頭痛は妊娠計画に影響を及ぼすのか?

提供元:ケアネット

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公開日:2025/11/14

 

 頭痛は、生殖年齢の人にとって社会経済的な負担となる一般的な神経疾患である。しかし、妊娠計画への影響についてはほとんど知られていない。埼玉医科大学の勝木 将人氏らは、日本における学齢期の子供を持つ保護者を対象に、頭痛の特徴と妊娠計画との関連性を調査した。The Journal of Headache and Pain誌2025年7月4日号の報告。

 2024年に新潟県燕市の学校に通う生徒の保護者を対象に、学校を拠点としたオンライン調査をプロスペクティブコホートに実施した。調査項目には、年齢、性別、頭痛の特徴、急性期治療薬および予防薬の使用状況、1ヵ月当たりの頭痛日数(MHD)、1ヵ月当たりの急性期治療薬の使用日数(AMD)、頭痛影響テスト(HIT-6)、Migraine Interictal Burden Scale(MIBS-4)、子供の数を含めた。また、「頭痛のために妊娠を避けているまたは避けたことがありますか」という質問を通して、頭痛が妊娠計画に及ぼす影響についても調査した。この質問に対し「はい」と回答した人は、妊娠回避群と定義された。

 主な結果は以下のとおり。

・5,227世帯のうち1,127世帯(21.6%)から回答が得られ、そのうち頭痛を有する保護者からの回答599件を分析した。
・回答者の年齢中央値は43歳(第1四分位数~第3四分位数:40~48歳)、562例(93.8%)が女性であった。
・回答者は、MHD中央値が3日(第1四分位数~第3四分位数:1~4日)、AMD中央値が3日(1~6)、HIT-6中央値が60(58~68)、MIBS-4中央値が4(2~8)であった。
・50例(8.3%)が予防薬を使用しており、492例(82.1%)が頭痛発作時に急性期治療薬を使用していると回答した。
・子供の数の中央値は2人(第1四分位数~第3四分位数:2~2)。
・女性回答者562例のうち、22例(3.9%)が、頭痛のために妊娠を避けている、または避けていたと回答した。
・妊娠回避群では、HIT-6スコア(中央値:58[第1四分位数~第3四分位数:53~64]vs.63[59~66]、p=0.033)、MIBS-4スコア(4[2~7]vs.6[4~7]、p=0.012)が有意に高かった。
・多変量解析では、妊娠回避群は、高齢(オッズ比[OR]:1.16、95%信頼区間[CI]:1.05~1.29、p=0.004)、頭痛持続時間の短さ(OR:0.91、95%CI:0.85~0.98、p=0.016)、MHDの多さ(OR:1.08、95%CI:1.01~1.16、p=0.031)、悪心または嘔吐(OR:6.11、95%CI:1.46~25.60、p=0.013)、音過敏(OR:6.40、95%CI:1.71~23.99、p=0.006)との有意な関連が認められた。
・妊娠回避群では、妊娠中、育児、薬剤による潜在的リスクに関する懸念がより多かった。

 著者らは「頭痛のために妊娠を避けているまたは避けたことがある女性は、一部であった。しかし、このような女性は、発作時および発作間欠期共に重度の頭痛負担を抱えており、頭痛疾患が妊娠計画に悪影響を及ぼしていると感じていた」とまとめている。

(鷹野 敦夫)