.11)であった。
・BMIとリンパ腫による死亡率との間には有意な関連は認められなかった。

 今回の結果は、この集団において肥満が特定の血液腫瘍における修正可能なリスク因子であることを強調している。

(ケアネット 金沢 浩子)