COVID-19パンデミック時の不安やうつ症状の有症率とその予測因子

提供元:ケアネット

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公開日:2020/08/06

 

 COVID-19による世界的なパンデミックの効果的なマネジメントのため、厳格な移動制限の実施とソーシャルディスタンスを保つことが求められている。キプロス大学のIoulia Solomou氏らは、一般集団におけるCOVID-19パンデミックの心理社会学的影響を調査し、メンタルヘルスの変化を予測するリスク因子と保護因子の特定を試みた。また、ウイルス蔓延を阻止するための予防策の準拠についても調査を行った。International Journal of Environmental Research and Public Health誌2020年7月8日号の報告。

 社会人口統計学的データ、予防策の準拠、QOL、全般性不安障害尺度(GAD-7)およびこころとからだの質問票(PHQ-9)を用いたメンタルヘルスの状態を、匿名のオンライン調査で収集した。

 主な結果は以下のとおり。

・調査を完了した参加者は、キプロス島在住の成人1,642人(女性の割合:71.6%)。
・重大な経済上の懸念が報告されたのは48%、QOLの有意な低下が認められたのは66.7%であった。
・不安に関連する症状は、軽度が約41%、中等度~重度が23.1%報告された。
・うつ病に関連する症状は、軽度が48%、中等度~重度が9.2%報告された。
・不安やうつ病のリスク因子は、女性、若年(18~29歳)、学生、失業、精神疾患の既往歴、QOLへの悪影響の大きさであった(p<0.05)。
・予防策の準拠レベルは、最も若い年齢層および男性で低かった。
・予防策の準拠レベルが高いほど、うつ病スコアの低下が認められたが(p<0.001)、個人的な衛生状態の維持に関する不安は増加した。

 著者らは「本研究により、COVID-19アウトブレイクがメンタルヘルスやQOLに及ぼす影響が明らかとなった。政策立案者は、効果的なメンタルヘルスプログラムおよび公衆衛生戦略としての予防策を実施するためのガイドラインを検討する必要がある」としている。

(鷹野 敦夫)