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副作用の徐脈性不整脈、QT延長症候群を考えよう(2)【モダトレ~ドリルで心電図と不整脈の薬を理解~】第2回

副作用の徐脈性不整脈、QT延長症候群を考えよう(2)QuestionCa拮抗薬のベラパミルが過度に作用し、房室結節の刺激伝導が完全に遮断されると心電図波形はどのようになるでしょうか?

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第10回 年間10万人、CT検査の氾濫が生む“将来のがん”

近年、CT検査は診断能が飛躍的に向上し、急速に普及したため、米国では2023年に6,151万人に対し、約9,300万件もの検査が実施されました。人口当たりに直すと、1,000人当たり約280件となり、数字の大きさがより実感しやすいかもしれません。これは実際、世界でもトップレベルの頻度です。CT検査で用いられるX線は、細胞の損傷や遺伝子の突然変異を起こすのに十分なエネルギーを持つ「イオン化放射線」に分類され、「既知の発がん性物質」として扱われています。今回ご紹介するSmith-Bindman氏らの研究では、このCTの撮像回数から被曝量を割り出し、この被曝が米国国民の発がんにどの程度寄与するのかを推計しています1)。検査氾濫が招く10万件超のがんリスク彼らの研究モデルによれば、CT検査に伴うイオン化放射線による将来のがん発症数は、平均で年間約10万3,000件に上り、米国における年間新規がん診断の約5%を占めるという衝撃的な推計が行われました。子供では検査1件当たりのリスクが高くなるものの、検査件数そのものは成人に偏っているため、結果的に成人へのCT検査が総発がん数の約91%(約9万3,000件)を担うと報告されています。がんの内訳を見ると、肺がんが最も多く2万2,400件、次いで大腸がん、白血病、膀胱がんと続きます。女性では乳がんが5,700件と推計されました。部位別では、成人の腹部・骨盤部のCT検査が3,000万件(全検査の32%)実施され、それに由来するがんは3万7,500件と最も多く、続いて胸部CTが2,000万件(21%)で、将来のがんは2万1,500件と見積もられています。多様な分析を行ったうえでも、推計の総発がん数は8万~12万7,000件の範囲となり、推計値の不確実性を勘案しても、変わらず重要性の高い問題であると考察されています。この報告が重要なのは、単に「CTは放射線リスクを伴う」といった抽象的な議論ではなく、検査件数と年齢・部位別の実測の放射線量データを用いて、具体的な将来の発がん数を予測した点にあります。日本では――適正化への道標では、この結果を日本でどう受け止めればよいでしょうか。日本もOECD加盟国のなかでCT検査件数が常に上位にあり、米国ほどではないものの、検査回数も1人当たり高水準で推移しています。日本国内のNDBオープンデータに基づく推計では、例年人口1,000人当たり200~250件前後という高い水準です2,3)。今回の報告を参考にすると、日本で検査に伴う放射線発がんの潜在的負荷は決して無視できません。もちろんこれは、診断に必要とされる場合など、必要なCT検査をやめましょうという話ではありません。しかし、「一応、CTを撮っておきましょう」と必要性が曖昧な検査が行われていることも事実です。これについては、見直しが必要であることを改めて教えてくれる研究結果であったと思います。代替手段として超音波検査などで対応できたものもあるでしょう。また、可能な限り被曝を抑えた撮影条件を徹底し、検査部位を最小限に留めるなどの対策も重要です。結論として、本論文は「CT検査は命を救うが、利用過多は将来のがんを増やす」というトレードオフを定量的に示し、検査適正化と線量管理の徹底こそが利益と安全性の両立に不可欠であることを教えてくれます。医療者も患者も、急ぎでないCT検査の必要性を立ち止まって見極める意識がますます重要といえるのではないでしょうか。 1) Smith-Bindman R, et al. Projected Lifetime Cancer Risks From Current Computed Tomography Imaging. JAMA Intern Med. 2025 Apr 14. [Epub ahead of print] 2) Tsushima Y, et al. Radiation Exposure from CT Examinations in Japan. BMC Med Imaging. 2010;10:24. 3) 厚生労働省.【NDB】NDBオープンデータ.

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歯痕舌と血圧が関連~日本人集団

 東洋医学では舌の周囲に歯形がついた歯痕舌は体液貯留を示し、高血圧と関連する可能性があるが、歯痕舌と血圧の関連を調べた疫学研究はほとんどない。今回、順天堂大学の謝敷 裕美氏らが日本の地域住民を対象にした東温スタディにおいて検討したところ、潜在的交絡因子の調整後も歯痕舌のある人は収縮期血圧(SBP)と拡張期血圧(DBP)が高いことが明らかになった。American Journal of Hypertension誌オンライン版2025年4月17日号に掲載。 本研究は東温スタディ(愛媛県東温市における保健事業の評価、ならびに循環器疾患発症にかかる新たな危険因子の検索を目的とするコホート研究)に参加した30~84歳の1,681人を対象とし、歯根舌を舌画像により評価し、歯痕舌あり群と歯痕舌なし群に分けた。SBP≧140mmHgまたはDBP≧90mmHgまたは降圧薬の使用を高血圧と定義した。多変量調整ポアソン回帰分析を用いて、年齢、性別、肥満度を含む潜在的交絡因子を調整後、歯痕舌と血圧の関連を検討した。 主な結果は以下のとおり。・参加者のうち、326人(19.6%)が歯痕舌で、624人(51.6%)が高血圧であった。・多変量調整後のSBPの平均値は、歯痕舌なし群、歯痕舌あり群の順に126.6mmHg、129.7mmHg(p<0.01)、DBPの平均値は順に76.5mmHg、78.0mmHg(p=0.02)であった。・歯痕舌なし群に対する歯痕舌あり群の多変量調整有病率比(95%信頼区間)は、高血圧、SBPおよびDBPの最高四分位順に、1.21(1.04~1.41)、1.50(1.23~1.84)、1.25(1.03~1.53)であった。

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未治療高齢マントル細胞リンパ腫、アカラブルチニブのベンダムスチン・リツキシマブへの上乗せでPFS延長(ECHO)/JCO

 未治療の高齢マントル細胞リンパ腫患者に対して、ベンダムスチン・リツキシマブへのアカラブルチニブの上乗せ効果を検討した第III相ECHO試験の結果について、米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのMichael Wang氏らがJournal of Clinical Oncology誌オンライン版2025年5月1日号に報告した。主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)はアカラブルチニブの追加で有意に延長した。 本試験は、未治療の65歳以上のマントル細胞リンパ腫患者を対象とした多施設二重盲検プラセボ対照第III相試験である。全例に導入療法としてベンダムスチン(90mg/m2、1日目と2日目)およびリツキシマブ(375mg/m2、1日目)を6サイクル(1サイクル28日)投与し、部分奏効または完全奏効が得られた患者には、維持療法として8サイクル目から30サイクル目までの偶数サイクルの1日目にリツキシマブ(375mg/m2)を投与した。アカラブルチニブまたはプラセボは、ベンダムスチン・リツキシマブとともに開始し、病勢進行または許容できない毒性が認められるまで投与した。なお、病勢進行時にはアカラブルチニブ群へのクロスオーバーが認められた。主要評価項目は独立判定委員会によるPFS、副次評価項目は全奏効率と全生存期間(OS)であった。 主な結果は以下のとおり。・計598例がアカラブルチニブ群とプラセボ群に299例ずつ無作為に割り付けられた。・追跡期間中央値44.9ヵ月の時点で、PFS中央値はアカラブルチニブ群で66.4ヵ月、プラセボ群で49.6ヵ月であった(ハザード比[HR]:0.73、95%信頼区間[CI]:0.57~0.94、p=0.0160)。・有用性は高リスク群を含むすべてのサブグループで認められた。・全奏効率および完全奏効率は、アカラブルチニブ群で91.0%および66.6%、プラセボ群で88.0%および53.5%であった。・OSに有意差はみられなかった(HR:0.86、95%CI:0.65~1.13、p=0.27)。・Grade3以上の有害事象は、アカラブルチニブ群で88.9%、プラセボ群で88.2%に発現した。

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オキシトシン受容体拮抗薬atosibanは48時間以内の分娩を予防するが、新生児転帰を改善せず(解説:前田裕斗氏)

 切迫早産に対する子宮収縮抑制薬の分娩延長効果、新生児転帰の改善効果をプラセボと比較したランダム化比較試験である。子宮収縮抑制薬にはβ刺激薬やCa拮抗薬など、すでに点滴製剤がさまざまにある中で、今回新たにオキシトシン受容体拮抗薬についての研究が出された背景には、(1)オキシトシン受容体拮抗薬は副作用が他薬と比べて起こりにくいこと(2)オキシトシン受容体拮抗薬の大規模な研究、とくにRCTが存在しなかったことの2点がある。 結果からは、48時間以上の妊娠期間延長(atosiban群78%vs.プラセボ群69%、リスク比[RR]:1.13、95%信頼区間[CI]:1.03~1.23)および副腎皮質ステロイドの投与完遂率(atosiban群76%vs.プラセボ群68%、RR:1.11、95%CI:1.02~1.22)については有意に認められたものの、新生児死亡ないし重大合併症をまとめた複合アウトカムについては有意な減少効果は認められなかった(atosiban群8%vs.プラセボ群9%、RR:0.90、95%CI:0.58~1.40)。 他の子宮収縮抑制薬と比較すると、Ca拮抗薬、β刺激薬ともに48時間の分娩延長効果は有意に認められており、新生児転帰の改善効果についてはβ刺激薬では認められず、Ca拮抗薬ではメタアナリシスで有意な改善が報告されている。これだけ見るとCa拮抗薬に軍配が上がりそうだが、atosibanは今回の研究でも合併症発生率が低く検出力が足りていなかった可能性があること、研究数が少なくメタアナリシスが困難であることなどから結論は出せないと考えてよい。 日本ではatosibanは未発売であるが、今後発売されれば副作用の少なさから他薬より優先的に使用される可能性はあるだろう。最後にこれは感想であるが、本研究を見ていると早産治療の限界を感じる。短期間の子宮収縮抑制薬+副腎皮質ステロイド投与という標準治療を、切迫早産疑いの妊婦におしなべて投与するだけでは効果不十分であるかもしれないと考えると、本当に早産になる症例の予測か、あるいは新規に新生児転帰を改善する治療法の出現が待たれる。

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治療抵抗性うつ病に対する第2世代抗精神病薬増強療法〜ネットワークメタ解析

 治療抵抗性うつ病の成人患者に対する抗うつ薬と併用した第2世代抗精神病薬(SGA)増強療法のレジメンの根底にある「time window」効果をフォローアップ期間で調整しながら調査するため、中国・大連医科大学のBinru Bai氏らは、ネットワークメタ解析を実施した。BMC Psychiatry誌2025年4月5日号の報告。 Embase、PubMed、Scopus、Cochrane Library、Google Scholars、Clinicaltrials.govを含むデータベースより、2024年5月15日までに公表されたランダム化比較試験を検索した。主要エンドポイントは、Montgomery Asbergうつ病評価尺度(MADRS)スコアとした。副次的エンドポイントはMADRS反応率、3次エンドポイントは臨床全般印象度(CGI-S)およびMADRS寛解率とした。標準平均差(SMD)およびハザード比(HR)は、それぞれ二値変数および連続変数との比較について、ベイジアンネットワークメタ回帰(NMR)により算出した。 主な結果は以下のとおり。・NMRには、24種類の増強薬を用いた23件(1万679例)の研究を含めた。・抗うつ薬治療と比較し、主要エンドポイントで有意な効果が得られた増強療法は、次のとおりであった(SMD:−0.28〜−0.114)。 ●アリピプラゾール 3〜12mg/日 ●ブレクスピプラゾール 1〜3mg/日 ●cariprazine 1.5〜3mg/日 ●オランザピン 6〜12mg/日+fluoxetine 25〜50mg/日併用 ●クエチアピンXR・エフェクトサイズは同等であり、フォローアップ期間を調整した後、クエチアピンXRを除き、主要エンドポイントの結果は同様であった(SMD:−0.10、95%信頼区間:−0.212〜−0.014)。・time windowが認められた薬剤は、次のとおりであった。 ●ブレクスピプラゾール 3mg/日:7.22週 ●cariprazine 1〜2mg/日:2.97週 ●cariprazine 2〜4.5mg/日:2.81週 ●cariprazine 3mg/日:7.16週 ●オランザピン 6〜12mg/日:4.11週 ●クエチアピン 150〜300mg/日:3.89週・MADRS反応率では、ブレクスピプラゾール3mg/日およびリスペリドン0.5〜3mg/日が他の薬剤よりも明らかに優れていた(HR:1.748〜2.301)。・抗うつ薬治療と比較し、CGI-S(SMD:−0.438〜−0.126)およびMADRS寛解率(HR:0.477〜3.326)において顕著な有効性を示した増強療法は、次のとおりであった。【CGI-S】 ●アリピプラゾール 2〜20mg/日 ●ブレクスピプラゾール 2〜3mg/日 ●cariprazine 3mg/日 ●オランザピン 6〜12mg/日+fluoxetine 25〜50mg/日併用 ●リスペリドン 0.5〜3mg/日【MADRS寛解率】 ●アリピプラゾール 2〜20mg/日 ●ブレクスピプラゾール 3mg/日 ●cariprazine 3mg/日 ●リスペリドン 0.5〜3mg/日 著者らは「各エンドポイントと対応するtime windowを総合的に考慮すると、特定のSGAは、治療抵抗性うつ病に対する抗うつ薬の補助療法として有用であり、とくにアリピプラゾールは、他の薬剤よりも有効性および忍容性が良好であることが示唆された」と結論付けている。

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炭水化物を減らすと2型糖尿病患者の予後が改善/順天堂大

 2型糖尿病患者では、心血管イベントや死亡のリスクが高いことが知られている。今回、2型糖尿病患者における食事の栄養素と予後との関連性を調査した結果、炭水化物の摂取割合が高いほど心血管イベントや死亡のリスクが増大し、炭水化物を減らして動物性のタンパク質や脂質の摂取を増加させるとそれらのリスクが低減することが、順天堂大学の三田 智也氏らによって明らかになった。Journal of Clinical Endocrinology and Metabolism誌オンライン版2025年3月21日号掲載の報告。 炭水化物制限は2型糖尿病患者の血糖コントロールに有用である可能性が報告されている。しかし、炭水化物の摂取割合が心血管イベントや死亡リスクに与える影響や、炭水化物の摂取量を減らしてタンパク質や脂質を増やすことによる影響など、依然として不明な点は多い。そこで研究グループは、2型糖尿病患者を対象に、食事の栄養素を含むさまざまな生活習慣と心血管イベントや死亡リスクとの関連性を、最大10年間にわたって前向きに調査した。 対象は、順天堂大学医学部附属順天堂医院などの医療機関に通院中で、心血管イベントの既往がない2型糖尿病患者731例であった。試験開始時、2年後、5年後に食事、身体活動量、睡眠時間、睡眠の質、生活リズムなどのさまざまな生活習慣を質問紙を用いて聴取し、各生活習慣スコアの平均値を算出した。多変量Cox比例ハザード回帰モデルを用いて、各生活習慣と主要アウトカム(心血管イベントまたは全死因死亡)との関係性を解析した。 主な結果は以下のとおり。・参加者の平均年齢は57.8±8.6歳、男性が62.9%、平均BMIは24.6±4.1kg/m2であった。・平均追跡期間は7.5±2.4年で、55例(7.5%)で主要アウトカムが発生した。・炭水化物の摂取割合が高いほど主要アウトカムのリスクが高かった(ハザード比:1.06、95%信頼区間:1.02~1.10、p=0.005)。・炭水化物摂取量を減らし、動物性のタンパク質や脂質を増やすほど、主要アウトカムのリスクが低かった。・飽和脂肪酸の摂取割合が高いと主要アウトカムのリスクが低かった。 研究グループは、「これらのデータは2型糖尿病患者において食事の栄養素を考慮する必要性を強調するものである」とまとめた。

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2型糖尿病患者においてもインスリン自動投与システム AIDは有効である(解説:住谷哲氏)

 インスリン自動投与システムautomated insulin delivery(AID)の有効性は1型糖尿病患者においては確立されている1)。AIDにはいくつかの種類があるが、本試験で使用されたのはTandem Diabetes CareのControl-IQ+である。Control-IQ+は、基礎インスリン分泌に加えて高血糖時の補正インスリンcorrection bolusも自動化した新しいclosed-loop systemである。本試験は、すでに米国食品医薬品局(FDA)から1型糖尿病患者に対して承認されているControl-IQ+の、2型糖尿病患者への承認を目指しての臨床試験と思われる。 試験参加者をインスリン頻回注射療法MDIにDexcom G6を併用する群(対照群)とControl-IQ+にDexcom G6を併用する群(AID群)に振り分けて、試験開始13週後のHbA1cを主要評価項目とした。結果は、主要評価項目のHbA1cは対照群で8.1%から7.7%に低下したのに対し、AID群では8.2%から7.3%に低下した。さらに副次評価項目のTIRは対照群で51%から52%に上昇したのに対し、AID群では48%から64%に上昇した。両指標ともにAID群で対照群に比較して有意な改善を認め、AIDは2型糖尿病患者においてもMDIに比較して血糖コントロールの改善に有効であることが示された。 FDAはInsuletのAIDであるOmnipod 5をSECURE-T2D試験2)の結果に基づいて、2型糖尿病患者への使用をすでに承認している。Control-IQ+も本年2月に2型糖尿病患者に対して承認された。2型糖尿病患者に対するAIDが普及するのも時間の問題である。しかしインスリン分泌が保たれている2型糖尿病患者において、AIDを用いてHbA1cをわずかに低下させることが患者の予後を改善するかは、筆者には少々疑問である。2型糖尿病患者におけるAIDの使用については、医療資源の観点も含めた議論が必要であると思われる。

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転倒防止はお口の健康から(Dr.坂根のすぐ使える患者指導画集)

患者さん用画 いわみせいじCopyright© 2025 CareNet,Inc. All rights reserved.説明のポイント(医療スタッフ向け)診察室での会話患者最近、何もないところでつまずいたりして…。それに、歯の調子も良くなくて…。医師 それは心配ですね。歯の本数が少なくなると、転倒しやすいことがわかっていますからね。患者 えっ、そうなんですか。医師 はい。歯の本数が20本以上の人に比べると、19本以下の人は転倒するリスクが2.5倍にもなるそうですよ。画 いわみせいじ患者 本当ですか! けど、どうして歯がないと転びやすいんですか?(怪訝な顔)医師 その理由の1つは頭のバランスです。(身振り手振りを加えながら)患者 頭のバランス?医師 そうです。人間の頭はほかの動物と比べても大きいのですが、ものを食べる筋肉(咀嚼筋)や歯(歯根膜)から脳に向かう神経伝達で、頭部のバランスをとっています。ところが、歯がなくなったり、入れ歯をつけずに、咬み合わせが悪いと、それらがうまくできなって転倒しやすくなるんです。それに…。患者 なるほど。それに?医師 それに、かみ合わせが悪いと、力が入りにくくなって、転びそうになったときに何かにつかまることができなかったり、踏ん張ることができずに、転倒しやすくなるんです。患者 なるほど。歯は本当に大事なんですね。(納得した顔)ポイントお口の健康と転倒予防が関連することをわかりやすく説明します。Copyright© 2025 CareNet,Inc. All rights reserved.

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第265回 家庭用洗濯機の病原菌除染は不十分かもしれない

家庭用洗濯機の病原菌除染は不十分かもしれない医療者が自宅で仕事着(ユニフォーム)を洗うことは、抗菌薬耐性感染症を院内で知らずに広めてしまっているかもしれません1,2)。米国や英国の医療者が自宅で仕事着を洗うことはよくあることです。英国の医療者をSARS-CoV-2感染症(COVID-19)流行の最中に調べたところ、ほとんどが看護師で占められる1,277人のうち、実に86%(1,099人)が家庭の洗濯機で仕事着を洗っていました3)。そんな英国では、政府の保健部門NHSが医療者の仕事着を確実に除染して感染が同居人にうつらないようにするための事細かな手段を2020年に示しています4)。たとえば、他の洗濯物と分けて洗うこと、できるだけ熱いお湯で洗うこと、洗濯量が多すぎないようにすること、洗濯機を定期的に洗浄することが推奨されています。とはいえ家庭用洗濯機はNHSが推奨する水温基準を満たして稼働しているかどうかが確認されることなく使われます。それに長く使った場合の性能もよくわかりませんし、使われる洗剤もまちまちで、水の硬度も洗濯性能に影響を及ぼしうることが知られています。そこで英国の大学(De Montfort University)の研究チームは、医療者の仕事着が家庭での洗濯でどれだけ除染できるかを病原性細菌(フェシウム菌)の減少を指標にしていくつかの条件を設定して調べてみました。試した6台の家庭用洗濯機のうち4台は60℃の熱水での標準コース(full-length cycle)でフェシウム菌を十分に減らせました。一方、お急ぎコース(rapid cycle)だと3台の洗濯機は規定水準の60±4℃に達しておらず、フェシウム菌を十分に減らせませんでした。さらに6台の洗濯機を加えた12台の洗濯機からの検体を調べたところ、解析に十分なDNA濃度が得られた8台からの検体に病原性となりうる細菌が見つかりました。抗菌薬抵抗性と関連する遺伝子も検出されました。また、家庭用の洗濯洗剤に細菌が抵抗性を獲得し、それが仇となって抗菌薬耐性も増やしうることも示されました。それらの結果を受けて、害が生じないようにするために医療者の仕事着の自宅での洗濯方針の手直しが必要だと著者は言っています。たとえば、バイオフィルムの蓄積や微生物の混入を減らす定期的な洗浄や抗菌作用がある洗剤の医療者への配給や提示が必要かもしれません。しかし、自宅での洗濯方針を示したところで家庭用洗濯機が除染に必要な水温に達していない恐れがあります。今回の研究でも60℃前後に達するとされているのにそうはならない場合がありました。実際、家庭での洗濯物を発端とする感染流行が発生しています。ゴードニア細菌(Gordonia bronchialis)が定着していた家庭用洗濯機で汚染された手術衣が原因らしい術後感染の3例が2012年に報告されています5)。2019年の報告では、母親の衣類の洗濯用に準備された小児病院の家庭用洗濯機で図らずも洗濯された新生児の帽子や靴下を介して、多剤耐性のクレブシエラ オキシトカが新生児や乳児にうつったとされています6)。できれば医療者任せの洗濯をやめ、適切に管理されて運用される専門の洗濯設備を各職場が準備するか、専門の洗濯会社を利用することで抗菌薬耐性病原体の広がりを防いで患者の安全性を改善できそうです。 参考 1) Cayrou C, et al. PLoS One. 2025;20:e0321467. 2) Home washing machines fail to remove important pathogens from textiles / Eurekalert 3) Owen L, et al. Am J Infect Control. 2022;50:525-535. 4) Uniforms and workwear: guidance for NHS employers / NHS 5) Wright SN, et al. Infect Control Hosp Epidemiol. 2012;33:1238-1241. 6) Schmithausen AE, et al. Appl Environ Microbiol. 2019;85:e01435-19.

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クロザピンの米国添付文書、30年の時を経て改訂されるか〜世界中の専門家の意見

 クロザピンは、1989年より米国において使用が再開された抗精神病薬であり、米国の添付文書は、時代遅れとなっていることが指摘されている。米国・ Wayne State UniversityのJose de Leon氏らは、クロザピンの添付文書改訂案を作成するため、文献の包括的レビューを実施した。Journal of Clinical Psychopharmacology誌オンライン版2025年4月9日号の報告。 パートIでは、407件の関連論文に基づき基礎薬理学(クリアランス、薬物動態および薬力学、モニタリングツール)に焦点を当て検討した。パートIIでは、WHOのグローバル医薬品安全性監視データベースより、2023年1月15日までに米国より報告されたデータを用いて、臨床的側面および医薬品安全性監視に焦点を当て、致死的な臨床アウトカムおよび5つの警告(そのうちの4つはクロザピン特有で、重度の好中球減少、発作、起立性調節障害、心筋炎であり、1つはすべての抗精神病薬に関連する認知症高齢者への使用)に関して検討した。 主な結果は以下のとおり。・パートIでは、次の9つの主要な問題点が特定された。(1)in vivo試験において、クロザピンの代謝はCYP1A2に依存していることが示唆された(2)CYP2D6の影響が小さいことから、CYP2D6低代謝患者におけるクロザピンの減量に関する記載を削除する必要がある(3)非毒性濃度において、CYP3A4は代謝に関与しておらず、強力なCYP3A4阻害薬は臨床的に関連する影響を及ぼさない(4)最新のエビデンスに基づき、いくつかの薬物相互作用に関する知見を更新する必要がある(5)全身性炎症は、クロザピン代謝を低下させ、クロザピン中毒リスクを高める可能性がある(6)肥満は、クロザピン代謝を低下させる可能性がある(7)アジア系およびアメリカ先住民族の患者では、クロザピンを減量する必要がある(8)プロスペクティブ研究が利用可能になるまで、個別化用量設定およびC反応性タンパク質モニタリングを検討すべきである(9)米国では、夜間単回投与の頻度が高いため、半減期に関する項を修正する必要がある・パートIIでは、米国におけるクロザピンに関する報告件数は最も多く、5万6,003件の報告および9,587件の関連致死的アウトカムが報告されていた。・クロザピンに関する4つの警告は、534件の死亡例と関連していた(重度の好中球減少218件、発作131件、起立性調節障害125件、心筋炎36件、心筋症24件、僧帽弁逸脱症0件)。・警告以外では、肺炎で674件、感染の兆候である白血球数増加で596件の死亡例と関連していた。・重複を考慮すると、肺炎と白血球数増加は900件の死亡例、つまり9,587件の死亡例のうち9.4%を占めることが明らかとなった。・米国FDAは、重度の好中球減少に注目しているが、これは死亡例の218件(2.3%)にしかすぎなかった。一方、米国のクロザピン治療患者で報告された死亡例の97.7%は、別の原因によるものであった。 著者らは「これらの結果は、44の国と地域、124人の米国以外のクロザピン専門家からの支持を得られた。とくに、クロザピン治療患者の将来の死亡リスクを抑制するためにも、感染症による致死的アウトカムに焦点を当てるべきである。米国におけるクロザピンの添付文書改訂は、世界中の添付文書に改訂につながる可能性がある」と結論付けている。

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不必要な画像検査は温室効果ガス排出量増加の一因に

 最近の健康ブームに乗って、全身MRI検査やCT検査にお金をかけようとしている人はいないだろうか? もしそうであるなら、その行動が気候変動を加速させる一因になり得ると認識すべきことが、新たな研究で示された。メディケア受給者が受けた分だけでも、不必要な画像検査によって排出された温室効果ガスの二酸化炭素換算量(CO2e)は人口7万2,000人の町の電力消費により排出される年間の温室効果ガス排出量に相当する129.2キロトン(kT)に達することが明らかになった。米レーヘイ・ホスピタル&メディカル・センターのGregory Cavanagh氏らによるこの研究の詳細は、「Journal of the American College of Radiology」に3月28日掲載された。 論文の共著者の1人である米ハーヴィー・L・ニーマン医療政策研究所のElizabeth Rula氏は、「われわれの解析から、不必要な画像検査のオーダーを減らすことで、カーボンフットプリントを大幅に削減できる可能性のあることが明らかになった」と同研究所のニュースリリースの中で述べている。カーボンフットプリントとは、製品やサービスが製造・使用・廃棄・リサイクルされる過程で排出される温室効果ガスの量をCO2eで表したものをいう。 この研究では、2017年から2021年の間に約3000万人のメディケア受給者に対して実施された画像検査(MRI検査、CT検査、X線検査、超音波検査)のデータが解析された。先行研究では、メディケア受給者の患者にオーダーされた画像検査のうち、不必要な検査が占める割合は26%にも達すると推定されていた。研究グループはこのデータを用いて、不必要な画像検査と、それに関連する温室効果ガス排出量を調べた。温室効果ガス排出量はCO2eとして数値化した。 その結果、対象とされた5年間に患者が受けた全種類の画像検査から排出された1年当たりのCO2eの平均は、MRI検査で8.1~136kT、CT検査で25~178kT、X線検査で7.1~46kT、超音波検査で2.7~23kTと推定された。 また、全種類の画像検査に占める不必要な検査の割合は4〜26%と推定された。これらの不必要な検査による年間のCO2eは平均3.55〜129.2kTであり、特にMRI検査とCT検査によるCO2eが多いことも示された(MRI検査:0.621〜33.8kT、CT検査:1.24〜64.8kT)。なお、3.55~129.2kTのCO2eは、それぞれ人口2,000人と7万2,000人の町での1年間の電力使用により排出される温室効果ガスの量に近いという。 Cavanagh氏は、「最大推定値は、画像検査間の待機モードの状態、あるいは次の検査までの稼働段階にある状態のときに必要とされるエネルギーも考慮したものだった」と同ニュースリリースの中で述べている。 一方、共著者の1人で米ミシガン大学アナーバー校臨床分野のJulia Schoen氏は、「画像検査の実施件数は、全体的には過去10年間で持続的に増加していることに加え、気候変動に関連する曝露やイベントによりさらに増加する見込みがある。これらを考慮すると、今後も温室効果ガスの排出量は増え続ける可能性が高い」と同ニュースリリースの中で述べている。 研究グループは、不必要な画像検査を減らすことは地球を守ることにつながると結論付けている。Rula氏は、「今回の研究結果から、不必要な画像検査の利用を減らすべき重要な理由が新たに加わった。不必要な画像検査の削減は、患者のリスクやコスト、医療システムのコストの抑制に加え、放射線科における人手不足の一因となっている大量の画像検査の実施件数を減らすことにもつながる」と述べている。

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昼夜を通して続く熱波は心疾患による死亡リスクを高める

 日中も夜間も高気温が続く熱波の間には、心疾患による死亡者数が増えることが新たな研究から明らかになった。特に、夜になっても暑さが和らぐことのない複合熱波と呼ばれる熱波での心疾患による死亡リスクは、日中の気温だけが大幅に上昇した場合よりもはるかに高かったという。復旦大学(中国)公共衛生学院教授のRenjie Chen氏らによるこの研究の詳細は、「Journal of the American College of Cardiology」に4月8日掲載された。 Chen氏らは今回、2013年から2019年に中国本土で発生した2390万2,254件の心疾患による死亡データを解析し、気温との関係を調べた。熱波を、昼間のみの熱波、夜間のみの熱波、および昼夜を通して続く複合熱波に分類し、熱波による超過積算温度(excess cumulative temperatures in heatwaves;ECT-HW)と呼ばれる新しい指標を用いて死亡率を推定するとともに、従来の熱波指標を用いて推定した死亡率と比較した。ECT-HWは、熱波の有無だけを示す従来の指標とは異なり、熱波の強度(温度の上昇幅)、持続期間、および季節内での発生時期といった詳細な特性を捉えることが可能だという。 その結果、複合熱波の場合、心疾患による死亡リスクはECT-HWの全範囲において一貫して増加し、明確な閾値は確認されなかった。死亡のオッズ比は、複合熱波下では1.86と推定されたのに対し、夜間のみの熱波下では1.16、日中のみの熱波下では1.19と推定された。さらに、複合熱波下では、特に突然の心停止、心筋梗塞、心不全による死亡が多いことも示された。 ECT-HWと従来の指標のそれぞれを用いて熱波による心疾患の超過死亡数を推定したところ、複合熱波では、ECT-HWに基づく推定で4万1,869件(心疾患による死亡全体の1.75%)、従来の指標に基づく推定では2万7,036件、夜間のみの熱波ではそれぞれ9,092件(同0.38%)と2,871件、昼間のみの熱波ではそれぞれ9,809件(同0.41%)と4,785件であり、ECT-HWに基づく推定値の方が高いことが示された。 こうした解析結果は、都市部での冷却シェルターの整備や家庭での空調コントロールの改善など、持続的な暑さから人々を守るための取り組みの強化が必要であることを示していると研究グループは述べている。 Chen氏は、「気候変動によって複合熱波の頻度と強度が高まりつつあることを踏まえると、この研究結果は、リスクにさらされている人を守るための特定の疾患に応じた予防戦略と公衆衛生ガイドラインの改訂の必要性を明確に示したものだと言える」と指摘している。 研究グループは次の段階として、さまざまな気候変動のシナリオのもとで、熱波に関連した心疾患により死亡する可能性が高い人がどの程度いるのかを予測する予定だとしている。

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米国がん協会のガイドライン遵守はがんサバイバーの寿命を延ばす

 喫煙習慣のない肥満関連のがんサバイバーは、米国がん協会(ACS)が推奨する食事と身体活動に関するガイドラインを遵守することで死亡リスクが低下する可能性のあることが、新たな研究で明らかにされた。ACS疫学研究の主任科学者であるYing Wang氏らによるこの研究結果は、「Journal of the National Cancer Institute」に4月3日掲載された。 Wang氏は、「がんの診断がきっかけで、どうすれば生活習慣をより健康的にできるかを考える人は多い。多くのがんサバイバーは、長生きする可能性を高めるためにできる生活習慣の是正について知りたがっている」とACSのニュースリリースで述べている。 ACSは2022年にがんサバイバー向けの栄養と身体活動に関するガイドラインを改訂した。改訂ガイドラインでは、健康的な体重の維持、定期的な身体活動、健康的な食生活、飲酒の制限が強調されている。具体的な推奨事項は以下の通り。・毎週、中強度の身体活動を150~300分、または高強度の身体活動を70~150分、あるいはこれらを組み合わせて行うこと。・座って過ごす時間を減らすこと。・野菜、果物、全粒穀物を豊富に摂取すること。・赤肉や加工肉、甘い飲み物、高度に加工された食品、精製された穀物の摂取を制限するか、摂取しないこと。・飲酒量を制限、または禁酒すること。・健康的な体重を維持すること。 Wang氏らは今回、1992年に始まったがんリスクに関する長期研究(Cancer Prevention Study-II Nutrition Cohort)に参加した喫煙習慣のないがんサバイバー3,742人(平均年齢67.6歳)の生活習慣を分析し、ガイドラインの推奨事項の有効性を検討した。これらのがんサバイバーは、1992年から2002年の間に、胃がん、大腸がん、肝臓がん、胆嚢がん、膵臓がん、乳がん、子宮がん、腎臓がん、甲状腺がん、神経系のがん、血液がんなどの肥満関連のがんの診断を受けていた。追跡は2020年まで行われた(追跡期間中央値15.6年)。がん診断後のBMI、身体活動、食生活、飲酒の4つの領域に関するガイドライン遵守度は、それぞれに0〜2点の合計0〜8点で評価された。 追跡期間中に2,430人が死亡していた。解析の結果、ガイドラインの遵守度のスコアが6〜8点だった人は、0〜3点だった人に比べて全死亡リスクが24%(ハザード比0.76、95%信頼区間0.68〜0.85)、心血管疾患による死亡リスクが33%(同0.67、0.54〜0.83)、がん特異的死亡リスクが21%(同0.79、0.64〜0.97)低いことが明らかになった。 領域別に見ると、BMIの遵守度が最も高い人(2点)では最も低い人(0点)に比べて、全死亡リスクが10%、心血管疾患による死亡リスクが27%低かったが、がん特異的死亡リスクについては統計学的に有意な差は認められなかった。同様に、身体活動の遵守度が最も高い人(2点)では最も低い人(0点)に比べて、全死亡リスクが22%、心血管疾患による死亡リスクが26%低かった。 Wang氏は、「これらの結果は、生活習慣を適切にすることが、がんサバイバーの生存に影響することを明示している」と述べている。

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週3の摂取エネルギー減、毎日のカロリー制限より効果大

 週7日のうち3日の摂取エネルギー量を8割減らし、残りの4日間は自由に摂取する「4:3断続的断食」という方法は、毎日の摂取エネルギー量を少しずつ減らすよりも、減量効果が大きいとする研究結果が報告された。米テネシー大学ノックスビル校のDanielle Ostendorf氏らの研究であり、詳細は「Annals of Internal Medicine」に4月1日掲載された。 Ostendorf氏は本研究の背景を、「毎日のカロリー制限を長期間続けるのは、多くの人にとって困難である」と説明。得られた結果を基に、「身体活動を組み込んだ総合的な減量プログラムの一環としての4:3断続的断食は、毎日のカロリー制限に比較して優れた減量効果をもたらし、新たな減量戦略となり得る」としている。 この研究は、BMIが27~46で年齢18~60歳の成人を対象とする、ランダム化比較試験として実施された。4:3の断続的断食(intermittent fasting)を行う「4:3IMF群」は、1週間のうち連続していない3日の摂取エネルギー量を80%制限し、残りの4日は自由摂取(制限なし)とした。一方、カロリー制限(daily caloric restriction)を連日行う「DCR群」は、1週間の総摂取エネルギー量が4:3IMF群と一致するように、毎日の摂取エネルギー量を34%カットすることとした。なお、両群ともに、グループ単位での行動変容サポートを受け、中強度の身体活動を週300分(米国の身体活動ガイドラインの推奨である150分の2倍)実施するよう指示された。 4:3IMF群84人、DCR群81人、計165人(ベースライン時点において、平均年齢42±9歳、女性73.9%、BMI34.1±4.4)のうち、125人が介入を終了した。ITT解析(介入意図からの逸脱や脱落も含めた事前割り付けどおりの解析)の結果、12カ月時点で4:3IMF群の減量幅はDCR群よりも有意に大きかった(平均差2.89kg〔95%信頼区間0.14~5.65kg〕、P=0.040)。 このほかにも、12カ月間で10%以上の減量を達成した割合は、DCR群は16%であったのに対して4:3IMF群は38%と多かった。また、DCR群は12カ月間の介入中に約30%が脱落したのに対して、4:3IMF群では19%と脱落が少なかった。さらに、4:3IMF群は全体的に摂取エネルギー量がより少なくなる傾向が見られ、血圧やコレステロール値、血糖値の改善も認められた。 研究者らは、「カロリー制限を毎日続けるのは難しく、その代替として断続的断食が注目を集めている。断続的断食の魅力は、カロリー計算が不要で、かつ摂取制限を連日続ける必要がないことだ。さらに、毎日のカロリー制限で生じることのある絶え間ない空腹感が、断続的断食では軽減される可能性がある」と話している。

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袋麺でできるダイエット(Dr.坂根のすぐ使える患者指導画集)

患者さん用画 いわみせいじCopyright© 2025 CareNet,Inc. All rights reserved.説明のポイント(医療スタッフ向け)診察室での会話医師患者医師患者医師患者医師患者医師患者医師患者医師患者医師患者最近、血糖値と血圧が高めですね。それに体重も…。そうなんです。最近、在宅ワークが多くて、運動不足で、お昼は袋めんを使うことが多いです。なるほど。お昼は袋めんですか。いいですね。どんな袋めんがお好きですか?一番好きなのは〇〇で、他には△△もよく食べています。なるほど。袋めんで上手にダイエット、そして、減塩をされている人もいますよ!えっ、どんな風にされているんですか?まずは、袋めんを半分にします。画 いわみせいじえっ、どうやって。包丁で切ったら、バラバラになりそうだし。そうですね。包丁は使わずに、袋のまま手で半分にしてみて下さい。〇〇なら、めんが半分に折りたたまれて2層になっていますので、そこで割るのも1つの方法ですね。なるほど。そんな割り方があるんですね。けど、半分にしたらお腹が空きそう…。(抵抗)そうですね。その方はトッピングとしてもやしを使っておられます。もやしを軽く湯通しするとシャキシャキになりますからね。私も、もやしが大好きなので、それやってみます。あと、スープも半分にしておいて下さいね。そうしないと次の日、食べられませんから。ハハハ、わかりました。これで、糖質だけでなく、塩分も減るし、野菜も摂れて、血圧も下がると思いますよ!はい、わかりました。頑張ってやってみます。(嬉しそうな顔)ポイント袋めんダイエットで血糖や体重だけでなく、血圧も下がることを説明します。Copyright© 2025 CareNet,Inc. All rights reserved.

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ペットは家族や友人と同程度に生活満足度を高める

 ペットの猫や犬が皿洗いやWi-Fiの修理をしてくれることはないが、家族や友人がもたらすのと同程度の幸福感を飼い主にもたらすようだ。新たな研究で、ペットを飼うことで得られる生活満足度は、友人や家族と定期的に会うことで得られる満足度と同程度であることが明らかにされた。英ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスのMichael Gmeiner氏と英ケント大学経済学分野のAdelina Gschwandtner氏によるこの研究結果は、「Social Indicators Research」に3月31日掲載された。 ペットを飼うことで生活満足度が向上することは過去の研究で示唆されているが、ペットを飼うと幸せになるという因果関係があるのか、あるいは単に生活満足度の高い人がペットを飼う傾向にあるのかは明確になっていない。 Gschwandtner氏らは今回、操作変数法と呼ばれる統計手法を用いて、両者の因果関係を検討した。操作変数法は、因果関係に影響を与える交絡因子を調整するために、原因には関係しているが結果には直接影響しない第三の変数(操作変数)を用いて因果関係を推定する手法である。Gschwandtner氏は、「この手法では、ペットとの相関はあるが、生活満足度とは相関しない第3の変数を見つける必要がある」と説明する。本研究では、「旅行中の近隣住民の家を見守る頻度はどの程度か」という操作変数が用いられた。解析には、英国の大規模な家庭調査であるUK Household Longitudinal Study(UKHLS)の一部として実施されているパネル調査のデータが用いられた。このデータには、769人を対象とした2,617件の調査データが含まれていた。 操作変数法により、孤独感や抑うつ症状への対処手段としてペットを飼っている可能性や、精神的特性などの交絡因子の影響を調整した結果、ペットを飼うことが生活満足度の向上につながる可能性のあることが示唆された。さらに、さまざまな要因が生活満足度に与える影響の大きさを金銭的な価値で評価する手法を用いて、ペットを飼うことの効果を金額に換算したところ、年間7万ポンド(1ポンド188円換算で1316万円)に上ると推定された。研究グループによると、この効果は、友人や家族と定期的に会うことで得られる効果と同程度であるという。 Gschwandtner氏は、「この金額が算出されたときには、とても驚いた。ペットが大好きな私にとっても、これは大金だと感じた」とCNNに対して語っている。同氏は、「とはいえ、ほとんどの人がペットを自分の友達や家族のような存在と見なしていることを考えると、この金額は妥当だろう。もしペットが本当にそうした存在であるなら、毎日ペットと一緒に過ごすことに、週に一度、友人や家族と話すことと同じくらいの価値があっても不思議ではない」と述べている。 Gschwandtner氏は、「本研究結果は、ペットを飼うことが、人間関係から得られるのと同様の感情的ベネフィットをもたらす可能性があることを示唆している」との見方を示している。その上で、政策立案者は、例えば、ペット飼育を制限する住宅規制を改正するなどして、人々がペットを飼いやすくするべきだと主張している。 ただし、ペットが人間関係に完全に取って代わり得るということに全ての専門家が同意しているわけではない。米タフツ大学で人と動物との関係について研究を進めているMegan Mueller氏は、「社会的支援と感情的支援は、人間とペットの関係において非常に重要な要素であり、人間同士の社会的つながりから得られるのと同じ種類の支援であることは分かっている。確かに動物は人間と強力な形でつながっている。それでも、人間と同じではない」と述べている。

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新型コロナ後遺症としての勃起不全が調査で明らかに

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患した患者では、回復後も長期にわたりその後遺症に悩まされるケースがある。その後遺症の中には男性における勃起不全(ED)も含まれるが、後遺症としてのEDの有病率とそれに関連する根本的要因が示唆されたという。横浜市立大学附属病院感染制御部の加藤英明氏らが行った研究によるもので、詳細は「Scientific Reports」に2月21日掲載された。 COVID-19感染後のEDは、急性期における炎症性サイトカインや低酸素症による血管内皮障害が原因で進行する。また、身体的・精神的なストレスもEDに影響する。ワクチン接種や早期治療は、この感染症の後遺症の発症率を低下させる可能性はあるが、EDの発症を防ぐための予防策については不明である。加藤氏らは、COVID-19感染後のEDの有病率とその根本的な要因を明らかにするために感染患者を対象とした症例対照研究を実施した。 本研究は、2021年4月から9月の間に国内でCOVID-19と診断後入院した成人患者を対象とした包括的な長期観察研究(CORES II)の二次解析として実施された。対象は、1年目および2年目の調査を完了した日本人男性609人(年齢中央値56歳)とした。EDの有無については、被験者の自覚に基づき「COVID-19感染後に現れた症状で、感染前にはなかった症状を選んでください」という質問により決定された。被験者のQOLと精神状態は、それぞれEQ-5D-5L質問票とHospital Anxiety Depression Scale(HADS)質問票に被験者自身で回答してもらい評価を行った。連続変数、カテゴリ変数の比較にはそれぞれ、両側U検定、フィッシャーの正確確率検定を用いた。 対象609人のうち、116人(19.0%)がEDであった。EDのあった被験者(ED群)ではEDのなかった被験者(非ED群)と比べて、1年目2年目ともに、「回復の主観的認識」が低く(P<0.001)、「息切れ」、「疲労」のスコアが有意に高かった(各P<0.001)。HADSスコアをみると、ED群では抑うつ症状を示すHADS-Dスコアが、1年目2年目ともに有意に高くなっていた(P<0.001)。 次にCOVID-19感染前と1年目、2年目のEQ-5D-5Lスコアの変化を調べた。その結果、ED群は非ED群と比較し、痛み/不快感が2年目(P=0.003)で、不安/抑うつが1年目(P=0.033)、2年目(P=0.002)で有意に高くなっていた。 また、後遺症を分類する探索的なクラスター分析を行った結果、1年目の調査ではEDは睡眠障害と同じサブグループに分類された。 研究グループは本研究について、「EDと睡眠障害の関連は報告されており、我々の研究でも、1年目の調査結果からEDと睡眠障害の関連が示唆された。また、EDを有する被験者では抑うつ症状を示すスコアが高かったことから、COVID-19の後遺症としてEDを示す男性には睡眠障害やうつ病に対する支援療法が必要なのではないか」と述べた。 本研究の限界については、患者の自己申告に基づく後ろ向き解析であるため、想起バイアスの影響を受けている可能性があること、EDの重症度スコアやEDの性質や性交渉への影響については評価していないことなどを挙げている。

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早期肺がん患者の術後の内臓脂肪量は手術方法に影響される

 肺がん患者では、呼吸機能の低下だけでなく、体重、筋肉量、内臓脂肪量など、いわゆる体組成の減少により予後が悪化することが複数の研究で報告されている。この度、肺がん患者に対する肺葉切除術よりも切除範囲がより小さい区域切除術後で、体組成の一つである内臓脂肪が良好に維持されるという研究結果が報告された。神奈川県立がんセンター呼吸器外科の伊坂哲哉氏らの研究によるもので、詳細は「Journal of Cachexia, Sarcopenia and Muscle」に3月4日掲載された。 近年行われた2cm以下の末梢型早期肺がんに対する区域切除術と肺葉切除術を比較した大規模な臨床試験JCOG0802/ WJOG4607Lでは、区域切除術が肺葉切除術よりも全生存率(OS)を改善した。この試験では、肺がより温存された区域切除群において肺葉切除群よりも、肺がん以外の病気による死亡が少ない結果であったが、その機序については未だ解明されていない。肺がん患者の良好な予後のためには、内臓脂肪を含む体組成を維持することが重要と考えられるが、肺葉切除と区域切除後の体組成変化の違いについても未だ明らかになっていない。このような背景から、伊坂氏らは肺がん患者における肺葉切除と区域切除後の内臓脂肪の変化量を比較し、予後との関連を明らかにするために、単施設の後ろ向き研究を実施した。 本研究には、2016年1月から2018年12月までに神奈川県立がんセンターで、肺葉切除または区域切除術を受けた、ステージ0~1の再発のない原発性肺がん患者346名(肺葉切除240名、区域切除106名)が含まれた。本研究の主要目的は肺葉切除と区域切除後のCTによる内臓脂肪面積(VFA)とウエスト周囲径(WC)の長期的(術後3年までの)変化とした。 解析対象のフォローアップ期間の中央値は5.2年(範囲5.0~5.9年)だった。最大腫瘍のサイズが2cm以上だった症例の割合と、病理学的ステージは肺葉切除術群で高かった。 術後6カ月時点のVFAとWCは、肺葉切除群でそれぞれ16.4%と1.0%減少した一方、区域切除群ではそれぞれ0.1%と0.2%増加していた(t検定 各P<0.001、P=0.029)。続いて、二元配置分散分析を実施し、両群におけるVFAとWCのベースラインからの変化量を比較したところ、術後3年まで肺葉切除群のVFAとWCは区域切除群より有意に減少していた(各P<0.001、P=0.038)。年齢、性別、腫瘍サイズ、ステージなどを調整した1対1の傾向スコアマッチングを行って比較した場合も、VFAとWCは有意に肺葉切除群で減少した(各P=0.009、P=0.020)。 術後3年時点のVFAおよびWCの変化量に対するカットオフ値は、Coxの比例ハザードモデルに基づき、それぞれ-13%と-5%と決定された。術後3年時点でのVFAの変化量が-13%以上の患者は、-13%未満の患者と比較して有意にOSが良好だった(5年OS率 97.7% vs 93.4%、ログランク検定 P=0.017)。WCの変化量についても、同様に変化量が-5%以上の患者で有意に良好なOSを示した(P=0.011)。 OSに関する多変量解析では、術後3年時点でのVFA変化量が-13%未満であることが有意な予後不良因子であった(P=0.013)。また、VFAの変化量が-13%未満、WCの変化量が-5%未満に関する多変量解析では、肺葉切除が独立したリスク因子となった(各P<0.001、P=0.004)。 本研究について著者らは、「本研究から、再発のない早期肺がん患者では、肺葉切除後に生じる長期的な内臓脂肪の減少が区域切除術後では起こらないことが示唆された。また、術後3年時点でのVFA変化が-13%未満であることが、早期肺がん患者の予後不良因子であることが示されたことからも、術後の内臓脂肪減少予防の重要性が明らかになったのではないか」と述べた。 本研究の限界点については、サンプルサイズの小さい単施設の後ろ向き研究であったこと、術後3年時点でCTデータが欠落していた患者が除外されていたことなどを挙げている。

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にんにくは糖尿病のリスクを減らす【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第281回

にんにくは糖尿病のリスクを減らすにんにく摂取と糖尿病発症リスクとの関連を検討した10年間の前向きコホート研究が発表されました!2008年時点で糖尿病を有していない高齢者を登録し、その後10年間にわたって追跡し、にんにく摂取頻度と糖尿病新規発症の関連を解析…構造になっており、曝露(にんにく摂取)を基準に将来のアウトカム(糖尿病発症)を観察した前向きデザインですが、そんな研究を立案しちゃうんだ…。すごい。Du J, et al. Garlic consumption and risk of diabetes mellitus in the Chinese elderly: A population-based cohort study. Asia Pac J Clin Nutr. 2025 Apr;34(2):165-173.動物実験や細胞レベルの研究において、にんにくが血糖降下作用を示すことが確認されていますが、ヒトを対象とした疫学的研究、とくに高齢者に焦点を当てた前向き研究は少なく、その因果関係の証明は不十分です。この研究では、中国高齢者健康長寿調査(CLHLS)を用いて、にんにくの摂取頻度と糖尿病発症との関連性を検証しています。研究対象は2008~18年にかけて追跡された1,927人の中国人高齢者です。ベースライン時に糖尿病の既往がない人を対象に、にんにく摂取頻度(毎日、時々、ほとんどまたは全く摂取しない)と自己申告による糖尿病診断の有無を記録し、多変量Cox比例ハザードモデルにより解析を行いました。対象者のうち、24.1%が毎日、55.1%が時々にんにくを摂取しており、糖尿病の発症率は全体で20.08%でした。4~5人に1人が毎日にんにくを摂取しているんですね、たしかに僕もそのくらいの頻度でにんにくを食べている気もします。にんにく大好きマンです。さて、毎日摂取していた群は、にんにくをほとんど摂らない群に比べて糖尿病のリスクが42%低下していました(ハザード比:0.58、95%信頼区間[CI]:0.42~0.80)。この関連は、年齢、性別、居住地、教育、BMI、食事の多様性、喫煙・飲酒習慣、運動、婚姻状況、収入源、職業、慢性疾患の既往などの共変量で調整した後も、有意に認められました。サブグループ解析において、65~79歳、農村在住者、非飲酒者、教育水準が高くない人、経済的援助が必要な人、農業従事者では、にんにく摂取による糖尿病リスクの有意な低下が示されました。一方で、80歳以上、都市部在住者、飲酒者、教育水準が高い人、経済的自立者ではその影響は有意ではありませんでした。にんにくの糖尿病に対する効果は、インスリン分泌の促進、インスリン感受性の改善、DPP-4阻害による血糖調節、脂質代謝の改善、抗酸化・抗炎症作用などが報告されています。とくに、アリシンなどの含硫化合物はインスリンの不活化を防ぎ、炎症を抑制することでインスリン抵抗性の改善に寄与すると考えられています。また、酸化ストレスの抑制、非酵素的糖化反応の抑制といった作用もあり、糖尿病の合併症予防にもつながる可能性があります。この研究、調理方法や妥当なにんにくの量がわからないという点がリミテーションです。ただ、過去のメタアナリシスでは、にんにく摂取量1.5g/日というのがおおよその目安となっています1)。よし、明日から毎日にんにくを食べよう!1)Shabani E, et al. The effect of garlic on lipid profile and glucose parameters in diabetic patients:A systematic review and meta-analysis. Prim Care Diabetes. 2019;13(1):28-42.

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