母親の産後うつ病と子供のADHDとの関係~メタ解析

提供元:ケアネット

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公開日:2022/10/21

 

 産後うつ病(PPD)は、出産後、女性のメンタルヘルスや気分に重大な影響を及ぼす。これまでの研究によると、家族にとっての不運な出来事や母親の精神症状の出産後のレベルが、子供の注意欠如多動症(ADHD)と関連していることが示唆されている。ギリシャ・アテネ大学のVasileia Christaki氏らは、母親のPPDと子供のADHDリスクとの関連を調査するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。その結果、母親のPPDと子供のADHDとの関連が明らかとなったが、同時にさまざまな地理学的地域におけるさらなる研究が必要であることも示唆された。Journal of Affective Disorders誌2022年12月1日号の報告。

 2021年2月28日までに公表された英語の研究をPsycINFO、PubMed、Google Scholar、Embaseより検索した。分析には、変量効果メタ解析およびメタ回帰分析を用いた。研究デザイン、地理学的地域、調整レベル、研究の設定によりサブグループ解析を実施した。

 主な結果は以下のとおり。

・2003~19年に公表されたコホート研究9件とケースコントロール試験2件のうち、8件をメタ解析に含めた。
・全体として、母親のPPDと子供のADHDリスク増加との関連が認められた(プールされた相対リスク[RR]:1.69、95%信頼区間[CI]:1.27~2.26)。
・サブグループ解析では、コホート研究、多変量解析実施研究、レジストリベース調査において有意な関連が認められた。
・有意な出版バイアスが認められた(Egger's test:p=0.035)。
・開発途上国での研究は、過小評価されている可能性が示唆された。
・本研究のデータは自己報告に依存しており、減少バイアスにより適格研究の妥当性が限界として挙げられる。

(鷹野 敦夫)