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化学眼外傷【いざというとき役立つ!救急処置おさらい帳】第9回

今回は化学眼外傷についてです。洗顔料や洗剤、化粧品などの化学物質が目に入ったという経験は誰でも一度はあると思います。私も皿洗い中に洗剤が目に入って痛い思いをしたことがあります。私の場合は目を洗えば症状が消失しましたが、化学物質の種類や経過によっては失明の恐れがあることが知られているため、ちょっとした受傷でも恐怖を覚える患者さんは少なくありません。救急外来に化学眼外傷の患者さんが来るのはたいてい夜です。日中であれば眼科を受診するため、眼科以外の開業医の先生が診察する機会はまれかもしれません。しかし、万が一来院したときのために初療を知っておくことは重要です。今回は、化学眼外傷患者が受診した際にどのような対応が必要かを解説します。<症例>30歳、男性主訴目に殺虫剤が入った受診2時間ほど前、家に虫が入ったため殺虫剤を使用した。目を離したすきに子供が殺虫剤を使用し、それが患者の顔面にかかった。その後、目がひりひりするため電話で問い合わせをしてから受診。既往歴、アレルギー歴、内服薬、バイタル:特記事項なし両目に結膜充血ありこれは、私が近くに眼科がないとある南方の島の病院で働いていたときの症例です。眼科を受診するためには、船+車で3~4時間程度かかります。「眼科に電話で相談する」が最も適切な回答だとは思いますが今回はそれはナシにして…。眼表面の異物に対して非専門医ができる治療は「洗浄」です。とにかく洗います。上記の症例では電話で問い合わせがあったため、私は「まず10分間水道水で洗ってから来て」と伝えました。化学眼外傷の初療で重要なことは「なるべく早く洗浄して、化学物質を洗い流す」です1)。診療ストラテジー(1)視力評価視力は眼のバイタルサインと呼ばれるほど重要ですので、視力を必ず確認しましょう。視力検査のランドルト環があればよいのですが、なければ「いつもと見え方が違いますか?」と質問し、視力障害がないかを判断しましょう。(2)化学物質の評価次に、何が目に入ったか聞いてpHを調べてみましょう。目に入った成分のpHを調べる最も優れた方法はインターネットで検索することです。多くの患者は眼に入ったものが何かわかっていますので、「商品名、SDS※」もしくは「商品名、pH」と検索すれば大抵の商品のpHはわかります。※SDS:Safety Data Sheet(安全データシート)目に入ったものがわからない、もしくは商品名を調べてもわからない場合は、pH試験紙で眼表面のpHを調べて、正常範囲を逸脱しているかどうかを確認します。人間の眼のpHは大体6.5~7.0、高くて8.0で日内変動があります2,3)。これより大きく外れた場合は緊急性が高いです。眼表面のpHの測定をするには、尿試験紙のpHの部位を当ててもよいですし、pH測定用の試験紙でも構いません。pH試験紙のpHごとの色アルカリだとどす黒くなり、酸性だと明るい赤になります。試しに家にあったハイター(pH12)を試験紙に付けてみたところこんな色でした。ハイターをpH試験紙につけてみたちなみにこの患者さんの目に入った殺虫剤を検索したところ「pH 該当しない」となっていました。そのため眼表面のpHを測定したところ、pH7.0と正常範囲内でした(後日、「該当しないとはどういう意味?」と経済産業省に問い合わせたところ、「本当は掲載しなければならないそうで対応します」と返事をいただきました)。(3)pHで組織障害を推測成分が強酸(pH<4)もしくは強アルカリ(pH>10)の場合は可及的速やかに眼球の洗浄が必要となります。とくに強アルカリの場合、「水酸化イオンと陽イオンに解離し、細胞膜の脂肪酸を鹸化しながら、眼球の上皮、間質、内皮を破壊する」という事象が生じます。わかりにくいのですが、端的に言うと「傷が深い」です。この患者さんは眼表面のpHが正常範囲内なので組織障害は低いと考えました。(4)鎮痛、洗浄治療は洗浄です。とにかく洗うことが重要です。しかし、結膜や角膜に障害が強い場合は、痛みで目が開けられなかったり、水をかけられなかったりすることがあります。その場合は、オキシブプロカイン点眼薬を投与して除痛します。除痛ができたら洗浄を開始します。多くの文献では最低2Lの水道水もしくは生理食塩水での洗浄を推奨しています4,5)。瞼の裏などに洗い残しがあることがあるため、必ず上眼瞼、下眼瞼を順番に反転させて眼球を動かしながら奥まで洗浄しましょう。強酸や強アルカリの成分の場合、化学物質が洗い流されていることを確認することが重要です。洗浄後に再度pH試験紙を使用し、正常pHである6.5~8.0になっていることを確認できれば洗い流せたと判断します。強アルカリはなかなか落ちませんので注意が必要です。ハイターを触ったことがある方は、あのネトネトした感じが洗っても洗っても落ちないという経験があると思います。私は実際にアルカリ眼症の洗浄をしたことがありますが、10Lの生理食塩水で洗ってもまだpH試験紙がどす黒い色をしていました。結局眼科に相談し、さらに10Lを追加して洗いましたが、やはりどす黒く、再度眼科と相談して引き継ぎました。なお、本症例の疼痛は違和感程度であったため、鎮痛薬は使用せず2Lの水道水で洗浄して終了としました。(5)洗浄後洗浄後の対応ですが、私は強酸や強アルカリ成分による外傷、視力障害がある場合は必ず緊急で眼科に相談するようにしています。pHが逸脱していなくても、オキシブプロカイン点眼を使わなければいけないほど疼痛が強い場合は眼表面に強い障害を起こしている可能性が高いので、抗菌薬入りの点眼薬と内服の鎮痛薬を処方して後日眼科に相談しています。オキシブプロカイン点眼薬でなく、内服の鎮痛薬を処方する理由は、オキシブプロカイン点眼薬の連続使用により創傷治癒遅延が生じる可能性があるという報告があるためです。しかし、創傷治癒遅延が起こったと記載しているのは症例報告のみで、近年の複数のメタアナリシスでは有害事象の増加は認めなかったという報告もあり、今後のプラクティスは変化するかもしれません6)。オキシブプロカイン点眼薬の効果はとても良好なので、点眼して痛みがなくなったら「治った」と思い、その後眼科に行かずに悪化したという事例を聞いたことがあるので、もしオキシブプロカイン点眼薬を処方するときは必ず眼科に受診するように念押ししましょう。軽い疼痛や無症状であれば、2Lの水道水で洗浄して帰宅、何かしらの症状が生じるようなら眼科を受診するように指示します。本症例は洗浄後に症状が消失したのでとくに処方はなく、目の見えにくさや目の強い痛みが出た場合は眼科を受診するよう指示しました。化学眼外傷は非専門医にはとっつきにくいですが、なるべく早く洗浄することが重要です。万が一対処が求められたときの参考になれば幸いです。●成分がわからずpH試験紙もない場合眼に入ったものが何かわからず、pH試験紙もない場合はどうしましょう? 何があってもまずは洗浄です。先述したとおり2Lの水道水または生理食塩水で洗浄し、その後は症状に合わせて方針を決めます。軽い痛みで物もしっかり見えていれば洗浄で終了。強い痛みもしくは視力障害があれば、角膜に障害があると考えて眼科に紹介します。●オキシブプロカイン点眼薬がない場合鎮痛用の点眼薬がない施設もあるかもしれません。代替薬として比較的多くの病院にあるのがリドカイン製剤(スプレー、ゼリー、局所注射用)だと思いますが、眼球に滴下し使用することは推奨されていません。これは完全に私の見解ですが、疼痛が強いということは眼表面に強い障害が起きており、洗浄が必要な状態です。リドカイン製剤しかない場合であっても、リスク・ベネフィットを考えてその場にあるリドカインを使用して洗浄しても許容されるのではないかと考えます。●眼洗浄の裏技大量の生理食塩水などで洗い続けるのは大変ですし、洗浄のためにずっとそばにいなければなりません。そのため、ある程度洗浄したところで私は点滴の先を切り取って眼瞼の内側に当てて自然滴下で洗浄します。点滴を用いた目の洗浄1)Gelston CD. Am Fam Physician. 2013;88:515-519.2)佐々木 克哉. 日本眼科學会雜誌. 1995;99:676-682.3)Abelson MB, et al. Archives of Ophthalmology. 1981;99:301.4)Rodrigues Z. Emergency Nurse. 2009;17:26-29.5)Solim MAN, et al. Ther Adv Ophthalmol. 2021;13:25158414211030429.6)St.Louis WUSoMi. Topical Anesthetics for Corneal Abrasions.

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職場での粉じんなどの吸入で関節リウマチのリスクが増大

 職場で吸入する空気により、関節リウマチ(RA)の発症リスクが高まることがあるようだ。カロリンスカ研究所(スウェーデン)のBowen Tang氏らが実施した研究で、職場で蒸気やガス、溶剤などから生じる粉じんやヒューム(物質の加熱や昇華により生じる粉じんや煙霧、揮発性粒子など)に曝されることで、RAの発症リスクが増大することが明らかにされた。そればかりか、そのような物質への曝露は、喫煙や遺伝的にRAになりやすい傾向の悪影響を増長する可能性のあることも示唆されたという。この研究の詳細は、「Annals of the Rheumatic Diseases」に12月6日掲載された。 喫煙がRAの発症リスクを高めることは明らかにされているが、職場で吸入する粉じんやヒュームが同リスクに及ぼす影響については知られていない。そこでTang氏らは、スウェーデンのRAに関する疫学調査(Swedish Epidemiological Investigation of RA)のうち、1996年から2017年の間に新たにRAの診断を受けた患者4,033人と、年齢と性別を一致させたRAのない対照6,485人のデータを抽出。職業性曝露とRA発症との関連を、喫煙やRA発症の遺伝的要因も考慮した上で検討した。職業性曝露については、個人の職歴を精査し、職場の空気中に存在する32種類の物質への曝露量から評価した。また、遺伝的なRAリスクについては、遺伝的リスクスコア(GRS)を算出して、リスクの高い群と低い群に分類した。 RAの検査では、血液中の抗シトルリン化蛋白抗体(ACPA)の有無を調べる。ACPA陽性は、関節の骨の破壊(骨びらん)の進行が早く、予後不良であることを示す。本研究では、RA患者4,033人のうち2,642人がACPA陽性、1,391人が陰性であった。解析の結果、何らかの職業性曝露を経験した人では、ACPA陽性のRAを発症するリスクが25%高いことが明らかになった(オッズ比1.25)。性別ごとにリスクを検討すると、職業性曝露を経験した男性では、あらゆるRA発症のオッズ比が1.40、ACPA陽性RA発症のオッズ比が1.66であるのに対して、女性でのオッズ比はいずれも1.13であり、男性でのリスク増加が顕著であった。 検討対象とした32種類の物質のうちの17種類(アスベスト、石英粉じん、ディーゼル排ガス、ガソリン排ガス、一酸化炭素、防カビ剤など)と、ACPA陽性RAの発症リスク増大との間に強い関連性が認められた。これに対して、ACPA陰性RAの発症と強い関連性を示したのは石英粉じん、アスベスト、洗浄剤など少数であった。また、曝露した物質の数が多いほど、または曝露期間が長いほど、リスクも増大していた。あらゆるRAの発症リスクが最も増大していたのは曝露期間が8~15年の場合であった。さらに、男性は女性よりも多くの物質に長期間曝露する傾向があった。 このほか、職業性曝露、喫煙、GRS高スコアの3つの条件を併せ持つ人では、このような条件に該当しない人に比べて、ACPA陽性RAの発症リスクが16~68倍に上昇することも明らかになった。物質の種類別に見ると、同リスクは、殺虫剤で68倍、ガソリン排ガスで45倍、石英粉じんで32倍、ディーゼル排ガスで28倍であった。 本研究論文の付随論評を執筆した米ブリガム・アンド・ウイメンズ病院のJeffrey Sparks氏は、「今回の研究結果は、RAの発症機序について興味深い手がかりを示すものだ。職場で吸入する物質の種類により、リスク遺伝子や喫煙との反応の仕方は異なる。そのため、これらの物質が本当にRA発症の原因であるのなら、それぞれ異なる経路を介して関与している可能性がある」と同氏は話す。さらに同氏は、「今回の知見は、ACPA陽性のRAがACPA陰性のRAとは大きく異なるという見解を裏付けるものでもある」と付け加えている。

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農薬スピノサド0.9%局所投与、疥癬治療に有効

 要介護者のいる家庭や高齢者施設での感染問題で知られる疥癬は、ヒゼンダニが皮膚に寄生することで生じる伝染性皮膚疾患である。承認されたOTC薬はなく、承認された処方薬にも潜在的な耐性などの欠点があるが、土壌放線菌由来のマクロライド系殺虫剤スピノサドが、同治療薬として有効であることが示された。 米国・LSRN ResearchのJeffrey C. Seiler氏らが2つの無作為化試験の結果を解析し、4歳以上の被験者において、スピノサド0.9%懸濁液の1回局所投与が有効であったことを明らかにした。著者は、「スピノサド0.9%懸濁液は標的局所療法として、ほかに選択肢がほぼない医師や患者にとって新たな疥癬治療の選択肢となる」と述べている。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2021年8月12日号掲載の報告。 研究グループは、2つの対照臨床試験の結果を統合して、疥癬の根絶におけるスピノサド0.9%懸濁液局所投与の有効性を評価した。各試験には、インデックス被験者(疥癬症状が認められる世帯内で最年少の家族)とそれ以外の家族(1世帯最大5人)が包含され、被験者はスピノサド0.9%または溶媒(vehicle)を1回局所投与された。 主要有効性評価項目は、28日目における疥癬が完全に治癒したインデックス被験者の割合であった。追加した有効性評価項目は、臨床的治癒、顕微鏡的治癒、病変数であった。 主な結果は以下のとおり。・28日目に完全治癒を達成したインデックス被験者の割合は、スピノサド0.9%群と溶媒群で同等ではなかった(それぞれ78.1% vs.39.6%、p<0.0001、n=206例)。・追加の有効性解析により、スピノサド0.9%の一貫した治療効果が確認された。・安全性に関するシグナルは観察されなかった。・スピノサド0.9%は角質層(すなわちダニが潜み繁殖する場所)にも到達するため、疥癬の効果的な治療法になる可能性が示唆された。 本研究は、同等性を評価するために少数サンプルサイズを使用しており、結果は限定的である。

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マラリア感染、殺虫剤抵抗性媒介蚊脅威に2つの対策/Lancet

 マラリア対策は、広範囲にわたる殺虫剤抵抗性マラリア媒介蚊の存在によって、進展が脅威にさらされている。英国・ロンドン大学衛生熱帯医学大学院のNatacha Protopopoff氏らは、近年開発された2つのマラリア媒介蚊の対策製品である、共力剤ピペロニルブトキシド(PBO)含有長期残効性殺虫剤ネットと、殺虫剤ピリミホス-メチルの長時間屋内残留タイプの噴霧製品を評価する検討を行った。いずれも、標準的な長期残効性殺虫剤ネットと比べて、ピレスロイド系薬抵抗性媒介蚊によるマラリアが流行している地域で、マラリア伝播コントロールの改善が示されたという。Lancet誌オンライン版2018年4月11日号掲載の報告。クラスター無作為化対照試験で有効性を評価 研究グループは、PBO長期残効性殺虫剤ネットと標準的長期残効性殺虫剤ネットの単独介入の効果を比較し、また、ピリミホス-メチル屋内残留噴霧を組み合わせた場合の効果について、2×2要因デザインを用いた4群クラスター無作為化対照試験を行った。 タンザニア北西部にあるカゲラ州の40村から48集団を集めて、「標準的長期残効性殺虫剤ネット群」「PBO長期残効性殺虫剤ネット群」「標準的長期残効性殺虫剤ネット群+屋内残留噴霧群」「PBO長期残効性殺虫剤ネット+屋内残留噴霧群」の4群に無作為に割り付けた。標準ネットとPBOネットは2015年に配布、噴霧は2015年に1回だけ実施した。住民と血液検体を採取した現地調査スタッフには、受け取ったネットのタイプは知らされなかった。 主要評価項目は、生後6ヵ月~14歳の小児のマラリア感染症有病率で、介入後4、9、16、21ヵ月時点に断面サーベイを行い評価した。屋内残留噴霧の評価のエンドポイントは9ヵ月時点、PBOネットについては21ヵ月時点であった。マラリア感染症の有病率、両製品の単独使用で標準的ネット使用よりも有意に低下 1万560世帯のうち7,184(68.0%)世帯が、介入後調査対象に選択された。また、4回のサーベイの適格児1万7,377例のうち1万5,469例(89.0%)がintention-to-treat解析に包含された。 2つの噴霧群に割り付けられた878世帯のうち、827世帯(94%)が噴霧を受けた。長期残効性殺虫剤ネットの使用は全体で、1年後の時点では住民1万5,341/1万9,852例(77.3%)だったが、2年目は1万2,503/2万1,105例(59.2%)に減少していた。 9ヵ月時点のマラリア感染症有病率について、PBO長期残効性殺虫剤ネットを受け取った2群は、標準的長期残効性殺虫剤ネットを受け取った2群よりも有意に低率であった(531/1,852児[29%]vs.767/1,809児[42%]、オッズ比[OR]:0.37、95%信頼区間[CI]:0.21~0.65、p=0.0011)。 同一の評価時点で、屋内残留噴霧を受けた2群は、同噴霧を受けなかった群と比べて、マラリア感染症有病率が有意に低率であった(508/1,846児[28%]vs.790/1,815児[44%]、OR:0.33、95%CI:0.19~0.55、p<0.0001)。PBO長期残効性殺虫剤ネットと屋内残留噴霧の間には、組み合わせた場合に冗長性(redundancy)が示され、両者間の相互作用のエビデンスが認められた(OR:2.43、95%CI:1.19~4.97、p=0.0158)。 PBO長期残効性殺虫剤ネットの効果は21ヵ月後も持続しており、標準的長期残効性殺虫剤ネット群よりも、マラリア感染症有病率が有意に低率であった(865/1,930児[45%]vs.1,255/2,034児[62%]、OR:0.40、95%CI:0.20~0.81、p=0.0122)。 結果を踏まえて、WHOは現在、PBO長期残効性殺虫剤ネットの適用範囲拡大を推奨しているという。なお、PBO長期残効性殺虫剤ネット+ピリミホス-メチル屋内残留噴霧は、PBO長期残効性殺虫剤ネット単独の場合や、標準的長期残効性殺虫剤ネット+屋内残留噴霧と比べて、付加的なベネフィットは得られなかったという。

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2014年 医療ニュース「いいね!」ランキング

2014年にCareNet.comに掲載した医療ニュースのなかで「いいね!」ボタンが押され、Facebookでシェアされたもの、トップ20を発表します。最新の医学情報はもちろん、食事や運動など私たち自身の健康に関わる話題も多くランクインしました。 1位 タバコ規制から50年で平均寿命が20年延長/JAMA (2014/1/16) 2位 体幹を鍛える腹部ブレーシング、腰痛に効果 (2014/5/7) 3位 歩数を2,000歩/日増加させれば心血管リスク8%低下/Lancet (2014/1/8) 4位 緑茶が認知機能低下リスクを減少~日本の前向き研究 (2014/6/3) 5位 認知症のBPSD改善に耳ツボ指圧が効果的 (2014/10/28) 6位 コーヒーを多く飲む人は顔のシミが少ない (2014/8/7) 7位 タバコの煙を吸い込む喫煙者の肺がんリスクは3.3倍:わが国の大規模症例対照研究 (2014/6/18) 8位 うつ病と殺虫剤、その関連が明らかに (2014/7/9) 9位 変形性股関節症への理学療法、害あって利なし/JAMA (2014/6/5) 10位 食べる速さはメタボと関連~日本の横断的研究 (2014/9/12) 11位 なぜコーヒーでがんリスクが低下? (2014/7/31) 12位 糖尿病予防には歩くよりヨガ (2014/8/4) 13位 原因不明の慢性腰痛は姿勢制御の障害が原因か (2014/4/2) 14位 回復期リハ退院後の30日再入院率は11.8%/JAMA (2014/2/24) 15位 アトピー性皮膚炎患者が避けるべきスキンケア用品 (2014/2/6) 16位 牛乳1日3杯以上で全死亡リスクが2倍/BMJ (2014/11/13) 17位 日本発!牛乳・乳製品を多く摂るほど認知症リスクが低下:久山町研究 (2014/6/20) 18位 無糖コーヒーがうつ病リスク低下に寄与 (2014/5/8) 19位 骨折リハビリ後の高齢者に在宅運動療法は有用か?/JAMA (2014/3/6) 20位 コーヒーをよく飲む糖尿病者はうつが少ない (2014/11/18) .dl_yy {width: auto;} .dl_yy dt{width: 50px;}

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【医療ニュース トップ100】2014年、最も読まれた「押さえておくべき」医学論文は?

今年も、4大医学誌の論文を日本語で紹介する『ジャーナル四天王』をはじめ、1,000本以上の論文をニュース形式で紹介してきました。その中で、会員の先生方の関心の高かった論文は何だったのでしょう? ここでは、アクセス数の多いものから100本を紹介します。 1位 日本男性の勃起硬度はアレと関連していた (2014/11/13) 2位 日本人若年性認知症で最も多い原因疾患は:筑波大学 (2014/1/7) 3位 子供はよく遊ばせておいたほうがよい (2014/3/28) 4位 思春期の精神障害、多くは20代前半で消失/Lancet (2014/1/27) 5位 なぜコーヒーでがんリスクが低下? (2014/7/31) 6位 メロンでかゆくなる主要アレルゲンを確認 (2014/4/15) 7位 新たな輸液プロトコル、造影剤誘発急性腎障害の予防に有効/Lancet (2014/6/9) 8位 体幹を鍛える腹部ブレーシング、腰痛に効果 (2014/5/7) 9位 コーヒーを多く飲む人は顔のシミが少ない (2014/8/7) 10位 スタチンと糖尿病リスク増大の関連判明/Lancet (2014/10/9) 11位 スルピリドをいま一度評価する (2014/5/16) 12位 米国の高血圧ガイドライン(JNC8)のインパクト/JAMA (2014/4/16) 13位 インフルエンザワクチン接種、無針注射器の時代に?/Lancet (2014/6/16) 14位 新規経口抗凝固薬4種vs.ワルファリン-心房細動患者のメタ解析-/Lancet (2013/12/25) 15位 アルコール依存症、薬物治療の減酒効果は?/JAMA (2014/5/29) 16位 SGLT2阻害薬「トホグリフロジン」の日本人への効果 (2014/2/28) 17位 大人のリンゴ病 4つの主要パターン (2014/7/29) 18位 脳動脈瘤、コイルvs. クリッピング、10年転帰/Lancet (2014/11/12) 19位 ACE阻害薬を超える心不全治療薬/NEJM (2014/9/8) 20位 アルツハイマーに有用な生薬はコレ (2014/11/14) 21位 塩分摂取と死亡リスクの関係はJカーブ/NEJM (2014/8/25) 22位 スタチン投与対象者はガイドラインごとに大きく異なる/JAMA (2014/4/14) 23位 食後血糖によい食事パターンは?(低脂肪vs低炭水化物vs地中海式) (2014/3/27) 24位 成人ADHDをどう見極める (2014/5/21) 25位 各種ダイエット法の減量効果/JAMA (2014/9/16) 26位 牛乳1日3杯以上で全死亡リスクが2倍/BMJ (2014/11/13) 27位 腰痛持ち女性、望ましい性交体位は? (2014/11/21) 28位 ロマンチックな恋愛は幸せか (2014/3/26) 29位 無糖コーヒーがうつ病リスク低下に寄与 (2014/5/8) 30位 下肢静脈瘤、ベストな治療法は?/NEJM (2014/10/10) 31位 せん妄管理における各抗精神病薬の違いは (2014/9/18) 32位 降圧薬投与量の自己調整の有用性/JAMA (2014/9/11) 33位 深部静脈血栓症の除外診断で注意すべきこと/BMJ (2014/3/20) 34位 StageII/III大腸がんでのD3郭清切除術「腹腔鏡下」vs「開腹」:ランダム化比較試験での短期成績(JCOG 0404) (2014/2/26) 35位 たった1つの質問で慢性腰痛患者のうつを評価できる (2014/2/21) 36位 スタチン時代にHDL上昇薬は必要か/BMJ (2014/8/7) 37位 就寝時、部屋は暗くしたほうがよいのか:奈良医大 (2014/8/29) 38位 認知症のBPSD改善に耳ツボ指圧が効果的 (2014/10/28) 39位 統合失調症患者の突然死、その主な原因は (2014/4/18) 40位 うつ病と殺虫剤、その関連が明らかに (2014/7/9) 41位 帯状疱疹のリスク増大要因が判明、若年ほど要注意/BMJ (2014/5/26) 42位 慢性のかゆみ、治療改善に有用な因子とは? (2014/7/1) 43位 女性の顔の肝斑、なぜ起きる? (2014/5/8) 44位 DES1年後のDAPT:継続か?中断か?/Lancet (2014/7/30) 45位 駆出率が保持された心不全での抗アルドステロン薬の効果は?/NEJM (2014/4/23) 46位 レビー小体型認知症、パーキンソン診断に有用な方法は (2014/10/30) 47位 アトピー性皮膚炎患者が避けるべきスキンケア用品 (2014/2/6) 48位 タバコの煙を吸い込む喫煙者の肺がんリスクは3.3倍:わが国の大規模症例対照研究 (2014/6/18) 49位 世界中で急拡大 「デング熱」の最新知見 (2014/10/17) 50位 円形脱毛症とビタミンDに深い関連あり (2014/4/10) 51位 不眠の薬物療法を減らすには (2014/7/23) 52位 オメプラゾールのメラニン阻害効果を確認 (2014/11/6) 53位 タバコ規制から50年で平均寿命が20年延長/JAMA (2014/1/16) 54位 ICUでの栄養療法、静脈と経腸は同等/NEJM (2014/10/15) 55位 認知症のBPSDに対する抗精神病薬のメリット、デメリット (2014/3/17) 56位 COPDにマクロライド系抗菌薬の長期療法は有効か (2014/1/13) 57位 座りきりの生活は心にどのような影響を及ぼすか (2014/5/12) 58位 PSA検診は有用か:13年後の比較/Lancet (2014/8/22) 59位 気道感染症への抗菌薬治療 待機的処方 vs 即時処方/BMJ (2014/3/17) 60位 血圧と12の心血管疾患の関連が明らかに~最新の研究より/Lancet (2014/6/19) 61位 マンモグラフィ検診は乳がん死を抑制しない/BMJ (2014/2/21) 62位 機能性便秘へのプロバイオティクスの効果 (2014/8/14) 63位 超高齢の大腸がん患者に手術は有用か:国内での検討 (2014/2/14) 64位 糖尿病予防には歩くよりヨガ (2014/8/4) 65位 乳がん術後リンパ節転移への放射線療法、効果が明確に/Lancet (2014/3/31) 66位 75歳以上でのマンモグラフィ検診は有効か (2014/8/11) 67位 大腸がん術後の定期検査、全死亡率を減少させず/JAMA (2014/1/23) 68位 「歩行とバランスの乱れ」はアルツハイマーのサインかも (2014/5/13) 69位 食事由来の脂肪酸の摂取状況、国によって大きなばらつき/BMJ (2014/4/28) 70位 心房細動合併の心不全、β遮断薬で予後改善せず/Lancet (2014/9/19) 71位 薬剤溶出ステントの直接比較、1年と5年では異なる結果に/Lancet (2014/3/24) 72位 ピロリ除菌、糖尿病だと失敗リスク2倍超 (2014/8/21) 73位 認知症にスタチンは有用か (2014/7/25) 74位 RA系阻害薬服用高齢者、ST合剤併用で突然死リスク1.38倍/BMJ (2014/11/20) 75位 腰痛へのアセトアミノフェンの効果に疑問/Lancet (2014/8/6) 76位 食べる速さはメタボと関連~日本の横断的研究 (2014/9/12) 77位 うつになったら、休むべきか働き続けるべきか (2014/9/16) 78位 英プライマリケアの抗菌治療失敗が増加/BMJ (2014/10/1) 79位 総胆管結石疑い 術前精査は必要?/JAMA (2014/7/21) 80位 歩くスピードが遅くなると認知症のサイン (2014/10/8) 81位 前立腺がん、全摘vs.放射線療法/BMJ (2014/3/10) 82位 緑茶が認知機能低下リスクを減少~日本の前向き研究 (2014/6/3) 83位 高力価スタチンが糖尿病発症リスクを増大させる/BMJ (2014/6/16) 84位 乳がんの病理学的完全奏効は代替エンドポイントとして不適/Lancet (2014/2/27) 85位 Na摂取増による血圧上昇、高血圧・高齢者で大/NEJM (2014/8/28) 86位 抗グルタミン酸受容体抗体が神経疾患に重大関与か (2014/8/15) 87位 歩数を2,000歩/日増加させれば心血管リスク8%低下/Lancet (2014/1/8) 88位 肩こりは頚椎X線で“みえる”のか (2014/3/19) 89位 地中海式ダイエットと糖尿病予防 (2014/4/7) 90位 閉塞性睡眠時無呼吸、CPAP vs. 夜間酸素補給/NEJM (2014/6/26) 91位 揚げ物は肥満遺伝子を活性化する?/BMJ (2014/4/3) 92位 6.5時間未満の睡眠で糖尿病リスク上昇 (2014/9/4) 93位 セロトニン症候群の発現メカニズムが判明 (2014/3/14) 94位 日本発!牛乳・乳製品を多く摂るほど認知症リスクが低下:久山町研究 (2014/6/20) 95位 肥満→腰痛のメカニズムの一部が明らかに (2014/8/8) 96位 低炭水化物食 vs 低脂肪食 (2014/8/7) 97位 認知症患者の調子のよい日/ 悪い日、決め手となるのは (2014/3/21) 98位 統合失調症患者は、なぜ過度に喫煙するのか (2014/7/2) 99位 血糖降下強化療法の評価―ACCORD試験続報/Lancet (2014/8/20) 100位 小児BCG接種、結核感染を2割予防/BMJ (2014/8/21) #feature2014 .dl_yy dt{width: 50px;} #feature2014 dl div{width: 600px;}

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うつ病治療の新展開、ミトコンドリア生体エネルギー

 大うつ病性障害(MDD)の新たなエビデンスが発表された。米国のメリーランド・スクール・オブ・ナーシング大学N. Jennifer Klinedinst氏らは、MDDとミトコンドリア生体エネルギー機能障害との関連についてレビューを行った。その結果、ミトコンドリア生体エネルギーとMDDとの関連を示す証拠はあったものの、治療には応用されていない現状を指摘し、さらなる研究の必要性を指摘した。Journal of Bioenergetics and Biomembranes誌オンライン版2014年9月28日号の掲載報告。 MDDは重大な公衆衛生問題であり、世界中で約3億5,000万人が影響を受けている。数十年にわたり研究が行われているが、MDDの病態生理は未確認のままであり、治療の効果は30~60%に限られている。研究グループは、MDDとミトコンドリア生体エネルギー機能障害との関連をレビューした。 主な内容は以下のとおり。・MDDの病態生理学に関与するミトコンドリア生体エネルギー機能障害として、いくつかの経路の関与が示唆された。すなわち、遺伝的性質/ゲノム、炎症、酸化ストレス、神経可塑性の変化などである。・ミトコンドリア生体エネルギー経路とMDDに関する議論は、散見されている。・エビデンスは、現在使用されているさまざまな抗うつ薬のmito-toxicまたはmito-protectiveな影響に関してレビューされていた。・一方で、単独または補助的なうつ軽減治療としてのミトコンドリア・モジュレーターなどについて、さらなる治療アプローチについて研究することへの示唆もみられた。・ミトコンドリア生体エネルギー機能とMDDを結び付けるエビデンスは確実に存在するが、現状では、MDDをターゲットとした治療ガイドとして用いるための表現型またはバイオマーカーとしての研究は行われていない。また、MDD集団に関するミトコンドリア生体エネルギー機能の障害も判明していないことが明らかになった。関連医療ニュース ビタミンB併用で抗うつ効果は増強するか うつ病と殺虫剤、その関連が明らかに うつ寛解のポイントは疲労感  担当者へのご意見箱はこちら

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うつ病と殺虫剤、その関連が明らかに

 これまで、うつ病と殺虫剤曝露が関連する可能性は指摘されていたが、うつ病エピソードの経過または殺虫剤個々についての検討はほとんど行われていなかった。米国・ノースカロライナ大学のJohn D Beard氏らは、Agricultural Health Studyに登録された殺虫剤を個人で散布した男性のデータを解析し、殺虫剤の曝露とうつ病との関連を調べた。その結果、2系統(燻蒸剤・有機塩素系)、7種類(リン化アルミニウム、二臭化エチレン、2,4,5-トリクロロフェノキシ酢酸、ジエルドリン、ジアジノン、マラチオン、パラチオン)において、うつ病との明らかな関連が認められたことを報告した。Environmental Health Perspectives誌オンライン版2014年6月6日号の掲載報告。 研究グループは、Agricultural Health Studyへと1993~1997年に登録され、2005~2010年に電話インタビューによる追跡調査を完了した被験者について、10系統50種類の殺虫剤に関するデータを解析した。逆確率重み付け法により潜在的な交絡因子を補正し、多分割ロジスティック回帰により、オッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)を推算した。解析には、Agricultural Health Study参加者のうち、共変数データ不明の3,315例、電話インタビューにより追跡を完了しなかった2万4,619例を除外した2万1,208例が含まれた。 主な結果は以下のとおり。・被験者2万1,208例のうち、1,702例(8%)が、医師によりうつ病と診断されていた。・それらのうち、登録時にうつ病と診断されたが追跡時にうつ病を認めなかった者は474例(28%)、登録時と追跡時の両方でうつ病と診断された者540例(32%)、登録時にうつ病と診断されておらず追跡時にうつ病と診断された者は688例(40%)であった。・上記3群について、2系統(燻蒸剤・有機塩素系)、以下7種類の殺虫剤について解析した結果、各ケース群のORは1.1~1.9と、すべてうつと明確な関連が認められた。 …リン化アルミニウムおよび二臭化エチレン …フェノキシ系除草剤(2,4,5-トリクロロフェノキシ)酢酸 (2,4,5-T) …有機塩素系殺虫剤ジエルドリン …有機リン系殺虫剤ジアジノン、マラチオン、パラチオン関連医療ニュース 殺虫剤でアルツハイマー病リスクが増加 河川や水道水で抗うつ薬検出:東ヨーロッパ ゲームのやり過ぎは「うつ病」発症の原因か?!  担当者へのご意見箱はこちら

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殺虫剤でアルツハイマー病リスクが増加

 米国・ラトガース大学のJason R. Richardson氏らは、アルツハイマー病(AD)患者では殺虫剤成分の代謝物であるジクロロジフェニルジクロロエチレン(DDE)濃度が上昇していることに着目し、血清DDE濃度とADとの関連、およびアポリポ蛋白E(APOE)遺伝子型の関与を明らかにするためケースコントロール研究を行った。その結果、血清DDE高値はADのリスク上昇と関連していること、APOEε4アレルを保有する例でその関連が強くみられることを報告した。JAMA neurology誌オンライン版2014年1月27日号の報告。 遅発性ADの原因はいまだ不明であるが、遺伝的、環境的およびライフスタイルなどの要因が複合して発症に関与していると思われる。これまで、限られた疫学研究により、職業上の殺虫剤への曝露がADと関連していることが示唆されていることから、研究グループは以前、20例という少数例の検討ではあるが、AD患者で殺虫剤のジクロロジフェニルトリクロロエタン(DDT)の代謝物であるDDEの血清濃度が上昇していることを報告した。本研究では、血清DDE濃度とADとの関連、およびその関連にAPOE遺伝子型が関与しているか否かを検討した。エモリー大学アルツハイマー病研究センターおよびテキサス大学サウスウェスタンメディカルスクール・アルツハイマー病センターから、AD例ならびに対照例を抽出しケースコントロール研究を行った。AD86例と対照79例において、血清DDE濃度を測定。Mini-Mental State Examination(MMSE)スコアによりADの診断と重症度を評価し、APOE4との関連を検討した。 主な結果は以下のとおり。・AD例の血清DDE濃度(平均[SEM]:2.64[0.35]ng/mgコレステロール)は、対照(同:0.69[0.1]ng/mgコレステロール、p<0.001)と比較して3.8倍高かった。・DDE値の最高三分位におけるAD発症のオッズ比は、4.18(95%CI:2.54~5.82、p<0 .001)で、MMSEスコアは、より低スコアであった(-1.605、範囲:-3.095~-0.114、p<0 .0001)。・APOEε4アレルを保有するサブ集団のDDE値の最高三分位におけるMMSEスコアは、 APOEε3アレルを保有するサブ集団に比較して、-1.753ポイント低かった(相互作用p=0.04)。・血清DDE濃度と脳内DDE濃度との間に強い関連がみられた(ρ=0.95)。・ヒト神経芽細胞腫細胞にDDTまたはDDEを曝露させると、アミロイド前駆体蛋白レベルの増加がみられた。・以上のことから、血清DDE濃度の上昇はADリスクの増加と関連し、APOEε4アレルがより強く関与していることが推察された。DDTとDDEがアミロイド前駆体蛋白レベルを上昇させたことは、DDE曝露とADとの関連の妥当性を裏付ける知見と言える。血清DDE濃度が高く、APOEε4アレルを保有している例の特定が、ADの早期発見につながる可能性がある。関連医療ニュース アルツハイマー病、アミロイドβ蛋白による“炎症反応”が関与 日本人の認知症リスクに関連する食習慣とは 複雑な薬物療法レジメン、認知症介護者の負担増加

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新品の靴が原因の接触皮膚炎、アレルゲンは?

 スロバキア・コメニウス大学のDanka Svecova氏らは、重症のアレルギー性接触皮膚炎(ACD)を呈した9例の患者の原因調査を行った結果、全員に共通することとして新品の靴を履いていたことが浮かび上がり、アレルゲンについて調べた結果、防カビ剤の小袋に含まれていたフマル酸ジメチル(DMF)が特定されたことを報告した。欧州では、フマル酸ジメチルを防カビ剤として使用することを禁じる予防対策がすでに講じられており、著者は「症例数を増やさないためにも、同対策を徹底する必要がある」と警告を発した。International Journal of Dermatology誌オンライン版2013年2月22日の掲載報告。 DMFは防カビ剤として有用である一方、強力な感作性物質であり、低濃度でも重症ACDを引き起こす可能性があることが知られる。欧州では、家具等の接触皮膚炎の原因物質として特定されており、防カビ剤としてDMFを使用する禁止措置が勧告されているという。 本研究では、靴の接触皮膚炎がみられた患者について、DMFとの関連を調べることを目的とした。 パッチテストとアレルゲンの特定調査を行い(試料は履いていた靴、DMF製品、欧州ベースライン、靴のスクリーニング、織物・皮革の染色材スクリーニング、工業用殺虫剤シリーズ)、得られた結果は国際ガイドラインに即して記録した。靴および防カビ剤の小袋中のDMF含有量の分析については、ガスクロマトグラフィと質量分析によって行った。 主な結果は以下のとおり。・被験者は、重症ACDを呈し靴の接触皮膚炎が疑われた9例のスロバキア人(コーカサソイド)であり、全員が女性であった。・陽性パッチテストにおいて、靴の内張りに使われていた布について検証した際に、全患者が遅延型のアレルギー反応を呈した。・7例の患者が0.1%DMFのパッチテストを受け、全員が陽性反応を示した。・入手した被験者の靴を化学分析した結果、DMFが非常に高濃度に含有されていること(25~80mg/kg)が明らかになった。

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アセチルコリンエステラーゼ阻害薬の長期曝露、ミツバチの生態行動に影響

 過去20年間に多くの国でミツバチやその他の受粉行動をする昆虫が急激に減少した。背景には、寄生ダニ駆除を目的とした、コリン作動性シグナル伝達に作用する有機リン酸系の農薬(殺虫剤)の影響が言われている。英国・ニューキャッスル大学のSally M. Williamson氏らは、それら殺虫剤の長期曝露がミツバチの行動にどのような影響を及ぼすのか、アセチルコリンエステラーゼ(AChE)阻害薬を用いた検証試験を行った。その結果、AChE阻害薬の長期曝露により毛づくろい行動(働かなくなる)や排便回数が増えるなど、ミツバチの生理機能や行動に変化がもたらされたことが確認されたという。Frontiers in Physiology誌オンライン版2013年2月5日号の掲載報告。 コリン作動性シグナル伝達は、大半の臓器の神経筋機能において必須である。そのコリン作動性シグナル伝達をターゲットとする神経毒性の殺虫剤が致死量に達しないまま曝露されると巧みなメカニズムで昆虫の行動に変化をもたらす可能性がある。研究グループは、採餌において高度な行動連鎖がみられるミツバチについて、殺虫剤の曝露により採餌が障害され、コロニー(群れ)の状態が不良となる可能性があるのではないかと仮定し、AChE阻害薬を用いてミツバチの行動への影響を調べた。成虫の働きバチに致死量未満のAChE阻害薬のショ糖合成液を24時間摂取させ、歩行、動きの停止、毛づくろい、混乱行動を15分間観察した。 主な結果は以下のとおり。・いずれのAChE阻害薬も10nM濃度において、ミツバチの行動に同様の影響を及ぼした。毛づくろいの行動が著しく増え、頭部の毛づくろい行動の頻度にも変化がみられた。・農薬のクマホスは用量依存的に行動に影響を及ぼし、1μM濃度で腹部の毛づくろいや排便といった倦怠症状を引き起こした。・生化学アッセイにより、4種類の化合物(クマホス、アルジカルブ、クロルピリホス、ドネペジル)またはそれらの代謝物が、ミツバチにおいてAChE阻害薬として作用することを確認した。・さらに、AChE阻害薬の曝露に反応して、2種類のAChE阻害薬の転写発現レベルが、脳および消化管組織において選択的にアップレギュレートされていることもわかった。・以上の結果から、コリン作動性シグナル伝達に作用する殺虫剤は、微妙であるが重大な生理学的影響を及ぼし、生存の減少に結びついている可能性が示された。■関連記事認知症に対する非定型抗精神病薬処方、そのリスクは?ドネペジル+メマンチン、アルツハイマー病への効果はどの程度?アルツハイマー病にビタミンD不足が関連コリンエステラーゼ阻害薬の副作用、全世界の報告を分析

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Dr.林の笑劇的救急問答7

第1回「見逃し厳禁 ! 低血糖」第2回「あんなところにこんなもの: 異物救急」特別収録「落としアナいっぱい ! アナフィラキシーショック」 第1回「見逃し厳禁 ! 低血糖」意識障害や麻痺で救急搬送されてきた患者は「まず低血糖を疑え」といわれるくらいよくある症状ですが、見逃すと死亡する事もあるので要注意。さまざまな年代や原因から引き起こされる低血糖に対応するため多彩な血糖補正術を身につけましょう!【症例1】17歳男性。高校からの帰宅が遅いと家族から連絡を受けた保健医が部室で意識障害を起こしているのを発見し来院。サッカー部の部活動中にゴールポストに頭をぶつけたという受傷機転から研修医は脳震盪を疑うが、看護師に低血糖を指摘され…。【症例2】80歳男性。意識障害で搬送されてきた。バイタルチェックは安定している。現病歴:糖尿病。研修医は低血糖を疑いブドウ糖を用いた補正を実施。患者の様態が良くなったので帰宅させたが4時間後に再度救急搬送される。第2回「あんなところにこんなもの: 異物救急」小児などに多い、鼻や耳へ異物が入ってしまったという症例。夜間当直などで大騒ぎして来院する事も珍しくありませんので落ち着いて対処できるようになっておきたいものです。耳鼻科にコンサルトするのも勿論ひとつの手ですが、ちょっとしたコツや「使える薬剤」を知っておくと簡単に取ることが出来ますのでこの機会に是非習得してください。【症例1】1歳女児。鼻にビーズが詰まって取れなくなった。研修医は「すぐに取れる」と宣言して処置を開始するが子どもの激しい抵抗にあってうまく行かない。そこにDr.林がやって来て「魔法のキス」を提案する。【症例2】35歳男性。深夜、耳に何か虫のようなものが入ったようだと駆け込んできた。耳鏡で確認するとゴキブリであった。夜間当直の研修医たちは殺虫剤をかけたり大騒ぎをするが、全く取れないうえに患者の容態も悪くなってくる。特別収録「落としアナいっぱい ! アナフィラキシーショック」※本番組は、2005年に収録した第1シーズン第3回「落としアナいっぱい ! アナフィラキシーショック」と同番組です。「ACLS」のガイドライン変更に伴い、DVD「Dr.林の笑劇的救急問答1」の販売を終了したため、「アナフィラキシーショック」を本DVDに収載しました。蜂刺されでアナフィラキシーショックを起こした患者さんをみたら、どう治療しますか? 抗ヒスタミンを投与、あるいはエピネフリンを注射して容態が安定したらすぐに帰宅させてはいませんか? 中にはもしかすると、後で重篤なことになる症例が潜んでいるかもしれません。心肺停止に至ることも意外と多いアナフィラキシーショックに対する適切な戦い方を実践的に学びましょう!【症例1】28歳男性。仕事中に蜂に刺されて救急室に駆け込む。血圧100/60、脈90。【症例2】48歳男性。蜂に刺されて来院。意識混濁し、つらそう。血圧80/60、脈120。

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ニジェールの子どもの死亡率、MDG4達成を上回る勢いで低下

 西アフリカのニジェールでは、1998~2009年の5歳未満の子どもの死亡の年間低下率が5.1%に達し、ミレニアム開発目標4(MDG4)の達成に必要とされる4.3%を上回ったことが、米国・ジョンズ・ホプキンス・ブルームバーグ公衆衛生大学院のAgbessi Amouzou氏らが行った調査で明らかとなった。MDG4は、2015年までに5歳未満児の死亡率を1990年の水準の3分の1に削減することを目標とする。近年、ニジェールでは、近隣の他の西アフリカ諸国に比べ子どもの死亡率の大幅な低減が達成され、生存のための介入が積極的に進められているが、その実情はよくわかっていなかった。Lancet誌2012年9月29日号(オンライン版2012年9月20日号)掲載の報告。LiSTを用いて2009年の救済された子どもの生命を推算研究グループは、1998~2009年までにニジェールで実施された子どもの生存プログラムについて詳細な解析を行った。2010年の世帯調査に基づいて、1998~2009年の子どもおよび新生児の死亡率の新たな推算法を開発した。この期間に行われた8つの全国調査のデータを用いてカバレッジ指標を再計算し、1995年以降の妊婦、新生児、子どもの健康に関するプログラムおよび施策を記録した。生命救済ツール(Lives Saved Tool:LiST)を用いて2009年の救済された子どもの生命を推算した。5歳未満の子ども5万9,000人の生命を救済生児出生1,000人当たりの5歳未満の子どもの死亡率は、1998年の226人から2009年には128人へと43%低下した。年間低下率は5.1%で、MDG4の達成に必要とされる4.3%を上回った。これは近隣の低~中所得国であるベニンの2.2%、ブルキナファソの0.8%、チャドの0.9%、マリの1.8%、ナイジェリアの2.0%に比べはるかに高い値であった。発育不良は24~35ヵ月児でわずかに低下し、痩せは2歳未満の子どもで最も大きく改善し、約50%低下した。調査期間中に、子どもへのほとんどの生存介入のカバレッジが大幅に増加した。LiSTにより、2009年に5歳未満の子ども5万9,000人の生命が救済されたことが示された。そのうち25%が殺虫剤処理した蚊帳の導入、19%が栄養状態の改善、9%がビタミンAの補給、22%が経口補水塩と亜鉛の補給による下痢の治療および発熱、マラリア、小児肺炎の治療探索、11%はワクチン接種によるものであった。著者は、「ニジェールでは、誰でも利用できる環境づくり(ユニバーサル・アクセス)、母子保健の無料提供、栄養プログラムの地方への普及を支援する政府施策が、MDG4の達成に必要とされる以上の迅速さで子どもの死亡率を低下させたと考えられる」と結論している。

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デング熱媒介蚊コントロール戦略、幼虫よりも成虫標的のほうが費用対効果に優れる

都市部におけるデング熱の媒介蚊(ベクター)コントロール戦略では、高い駆除効果を有する殺虫剤の年6回散布による成虫コントロールが、費用対効果に優れる介入と考えられることが、米国・エール大学のPaula Mendes Luz氏らの検討で示された。世界で推定25億人がデング熱罹患リスクにさらされ、とくに医療資源に制約のある国で罹患率が高い。毎年約5,000万人が感染し、ベクターと人口の密度上昇により特に都市部で増加している。デング熱コントロールは、主にベクターの幼虫あるいは成虫を標的とした殺虫剤散布に依存するが、殺虫剤抵抗性の進化によりコントロール・プログラムが失敗に終わる可能性があるという。Lancet誌2011年5月14日号(オンライン版2011年5月3日号)掲載の報告。43の殺虫剤ベースのベクター・コントロール戦略の費用対効果を評価研究グループは、デング熱ベクターのコントロール戦略について疫学的および経済的評価を行った。ヒトにおけるデング熱感染抑制の進化的、免疫学的な長期効果を評価する動的モデルを開発した。デング熱による健康負担を障害調整生存年数(disability-adjusted life-years; DALY)の損失で評価した。43の殺虫剤ベースのベクター・コントロール戦略(成虫または幼虫を標的とした戦略など)について、駆除効果(高:駆除率90%、中:同60%、低:同30%)および年間殺虫剤散布回数(1~6回)に基づいて費用対効果分析を行った。得られた結果に対するパラメータ不確実性の影響を評価するために、確率的感度分析および閾値分析を行った。幼虫を標的とするコントロールは逆効果を招く可能性もすべての介入において、集団免疫の喪失に伴って、将来的なデング熱流行の強度を増強すると考えられる殺虫剤抵抗性の発現がみられた。モデル分析では、高駆除効果の殺虫剤を年1回以上散布する幼虫コントロールによってデング熱による健康負担が最高で2年まで低下した。これに対し、高駆除効果殺虫剤の年3回以上散布による成虫コントロールでは健康負担が最高4年間低下した。高駆除効果殺虫剤の年2回散布による成虫コントロール戦略の増分費用対効果比は615米ドル/DALYの節減となり、年6回散布による成虫コントロールでは1,267米ドル/DALYが節減された。感度分析では、成虫コントロールの費用が幼虫コントロールの8.2倍以上に達すると、成虫コントロールに基づくすべての戦略が優位になることが示された。著者は、「高駆除効果殺虫剤の年6回散布による成虫コントロールはWHOの基準を満たす費用対効果比を示し、それゆえ費用対効果に優れた介入と考えられる。幼虫コントロールは、殺虫剤抵抗性の進化や集団免疫の喪失によって後年のデング熱流行に悪影響を及ぼし、逆効果を招く可能性がある」と結論し、幼虫に限定したベクター・コントロール対策の再評価を提言している。(菅野守:医学ライター)

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