ルキソリチニブクリーム、アトピー性皮膚炎への長期安全性・有効性は?

提供元:ケアネット

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公開日:2023/01/18

 

 アトピー性皮膚炎(AD)に対するヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬ルキソリチニブ(本邦では骨髄線維症、真性多血症の適応で承認)のクリーム製剤の安全性・有効性について、長期評価の結果をカナダ・Clinical Research and Probity Medical ResearchのKim Papp氏らが報告した。必要に応じて投与が行われた(as-needed)44週の治療期間中の疾患コントロールと忍容性は本治療が有効であることを示すものであったという。ルキソリチニブクリームのAD治療については、2つの第III相二重盲検無作為化プラセボ対照試験(TRuE-AD1試験とTRuE-AD2試験)で検討が行われ、8週時に安全性と有効性が示されていたが、著者は「今回の試験で8週の結果を確認することができた」とし、また「安全性の所見では、ルキソリチニブの血漿中濃度は低く既知のリスク因子が反映されており、生理学的に重大な全身性のJAK阻害の可能性は非常に低いと考えられる」とまとめている。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2022年11月26日号掲載の報告。

ルキソリチニブクリームのアトピー性皮膚炎に対する有効性を1,072例で確認

 TRuE-AD1試験とTRuE-AD2試験は北米と欧州で行われ、12歳以上、AD罹病期間2年以上、IGAスコア2または3、病変が体表面積(BSA)の3~20%の患者が参加した。

 被験者は、0.75%ルキソリチニブクリーム群、1.5%ルキソリチニブクリーム群、溶媒群に、二重盲検下で無作為に2対2対1の割合で割り付けられ、1日2回の塗布を8週間受けた(VC期間)。被験者は、ベースラインで認められたすべてのAD病変部の改善または消失が認められても治療し続けるよう指示された。

 8週時点で、溶媒群は1対1の割合で実薬群のいずれかに割り付けられ、44週間治療が続けられた(LTS期間)。同被験者には疾患活動性のADが認められる病変部のみ治療すること、病変消失3日後に治療を中止すること、再発の最初の兆候が認められたら治療を再開することが指示された。皮膚軟化剤以外のレスキュー治療は許可されなかった。

 安全性と忍容性は、治療中に発現した有害事象(TEAE)、治療関連AE(TRAE)、重篤なAEの種類と頻度、および治療中止に至ったAEの頻度などが含まれた。疾患コントロールは、IGAスコア0または1を達成した患者割合で定義し、BSAの平均割合も評価(4週ごと)された。

 ルキソリチニブクリームのアトピー性皮膚炎治療の有効性を調べた主な結果は以下のとおり。

・1,249例が無作為化を受け、1,119例(89.6%)が8週のVC期間を完了。このうち1,072例(95.8%)がLTS期間に組み込まれた。
・1,072例(ルキソリチニブクリーム群872例[0.75%群426例、1.5%群446例]、溶媒からルキソリチニブクリーム切り替え群200例)のうち、831例(77.5%)がLTS期間を完了した。ベースラインの人口統計学的特性および臨床特性は、治療群間で類似していた。
・52週時点で、有害事象の報告は、0.75%ルキソリチニブクリーム群(426例)67.4%、1.5%群(446例)62.6%、溶媒→0.75%群(101例)53.5%、溶媒→1.5%群(99例)57.6%であった。
・最もよくみられたAEは、上気道感染(各群10.3%、11.4%、5.9%、7.1%)、上咽頭炎(8.9%、9.9%、7.9%、14.1%)であった。
・重篤なAEの報告は、0.75%ルキソリチニブクリーム群12例(2.8%)、1.5%群8例(1.8%)、溶媒→0.75%群5例(5.0%)、溶媒→1.5%群1例(1.0%)であったが、1例の奇胎妊娠を除き、ルキソリチニブクリームとは関連していないとみなされた。
・適用部位反応はまれであった(各群3.8%、1.8%、1.0%、1.0%)。
・LTS期間を通じて疾患コントロールは達成された。52週時点でIGAスコア0または1の患者は74.1~77.8%であり、平均BSAは低値(1.4~1.8%)であった。

(ケアネット)