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家族歴のある大腸癌患者の再発と死亡リスクは低い

一親等親族に大腸癌患者がいた場合、大腸癌発症リスクは増大するが、癌再発と生存に家族歴がどう影響するか明らかではない。米国・ハーバード大学医学部ダナ・ファーバー癌研究所のJennifer A. Chan氏らは、「ステージIIIの大腸癌患者に大腸癌の家族歴がある場合は、再発と死亡は有意に減少する」と報告した。JAMA誌2008年6月4日号より。術後補助治療を受けた患者1,087例を5年間追跡調査1999年4月~2001年5月に行われた無作為補助的化学療法治験「CALGB 89803」に参加したステージIIIの大腸癌患者1,087例を対象に、前向き観察研究を行った。患者はベースラインで家族歴に関するデータを提供しており、2007年3月までの間、疾患再発と死亡を追跡調査した(追跡期間中央値:5.6年)。主要評価項目は、大腸癌の既往歴の有無に従う、疾患のない生存、再発のない生存および全生存とした。一親等親族に既往歴がある人数が多いほどリスク低下1,087例のうち195例(17.9%)は、一親等親族に大腸癌の家族歴があった。癌再発または死亡は、家族歴のある群195例では57例(29%、95%信頼区間:23~36%)だが、家族歴のない群892例では343人(38%、35~42%)だった。家族歴のない群と比べて、家族歴のある群(一親等親族1人以上)の補正ハザード比は、疾患のない生存0.72(95%信頼区間:0.54~0.96)、再発のない生存0.74(0.55~0.99)、全生存0.75(0.54~1.05)だった。家族歴と、癌再発および死亡のリスク減少の関連は、一親等親族の発症経験者が多いほど強い。家族歴のない群に比べ、既往歴のある親族が1人いた群の、疾患のない生存の多変量ハザード比は0.77(95%CI:0.57~1.04)。既往歴のある親族が2人以上の群では、同0.49(0.23~1.04、家族歴のある親族数の増加傾向P=0.01)で、より大幅なリスク低下が見られた。Chan氏は「補助化学療法を受けているステージIIIの大腸癌患者で、家族に大腸癌の既往歴がある場合は、癌再発と死亡が有意に減少する」と結論している。(朝田哲明:医療ライター)

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赤身肉の大量摂取は血圧上昇を招く

1981年に提示された「iron-heart」仮説では、男性と女性(閉経前)と冠疾患リスクの差は、鉄分蓄積量の差によって説明できるとされたが、その後の研究からその裏づけとなる結果は、得られていない。ロンドン大学疫学・公衆衛生部門Ioanna Tzoulaki氏らの研究グループは、食事による鉄分(総鉄、ならびにヘム鉄、非ヘム鉄)の摂取、サプリメントなどによる補足的な鉄分摂取、さらに赤身肉の摂取と血圧との関連を調査する横断的疫学研究を行った。BMJ誌2008年7月15日号より。鉄分摂取と血圧変動の関係を疫学調査収縮期血圧が120~130mmHgの正常高値血圧でも、心血管系疾患や死亡リスクが高いことは知られている。薬物療法以外の食事療法などで正常高値血圧を下げる要因を見いだそうと1997年に開始されたのが、栄養と血圧に関する国際共同研究INTERMAP(International study of Macro- and micronutrients and blood Pressure)と呼ばれる4ヵ国共同疫学研究である。今回の研究もINTERMAPに参加する日本、中国、イギリス、アメリカの、40歳から59歳までの17集団4,680例を対象に、食事による鉄分の摂取、サプリメントなどの補助的手段による摂取、さらに鉄分が最も効率的に摂取できる赤身肉による摂取――の3つの方法に分けて、鉄分摂取量が血圧の変動に与える影響について疫学調査が行われた。主要評価項目は、2日の連続受診時に各2回、およそ3週間後にも2日連続受診時に各2回の、計8回の血圧測定記録の平均値とした。赤身肉102.6g/24時間摂取で収縮期血圧1.25mmHg高まる重回帰分析によって、食事による全鉄と非ヘム鉄の摂取は血圧を下げることがわかった。摂取熱量1,000Kcal(4.2MJ)当たりの鉄摂取量の平均値は、アメリカと中国が7.8mg/4.2MJ、イギリス6.2mg/4.2MJ、日本5.3mg/4.2MJだった。総鉄の摂取量が、4.20mg/4.2 MJで標準偏差の2倍(2SD)多い場合は収縮期血圧を1.39mm Hg(P

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HIV感染例の平均余命が改善、高所得国の併用抗レトロウイルス療法施行例

 併用抗レトロウイルス療法(CART)を受けているHIV感染例の平均余命は1996年から2005年の間に延長しており、高所得国における20歳時の平均生存例数は一般人口の約2/3であることが、国際的なコホート研究(ART-CC)で明らかにされた。CARTはHIV感染例の生存率およびQOLを有意に改善するが、一般集団レベルにおける余命への影響は明確でなかったという。カナダBritish Columbia Centre for Excellence in HIV/AIDS のRobert Hogg氏がLancet誌2008年7月26日号で報告した。欧米で実施された14のHIVコホートに関する国際的な共同研究 ART-CC(Antiretroviral Therapy Cohort Collaboration)は、ヨーロッパと北米で実施された14のHIVコホートに関する国際的な共同研究。解析の対象は、年齢16歳以上、CART導入時に抗レトロウイルス療法未治療の症例とした。 CART施行例の平均余命を推算する略式生命表を1996~99年、2000~02年、2003~05年に分けて作成し、性別、ベースライン時のCD4細胞数、注射による薬物使用歴で層別化した。20歳および35歳時にCARTを施行されていた症例のそれ以降の平均生存年数を推算した。20~64歳の間に失われた生存年数および粗死亡率を算出した。粗死亡率が低下、20歳時の平均余命は36.1から49.4歳に延長 CARTが導入されたのは、1996~99年が1万8,587例、2000~02年が1万3,914例、2003~05年は1万854例で、合計4万3,355例であった。試験期間中に2,056例(4.7%)が死亡し、粗死亡率は1996~99年の1,000人・年当たり16.3例から2003~05年には10.0例にまで低下した。同じ期間に失われた生存年数も、1,000人・年当たり366年から189年に低下した。 20歳時の平均余命は、1996~99年の36.1(SE 0.6)歳から2003~05年には49.4(SE 0.5)歳まで延長した。女性の余命は男性よりも長かった。注射による薬物使用を介して感染したと推定される症例は他の感染経路の症例よりも余命が短かった[2003~05年の年齢:32.6(SE 1.1) vs. 44.7(SE 0.3)]。ベースライン時のCD4細胞数が多い症例よりも、少ない症例のほうが余命は短かった[<100個/μL:32.4(SE 1.1)歳 vs. ≧200個/μL:50.4(SE 0.4)歳)]。 研究グループは、「CARTを施行されたHIV感染例の平均余命は1996年から2005年の間に延長したが、特に注射による薬物使用歴の有無、CD4細胞数別のサブグループではかなりのばらつきが見られた。高所得国における20歳時の平均生存例数は一般人口の約2/3であった」と結論している。 また、「1996年以降の顕著な余命の延長は、高所得国ではCARTの効果が徐々に発揮され全体としては治療が成功していることの証左であるが、一般人口との間にはいまだに大きな乖離があるため、今回のデータをHIV感染者の健康サービスの改善に役立ててほしい」としている。

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うつ病治療に伴う女性の性機能障害にもバイアグラが有効

抗うつ薬の選択的・非選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SRI)治療に関連する一般的な副作用として性機能障害があり、しばしば抗うつ薬による治療を早期に中断せざるを得ない要因ともなっている。これまでSRIによる性機能障害に、シルデナフィル(商品名:バイアグラ)が有効なことは知られていたが、米国ニューメキシコ大学医学部のH. George Nurnberg氏らは、女性にも同様に効果があると報告した。JAMA誌2008年7月23日号より。閉経前の女性98例に対して性行為前に服用させ比較2003年9月1日から2007年1月1日の間、米国内の7つの研究施設において、大うつ病がSRI治療で沈静化したものの、性機能障害も経験した閉経前の女性98人(平均年齢37.1歳)を対象に、8週間の前向き・2群並行・無作為化二重盲検プラセボ対照臨床試験を実施した。患者は49例ずつ無作為に、性行為の前にシルデナフィルまたはプラセボを50~100mgまで増減して服用するよう割り付けられた。主要評価項目は、研究終了時点で、Clinical Global Impression性機能スケールによるベースラインからの変化の平均差とした。副次的評価項目は、Female Sexual Function Questionnaire、アリゾナSexual Experience scale(女性版)、ニューメキシコ大学Sexual Function Inventory(女性版)および性行為記録、ハミルトンうつ病評価スケールとした。内分泌レベルも評価が行われた。性機能スコアは改善、深刻な副作用は見られずClinical Global Impression性機能スコアは、シルデナフィル群が平均1.9(95%信頼区間:1.6~2.3)だったのに対して、プラセボ群は同1.1(0.8~1.5)で、終了時点の平均差は0.8(0.6~1.0、P=0.001)だった。ベースライン登録患者の22%は、早期に中断する結果になったが、シルデナフィル群の平均エンドポイントは性機能スコア1.5(1.1~1.9)であり、プラセボ群は同0.9(0.6~1.3)、終了時点の平均差は0.6(0.3~0.8、P=0.03)と有意な差があった。ベースラインにおける内分泌レベルは正常範囲内で、群間差はなかった。うつ病のハミルトン・スコアは平均値4.0(SD 3.6)で、両群の寛解度は同程度だった(P=0.90)。治療期間中に頭痛、潮紅、消化不良はしばしば報告されたが、深刻な副作用で脱落した患者はいなかった。このためNurnberg氏は、「SRI服用で性機能障害になった女性に対するシルデナフィル治療は、有害な性的効果を減少させる」と結論した。(朝田哲明:医療ライター)

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外国生まれの米国居住者における結核感染状況

アメリカでは結核対策の強化によって感染者が減少している。しかし、外国生まれの米国居住者の患者数は、2006年における全米の患者数の57%を占めていた。現行の対策では、入国者における高い結核感染率と潜在的な結核感染症への対処が不十分だとして、米国疾病管理予防センター(CDC)のKevin P. Cain氏らが、入国者集団の感染状況およびスクリーニング法を評価。JAMA誌2008年7月23日号に結果が掲載された。2001~2006年の入国者の感染状況を調査2001~2006年の間に結核と診断された、米国入国者の記述疫学的な分析によって、入国者集団における結核感染率と薬剤耐性菌リスクを評価し、入国者が出身国で受けるスクリーニング法に培養法を加えた場合の影響を検証した。主要評価項目は、入国後の時間、出身国、入国時の年齢によって階層化した結核感染率と、抗結核薬耐性パターン、入国後3ヵ月以内に結核と診断されたケースの特徴とした。アフリカ南部と東南アジア出身者が高リスク期間中入国者のうち4万6,970例が結核と診断された。このうち1万2,928例(28%)は入国後2年以内だった。入国後の時間が経過するほど結核感染率は低下するものの、入国後20年以上の集団でさえ、米国生まれの人より感染率は高いことが判明した。サハラ以南のアフリカと東南アジア出身者は入国者全体の22%だが、結核患者数の比率ではこれら出身者で53%を占めていた。最近のベトナムからの入国者の20%が、ペルーからの入国者の18%が、結核治療薬イソニアジド(商品名:イスコチン、ネオイスコチン、ヒドラ錠)に対する耐性が高かった。平均すると1年に250人は、米国入国後3ヵ月以内に、塗抹検査陰性、培養検査陽性で結核と診断され、このうち46%がフィリピンとベトナムからの入国者だった。Cain氏は、「サハラ以南のアフリカと東南アジア諸国からの入国者に、潜在的結核感染者が多く、治療することになる比率が特に高い」と報告している。(朝田哲明:医療ライター)

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末梢静脈カテーテルの交換はルーチンに行う必要はない

末梢静脈カテーテルの交換はルーチンに行うべきか、それとも臨床適応となった場合にだけ行えばよいか。CDC(疾病予防管理センター)では感染対策の観点から72~96時間ごとに変えるべきとしているが、そのエビデンスは乏しく、また近年、ルーチンに変えるほうが静脈炎の発症率が高いといった報告もある。そうしたなか王立ブリスベーン&ウーマンズ病院(オーストラリア)臨床看護センターのJoan Webster氏らは、静脈炎発症率とコストの面で検討を行い、「臨床適応の場合だけ行えばいいようだ」と報告した。BMJ誌オンライン版2008年7月8日号より。オーストラリアの3次機能病院から755例を集め無作為化試験試験はオーストラリアの3次機能病院(Tertiary hospital)を対象に行われた。対象者はmedical and surgical患者755例。379例が臨床適応の場合にのみカテーテルの交換が行われる群に(介入群)、376例がルーチンに交換する群(対照群)に無作為に割り付けられ検討された。主要転帰は、静脈炎や感染症発症によるカテーテル不全の複合的な度合い。ルーチン交換群と臨床適応群にカテーテル不全の有意差なし静脈炎や感染症発症によってカテーテルが取り外されたのは、対照群は123例(33%)、介入群は143例(38%)で有意な違いはなかった(相対リスク1.15、95%信頼区間:0.95~1.40)。留置1,000日間につき生じたカテーテル不全の割合に基づき比較しても、有意な違いは見出せなかった(0.98、0.78~1.24)。手技に関するコストは、対照群のほうが高く、平均41.02オーストラリアドル。介入群は平均36.40オーストラリアドルだった。静脈炎の発症率は、介入群4%、対照群3%で両群とも低かった。Webster氏は「臨床適応のときだけ交換を行ってもカテーテル不全の発生に影響はなかった。ただし今回の知見を検証するため、またより臨床的意義あるアウトカムを静脈炎単独で検証するなど、より大規模な試験を行う必要がある」と結論している。

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在胎期間が短いほど成人後のリスクは増大

周産期医療の進歩によって、早産児の生存数は増加しているが、こうした早産児が成人期に必要とする能力については懸念がある。ノルウェー・ベルゲン大学のDag Moster氏らは全国民を対象とした登録制度に基づき長期追跡調査を行った結果、「早産児は成人後も、在胎期間が短いほど医学的・社会的リスクが増大する」と報告した。NEJM誌2008年7月17日号より。ノルウェーで1967~1983年出生の90万3,402例を追跡調査ノルウェーにおける全員加入の登録制度「Medical Birth Registry of Norway(MBRN)」に基づいて、1967~1983年に生まれた、在胎週の異なる小児を特定し、その後の社会的能力を示す転帰と、医学的障害について、2003年まで継続して詳細に記録し検討した。対象となったのは、先天奇形のない生産児90万3,402例(在胎23~27週1,822例、28~30週2,805例、31~33週7,424例、34~36週3万2,945例、37週以降85万8,406例)で、それぞれの在胎期間で、生存し成人期まで経過観察できた対象者の比率は17.8%、57.3%、85.7%、94.6%、96.5%だった。在胎期間は有病率、教育・収入レベルなどと関連この結果、脳性麻痺の有病率は、正期産児の0.1%に対して、在胎23~27週児では9.1%(在胎23~27週の出生相対リスク:78.9、95%信頼区間:56.5~110.0)、精神遅滞の有病率は、同0.4%に対して4.4%(相対リスク:10.3、6.2~17.2)、障害年金受給率は同1.7%に対して10.6%(相対リスク:7.5、5.5~10.0)と高かった。医学的障害がない早産児でも、在胎期間の短さは、到達した教育水準、収入、社会保障の受益率、家庭の構築と関係していた。しかし失業率や犯罪活動とは関連がない。Moster氏は「1967~1983年に生まれたノルウェー人コホートでは、成人期の医学的・社会的障害リスクは、在胎期間が短いほど増大していた」と結論している。(武藤まき:医療ライター)

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シンバスタチンは神経線維腫症1型の認知機能障害を改善しない

神経線維腫症1型(NF1)は、学習障害(LD)の発症頻度が最も高い遺伝病の1つだが、近年、NF1マウス・モデルで、HMG-CoA還元酵素(3-hydroxy-3-methylglutaryl coenzyme A reductase)のスタチンが認識欠損を修復できることが示された。このため、オランダ・ロッテルダムのエラスムス大学NF1研究チームのLianne C. Krab氏らが、NF1の小児におけるスタチン系薬剤シンバスタチンの効果を検証する無作為化試験を行ったが、結果は「認知機能障害は改善されなかった」と報告されている。JAMA誌2008年7月16日号より。62例について12週間にわたり無作為化二重盲検プラセボ対照試験オランダの大学病院で2006年1月20日~2007年2月8日に、無作為二重盲検プラセボ対照試験登録されたNF1患児114例のうち62例(54%)に、12週間にわたり1日1回、シンバスタチンまたはプラセボが投与された。主要評価項目は、Rey complex figure testによる記憶想起の遅延度、cancellation testによる記憶速度、プリズム適応、MRIによる平均脳ADC(apparent diffusion coefficient)の各スコア。副次評価項目を、cancellation testの標準偏差値、認知機能のためのStroop color word test、block design、object assembly、RCFTによる模写、Beery発達機能検査による視覚統合などのスコアとして、各スコアを基線パフォーマンスと年齢、性別で補正した。有意な改善はobject assemblyスコアのみシンバスタチン群とプラセボ群の間では、Rey complex figure test(β=0.10、95%信頼区間:-0.36~0.56)、cancellation test(β=-0.19、-0.67~0.29)、プリズム適応(オッズ比:2.0、0.55~7.37)、平均脳ADC(β=0.06、-0.07~0.20)のいずれの主要評価尺度でも、全く有意差は観察されなかった。副次評価項目では、シンバスタチン群でobject assemblyスコアのみ有意な改善が見られ(β=0.54、0.08~1.01)、その傾向は、基線パフォーマンスの貧弱な小児で特によく観察された(β=0.80、95%CI:0.29~1.30)。しかし、ほかの副次評価項目は、シンバスタチン投与による有意な効果は明らかにならなかった。Krab氏は「12週間の試験では、シンバスタチンはNF1の患児の認知機能を改善しなかった」と結論付けている。(朝田哲明:医療ライター)

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子供の運動不足は10代前半で急速に進行する

運動不足は小児肥満症の増加と重要な関係がある。米国農務省は、1日最低60分間の「中程度から強度の身体活動」(MVPA)を推奨しているが、実際に最近の子供たちがどのように運動しているかを検証した継続的研究はほとんどなかった。米国カリフォルニア大学サンディエゴ校医学部小児科のPhilip R. Nader氏らは、9~15歳の追跡調査。10代前半で運動量が急激に減少していると警告した。JAMA誌2008年7月16日号より。9歳から15歳の1,032例を追跡調査米国立小児保健発達研究所(National Institute of Child Health Human Development)が1991~2007年に行い、1,032例が参加した長期研究Study of Early Child Care Youth Developmentから、9歳(2000年)、11歳(2002)、12歳(2003)、15歳(2006)の各年齢におけるMVPA時間を調べた。MVPAは身体に装着した加速度計によって分単位で記録した。参加者のうち男児は517例(50.1%)、女児は515例(49.9%)で、 白人は76.6%(n=791)、低所得世帯は24.5%(n=231)だった。主要評価項目は、参加者が加速度計を4~7日間装着して計測した時間数から割り出した、1日当たりの平均MVPA時間(分)。女児13歳、男児14歳ごろ基準を下回るこの結果、MVPA時間は、 9歳児では週末も平日も1日に約3時間だった。しかしMVPA時間は年々短縮し、週末で毎年41分間、平日でも38分間ずつ減少。15歳までに、週末で平均35分間、平日で平均49分間となっていた。男児は女児より週末で平均13分間、平日で平均18分間だけ長かったが、MVPA時間の減少率は、男女とも同じだった。推奨されたMVPA時間(平日60分間)を下回ったのは、女児では13.1歳前後。男児では14.7歳前後と推定される。週末推奨時間を回ったのは、女児が12.6年、男児が13.4歳だったとみられる。この研究コホートでは、身体活動は9歳から15歳の間に有意に減少した。(朝田哲明:医療ライター)

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腎細胞癌に対する自己腫瘍由来ワクチンによる術補助療法の有効性示せず

腎細胞癌に対する腎摘出術後の自己腫瘍由来熱ショック蛋白ワクチン(HSPPC-96、vitespen)療法は無再発生存率を改善しないことが、米国M D Anderson癌センターのChristopher Wood氏が行った無作為化第III相試験で明らかとなった。限局性腎細胞癌の標準治療は局所あるいは根治的な腎摘出術であるが、有効な補助療法がないため患者は実質的に再発のリスクに晒されているという。Lancet誌2008年7月12日号(オンライン版2008年7月3日号)掲載の報告。術後補助療法としてのvitespen群と観察群を比較本研究は、局所進行腎細胞癌切除後の高再発リスク例に対する補助療法としての自己腫瘍由来ワクチンvitespenの有用性を評価するもの。vitespen群に409例が、術後に治療を行わない観察群に409例が無作為に割り付けられた。vitespenは週1回4 週間にわたって皮内投与され、その後はワクチン効果が消失するまで2週に1回投与された。主要エンドポイントは無再発生存率とした。全体の再発率、死亡数は同等、早期ステージ群で再発率が優れる傾向フォローアップ期間中央値1.9年における再発率はvitespen群が37.7%(136/361例)、観察群は39.8%(146/367例)であり、両群間に差は認めなかった(ハザード比:0.923、95%信頼区間:0.729~169、p=0.506)。2007年3月までフォローアップを継続したところ、vitespen群で70例が死亡し、観察群の死亡数は72例であったが(p=0.896)、全体の生存データとしてはまだ十分でなく、さらなるフォローアップを続けている。American Joint Committee on Cancer(AJCC)のステージ分類に基づく事前に規定された探索的解析では、ステージIあるいはIIの症例の再発率はvitespen群が15.2%(19例)、観察群は27.0%(31例)であった(ハザード比:0.576、95%信頼区間:0.324~1.023、p=0.056)。vitespen群で最も多く報告された有害事象は、注射部位の紅斑(158例)および硬化(153例)であった。重篤な有害事象としてはグレード2の自己免疫性甲状腺炎が1例で認められたが、治療に関連したグレード3/4の有害事象は見られなかった。Wood氏は、「腎細胞癌に対する腎摘出術後のvitespenによる補助療法は、観察群との間に無再発生存率の差を認めなかった」と結論し、「vitespen群のうち早期ステージの無再発生存率の改善効果を評価するには、さらなる検証が求められる」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

10091.

急性心原性肺水腫への非侵襲的換気療法、死亡率は改善せず

急性心原性肺水腫患者に対して、気管切開・挿管によらない非侵襲的換気療法(持続気道陽圧換気療法:CPAP、または非侵襲的間欠陽圧換気療法:NIPPV)は有効で、死亡率を低下させる可能性があるとされる。そこで、英国エジンバラ王立病院のAlasdair Gray氏らThree Interventions in Cardiogenic Pulmonary Oedema:3CPOの研究グループは、気管挿管による標準酸素療法とCPAP、NIPPVを比較検討した。NEJM誌2008年7月10日号より。患者1,069例を3療法に割り付け7日間の転帰を比較非侵襲的換気療法が死亡率を低下させるかどうか、CPAPとNIPPVの転帰に重大な違いがあるかどうかを見極めるため、多施設共同公開前向き無作為化試験を行った。患者合計1,069例(平均年齢±SD:77.7±9.7歳、女性56.9%)を、標準酸素療法367例、CPAP(5~15cm H2O)346例、NIPPV(吸気圧:8~20cm H2O、呼気圧:4~10cm H2O)356例に、それぞれ割り付けた。非侵襲的換気療法と標準酸素療法を比較する主要エンドポイントは処置後7日以内の死亡。NIPPVとCPAPを比較する主要エンドポイントは同7日以内の死亡または挿管実施とした。呼吸困難と代謝障害は急速に改善するが7日後の死亡率では、標準酸素療法群(9.8%)と非侵襲的換気療法群(9.5%)に有意差はなかった(P=0.87)。非侵襲的換気療法の7日以内の死亡または挿管実施の複合エンドポイントは、CPAP(11.7%)とNIPPV(11.1%)の間に有意差はなかった(P=0.81)。非侵襲的換気療法は標準酸素療法と比較して、患者自身の申告による呼吸困難(療法差:1~10の視覚アナログスケールで0.7、95%信頼区間:0.2~1.3、P=0.008)、心拍数(療法差:毎分4拍、95%信頼区間:1~6、P=0.004)、アシドーシス(療法差:pH 0.03、95%信頼区間:0.02~0.04、P

10092.

癌患者の大うつ病管理に有効な介入法が開発された

“Depression Care for People with Cancer”と呼ばれる複合的な介入法は、専門的な医療サービスを受けている癌患者における大うつ病管理のモデルとなることが、スコットランドで実施された無作為化試験(SMaRT oncology 1)で示された。大うつ病は癌などの疾患に罹患した患者のQOLを著しく損なうが、その管理の指針となるエビデンスは少ないという。イギリスEdinburgh大学癌研究センターのVanessa Strong氏がLancet誌2008年7月5日号で報告した。通常ケアと通常ケア+看護師による介入を比較研究グループは、大うつ病の体系的なスクリーニング法と複合的な介入法を併用し、うつ病の管理とがん治療を統合した治療システムを開発した。SMaRT(Symptom Management Research Trials)oncology 1は、癌患者の大うつ病の治療法としてデザインされた介入法である“Depression Care for People with Cancer”の効果を評価する無作為化試験。2003年10月~2005年12月に、スコットランドの地域癌センターに6ヵ月以上の生存が見込まれ、大うつ病に罹患した200例の外来癌患者が登録された。平均年齢は56.6歳、141例(71%)が女性であった。99例が通常ケア群に、101例が通常ケア+介入群に無作為に割り付けられた。介入は平均7つのセッションからなり、癌センターで癌専門看護師によって施行された。主要評価項目は、無作為化後3ヵ月の時点における自己報告によるSymptom Checklist-20(SCL-20)のうつ病スケール(0~4)の平均スコアの差とした。介入群でSCL-20うつ病スコアが有意に低下データが欠失した4例を除く196例について解析を行った。3ヵ月後における補正後のSCL-20うつ病スコアは、介入を行った群で0.34低下し有意差が認められた(95%信頼区間:0.13~0.55、p=0.002)。治療効果は、6および12ヵ月の時点でも持続していた。介入により不安および疲労感の改善が見られたが、疼痛や身体機能の改善効果は認めなかった。質調整生存年(QALY)の1年の延長ごとに、新たに£5,278(US$1万556)のコストが発生した。Strong氏は、「“Depression Care for People with Cancer”は、専門的な医療サービスに参加している癌をはじめとする疾患の患者における大うつ病管理のモデルとなることが示された」と結論し、「今後、SMaRT oncology 2、3において本介入法の費用対効果や、予後不良例にもベネフィットをもたらすか否かを評価する予定である」としている。(菅野守:医学ライター)

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HIV抗体陽転から5年間の死亡リスクは一般と同等

ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染者の死亡率は、良好な治療を受ける機会に恵まれた先進国では劇的に減少し、現在では非感染者集団の死亡率に近づいている可能性がある。HIVに関するEUの大規模国際共同研究(CASCADE)グループは、HIV抗体陽転後の感染者と非感染者(一般)の死亡率の比較について、多剤併用抗レトロウイルス療法(HAART)導入前後の変化を評価。HAART導入後は5年死亡率が一般死亡率とほぼ変わらないほど改善されていると報告した。JAMA誌2008年7月2日号より。感染者と非感染者の超過死亡率を比較試験は、HIV抗体陽転後コホートの死亡率と予測死亡率(非感染者死亡率として想定した一般死亡率を因子補正しはじき出した率)とを比較するようデザインされ行われた。HIV感染者の経年変化が評価できるよう感染期間で補正構成されたPoisson-based modelが用いられている。データはヨーロッパ各国での1981~2006年のHIV感染者の死亡リスクデータを2007年9月時点で集計したもので、2008年3月に分析された。主要評価項目は、HIV感染者と非感染者の超過死亡率の比較。多剤併用抗レトロウイルス療法後は超過死亡が低下抗体陽転後コホートは、中央値6.3年(範囲:1日~23.8年間)の追跡調査が行われた被験者1万6,534例を含み、うち2,571例が死亡していた。これを予測死亡率推計ではじき出された非感染者死亡235例と比較検討された。研究グループが注目したのは超過死亡率(1,000人/年につき)の経年変化。HAART導入前(1996年以前)は40.8(95%信頼区間:38.5~43.0、超過死亡は3万1,302人/年につき1275.9)だったが、2004~2006年には6.1(95%CL:4.8~7.4、1万4,703人/年につき超過死亡89.6)へ低下。1996年以前と2004~2006年の補正超過ハザード比は0.05(95%信頼区間:0.03~0.09)。2004~2006年の性感染患者については、HIV抗体陽転から5年間の超過死亡は観察されなかった。ただし、15~24歳の被験者では、抗体陽転後10年間で4.8%であり(95%信頼区間:2.5~8.6%)、より長期間では、累積的な超過死亡の可能性は残っている。以上から、HIV感染者の死亡率は、HAART導入以来、一般死亡率に非常に近づいたと結論。先進国では、HIV感染後の期間が長くなると超過死亡率が上がるが、性交渉で感染した人は、感染後の5年死亡率は、一般集団と同レベルになっているようだと報告された。(朝田哲明:医療ライター)

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糖尿病患者の7割が合併症に不安

日本イーライリリー株式会社は、50~60代の糖尿病患者200名を対象に行ったインターネット調査から、糖尿病患者の7割が合併症に不安を持っていることがわかったと発表した。調査によると、糖尿病による合併症発症について、どの程度不安を感じているか尋ねたところ、「非常に不安である」(18.5%)、「時々不安になることがある」(52.0%)と、患者の7割以上が、合併症への不安を抱えていた。また、糖尿病治療を始めて5年以上の患者は5年未満の患者と比べて、不安を感じる割合が高く、治療期間が長くなるにつれて合併症への不安が強まることが伺える。一方、インスリン治療を実際に始めた患者では、その効果などを前向きに評価しており、3割が「もっと早く始めれば良かった」と回答している。インスリン未治療患者では、治療効果への理解が低く、6割がインスリン治療に不安を持つ結果となった。詳細はプレスリリースへhttp://www.lilly.co.jp/CACHE/news_2008_22.cfm

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α遮断薬の投与によって治療中の高血圧症例の尿中アルブミンが減少する

自治医科大学循環器科の苅尾七臣氏(=写真)らは、治療中の高血圧症患者に対するα遮断薬ドキサゾシンの就寝前投与によって、尿中アルブミン/クレアチニン比(urinary albumin/creatinine ratio、以下UAR)の有意な減少が認められたことをJournal of Hypertension誌6月号に発表した1)。これは厳格な早朝高血圧管理が臓器障害の発症抑制に及ぼす影響を検討することを目的としたJapan Morning Surge-1(JMS-1)試験より得られた結果で、α遮断薬の投与によって微量アルブミン尿が減少することを無作為化比較試験において証明した。以下、本試験の概要とこれまで得られていた知見を踏まえてレビューする。600例を越える治療中の高血圧症例を対象とした無作為化比較試験JMS-1試験では治療中の高血圧症患者611例がドキサゾシン群と対照群とに無作為に割り付けられ、6ヵ月後の血圧値(外来血圧、早朝血圧、就寝前血圧)とUARが評価された。ドキサゾシンは1~4mg/日を就寝前に投与された。対象の3人に2人はCa拮抗薬(ドキサゾシン群:66.6%、対照群:65.6%)が、約6割にARB(ドキサゾシン群:60.3%、対照群:57.5%)、約2割に利尿薬が投与されていた。また、約15%が糖尿病を合併しており(ドキサゾシン群:15.3%、対照群:16.5%)、238例(対象の39.0%)に微量アルブミン尿(UAR:30-300 mg/gCr)が認められた。ドキサゾシンの追加投与によって治療中の高血圧症例の血圧が有意に低下ドキサゾシンの投与によって試験期間中を通じて血圧値は対照群より低値でコントロールされ、6ヵ月後におけるドキサゾシン群と対照群の血圧差は、外来血圧で8.7/7.5mmHg、早朝血圧で8.9/6.0mmHg、就寝前血圧で4.8/4.0mmHgであり、いずれも有意な差を認めた。ドキサゾシンの投与によって尿中アルブミン/クレアチニン値が有意に減少UARはドキサゾシンの投与によって3.4mg/gCr減少し、対照群に比べて有意な差が認められた(p

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高血圧管理にはインターネットによる薬剤師支援が有効

高血圧治療の進展は心血管系疾患の死亡率と身体機能障害を減少させはしたが、患者の大半はコントロール不十分な状態にいる。そこで米国・ワシントン大学のBeverly B. Green氏らは、薬剤師によるインターネットを利用した患者支援(血圧モニタリング、情報提供サービス)という新しいケアモデルを検討した。無作為化試験の結果、「インターネットによる薬剤師の管理は血圧管理を改善する」と報告している。JAMA誌2008年6月25日号より。25~75歳の参加者778例を約1年追跡本研究は「Chronic Care Model」に基づく3群無作為化試験「Electronic Communications and Home Blood Pressure Monitoring study」。対象は、ワシントン州で参加登録した、未治療の本態性高血圧でインターネット接続可能な25~75歳の参加者778例。2005年6月から2007年12月にかけて、ネット支援は患者専用ウェブサイトを利用して行われた。参加者は、一般的な治療を受けるグループ、自宅で血圧モニタリング+患者ウェブサイトを利用するグループ、自宅での血圧モニタリング+患者ウェブサイト利用+インターネットを通じた薬剤師の管理支援を受けるグループに、無作為に割り付けられた。主要評価項目は、血圧140~90mm Hg未満にコントロールできた患者比率と、12ヵ月間の収縮・拡張期血圧の変化とした。収縮期・拡張期血圧とも薬剤師管理群が改善778例のうち730例(94%)が、1年間の追跡調査を完了。正常血圧(140~90mm Hg未満)の比率は、通常ケア群の31%と比べ、在宅血圧モニタリング+ウェブ利用群は36%で、有意な上昇は確認されなかった(P=0.21)。しかし、在宅血圧モニタリング+ウェブ利用+薬剤師管理群は56%で、通常ケア群(P<0.001)、在宅血圧測定とウェブ利用群(P<0.001)と比べ高い改善が確認された。収縮期血圧は、通常ケア群→在宅血圧モニタリングとウェブ利用群→在宅血圧モニタリング+ウェブ利用・薬剤師管理群へと段階的に減少。拡張期血圧は、薬剤師管理のあった群でだけ減少した。ベースラインの収縮期血圧が160mm Hg以上で、在宅血圧モニタリング+ウェブ利用+薬剤師管理を受けた群は、通常ケア群より収縮期血圧で-13.2 mm Hg(P<0.001)、拡張期血圧で-4.6 mm Hg(P<0.001)と顕著な低下を達成し、血圧管理が改善した(相対リスク:3.32、P<0.001)。インターネットの専用患者ウェブサイトを通して行われる情報提供と薬剤師による管理は、高血圧患者の血圧改善に役立つと結論づけている。(朝田哲明:医療ライター)

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再発寛解型多発性硬化症に対するlaquinimod治療は、増量しても有効かつ耐用可能

再発寛解型多発性硬化症(RRMS)の新たな治療薬であるlaquinimodは、0.6mg/日に増量しても十分に耐用可能で、MRI上の疾患活動性を有意に低減させることが、イタリアVita-Salute大学San Raffaele科学研究所のGiancarlo Comi氏らが実施した第IIb相試験で明らかとなった。すでに、laquinimod 0.3mg/日の安全性および有効性は確かめられていた。Lancet誌2008年6月21日号掲載の報告。2つの用量を比較する国際的なプラセボ対照無作為化第IIb相試験本研究は、9ヵ国51施設が参加した二重盲検プラセボ対照無作為化第IIb相試験。1年以内に1回以上のRRMSの再燃がみられ、MRIによるスクリーニングで1ヵ所以上のガドリニウム増強病変を認めた症例を登録することとした。720例がスクリーニングを受け、306例が適格例として登録された。年齢は18~50歳であった。プラセボ群に102例、laquinimod 0.3mg/日群に98例、laquinimod 0.6mg/日群に106例が割り付けられた。脳MRIおよび臨床評価は、ベースラインの4週前およびベースライン時に行い、その後は12週目から36週目まで毎月1回実施した。主要評価項目は、24、28、32、36週目のガドリニウム増強病変の累積数とした。0.6mg投与群で有意な改善効果0.6mg投与群では、最後の4回のMRI検査におけるガドリニウム増強病変の補正平均累積数のベースラインからの低下率が、プラセボ群の40.4%に減少し、有意な改善効果が認められた[単純平均4.2回(SD 9.2) vs. 2.6回(SD 5.3)、p=0.0048]。0.3mg投与群では有意な改善効果は認めなかった(p=0.6740)。両用量群とも、数例で肝酵素の用量依存性の上昇が一過性に見られたが、耐用性は良好であった。基質的に血液凝固亢進が見られる0.6mg群の1例で、投与1ヵ月後にBudd-Chiari症候群(肝静脈の血栓性の閉塞)が認められた。抗血栓療法によって肝酵素が減少し、臨床的に肝の代償不全の徴候のない状態に正常化した。Comi氏は、「RRMSに対するlaquinimod治療では、投与量を0.6mg/日に増量しても良好な耐用性を示し、MRI上の疾患活動性を有意に低減させた」と結論している。(菅野守:医学ライター)

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セント・ジョーンズ・ワートは注意欠陥多動障害(ADHD)に効果なし

年少者の注意欠陥多動性障害(ADHD)には興奮剤が有効で、患者の60%~70%を効果的に治療できるが、多くの親は代替療法を求める。米国では植物性薬品(ハーブ)が人気だが、その中でセント・ジョーンズ・ワート(セイヨワートギリソウ=Hypericum perforatum)は使用されるハーブの上位3つに入る。補完代替療法を主体とするバスティア大学(アメリカ)のWendy Weber氏らは、ADHD治療におけるセント・ジョーンズ・ワートの有効性と安全性を検討し報告した。JAMA誌2008年6月11日号より。54例に二重盲検プラセボ対照試験本研究は2005年3月から2006年8月までの間、ADHDの基準「精神疾患の分類と診断の手引第4版(DSM-IV)」を満たした6~17歳のボランティア患者54例を対象に、無作為二重盲検プラセボ対照試験が行われた。被験者は、1週間のプラセボ同時投与の後8週間にわたり、H perforatum300mg(ヒペリシン0.3%)を毎日3回服用する群(n=27)と、同量のプラセボ投与を受ける群(n=27)に無作為に割り付けられた。試験期間中、ADHDのための他の薬物投与は禁じられた。主要評価項目は「ADHD Rating Scale.IV」(範囲:0~54)と「Clinical Global Impression Improvement Scale=臨床全般印象尺度」(範囲:0~7)の成績と有害事象。試験期間中に、プラセボ群の患者1人が、有害事象のため試験を中止した。症状改善、副作用ともに有意差なしベースラインから第8週まで、H perforatum投与群とプラセボ群の間でADHD Rating Scale.IVスコアの変化に有意差はなかった。不注意症状の改善ではH perforatum群が2.6ポイント(95%信頼区間:4.6~0.6ポイント)、プラセボ群3.2ポイント(5.7~0.8ポイント)だった(P=0.68)。また多動症状の改善では、H perforatum群1.8ポイント(3.7~0.1ポイント)、プラセボ群2.0ポイント(4.1~0.1ポイント)だった(P=0.89)。「Clinical Global Impression Improvement Scale」による改善基準(スコア2)を満たした参加者の比率でもH perforatum群(44.4%)とプラセボ群(51.9%)に有意差はなかった(P=0.59)。研究期間中に有害事象を経験した参加者の数でも、H perforatum群(40.7%)、プラセボ群(44.4%)で違いはなかった(P=0.78)。「有意差はみられず、H perforatumが症状を改善されすることはなかった」と結論付けている。(朝田哲明:医療ライター)

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「ランタス注ソロスター」新発売

サノフィ・アベンティス株式会社は、6月20日、 1型および2型糖尿病患者を対象とするディスポーザブル型インスリンペン型注入器を用いたキット製剤「ランタス注ソロスター」の販売を開始した。ランタス注ソロスターは、1日1回投与の持効型溶解インスリンアナログ製剤「ランタス」〔インスリン グラルギン(遺伝子組換え)〕を投与するためのディスポーザブル型の新しいインスリンペン型注入器を用いたキット製剤。詳細はプレスリリースへhttp://www.sanofi-aventis.co.jp/live/jp/ja/layout.jsp?scat=F46269E9-3D18-4250-BA23-5A6A7A0ECD74

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血糖降下強化療法は有害:ACCORD

2型糖尿病患者の糖化ヘモグロビン値と心血管イベントとの関連はこれまで疫学研究で示されている。2型糖尿病の大規模試験ACCORD(The Action to Control Cardiovascular Risk in Diabetes)研究グループは、糖化ヘモグロビン値を正常化するための強化療法が心血管イベントを減らすかどうかを検討していたが、死亡リスクが増大し試験は中止に至った。NEJM誌2008年6月12日号(オンライン版2008年6月6日号)より。患者1万251例を強化療法群と標準治療群に割り付け試験は、糖化ヘモグロビン値の中央値8.1%の患者計1万251例(平均年齢62.2歳、女性38%、心血管イベント経験35%)を、強化療法(糖化ヘモグロビン値の目標値6.0%未満)または標準治療(同7.0~7.9%)に無作為に割り付け行われた。主要転帰は、非致死的な心筋梗塞、非致死性の脳卒中、または心血管系の原因による死亡の複合。死亡率は上昇し心血管イベントの減少はわずか本試験は、平均3.5年の追跡調査後、強化療法群の死亡率が標準治療群よりも高まったため試験は中断されるに至った。試験開始1年目に、糖化ヘモグロビン値は強化療法群では6.4%、標準治療群では7.5%の安定した中央値が達成された。しかし追跡調査の間に、主要転帰の発生が、強化療法群では352例、標準治療群では371例でハザード比は0.90(95%信頼区間:0.78~1.04、P=0.16)。一方、死亡に関しては、標準治療群では203例だったのに対し強化療法群では257例発生し、ハザード比は1.22(95%信頼区間:1.01~1.46、P=0.04)だった。また強化療法群のほうが、低血糖症および10kg以上の体重増加の頻度が高かった(P

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