サイト内検索|page:583

検索結果 合計:11752件 表示位置:11641 - 11660

11641.

PTSD発症率は非派遣兵の3倍、戦闘に曝露したイラク/アフガニスタン帰還兵

米軍のイラク/アフガニスタン帰還兵のうち実際に戦闘に曝露した兵士の心的外傷後ストレス障害(PTSD)の発症率は非派遣兵の約3倍にも達することが、BMJ誌2008年2月16日号(オンライン版2008年1月15日号)に掲載された米国海軍健康研究所(サンディエゴ)のTyler C Smith氏らの研究結果で明らかとなった。最近の報告では帰還兵の10%にPTSDの症状が見られるとされるため、同氏らは大規模な米軍コホートにおいて自己報告によるPTSDの実態調査を行った。約5万人の兵士のデータを解析本試験は、イラク/アフガニスタン戦争に先立つ2001年7月~2003年6月に7万7,047人の米軍兵士および予備兵/州兵を登録したミレニアムコホートのデータを用いたプロスペクティブな大規模コホート研究。2004年6月~2006年2月に実施されたフォローアップにより、5万184人から健康関連のアウトカムに関するデータが収集された。主要評価項目は自己報告によるPTSD発症率とし、PTSDチェックリストとして“Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders”第4版の一般向け判定規準を用いた。派兵そのものよりも戦闘への曝露が重大な影響2001~2006年にミレニアムコホートの40%以上が派兵され、ベースラインとフォローアップの間に初めての派兵としてイラク/アフガニスタン戦争の支援に赴任したのは24%であった。ミレニアムコホートのうち、1,000人年当たりのPTSDの新規発症率は10~13人であった。自己報告によるPTSDの症状発現率あるいは診断率は、戦闘に曝露したと報告した兵士が7.6~8.7%、戦闘に曝露しなかったと報告した兵士が1.4~2.1%、派遣されなかった兵士は2.3~3.0%であった。ベースライン時にPTSDの症状を報告した兵士においては、派兵が症状の持続に影響を及ぼすことはなかった。また、全般に女性兵士、離婚経験者、下士官兵、およびベースライン時に喫煙あるいはアルコール依存を報告した兵士で新たにPTSDの症状を訴えるリスクが高かった。Smith氏は、「ベースライン時の背景因子で補正したところ、派兵されて戦闘に曝露した兵士における自己報告によるPTSDの新規症状発現/診断率は、非派遣兵の約3倍にものぼった」と結論している。また、「これらの知見は、戦闘曝露兵におけるPTSDの重要性を明確化し、派兵後のPTSDの発症には派兵そのものもよりも特定の戦闘への曝露が有意な影響を及ぼすことを強調するものだ」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

11642.

所得だけでなく死亡率にも格差か、構造・経済改革後のニュージーランド

ニュージーランドでは、1980年代から90年代に実施された大規模な構造・経済改革によって所得格差が拡大したが、これにともなって所得額別の死亡率にも格差が生じた可能性があることが、Otago大学(ウェリントン)健康格差研究プログラムのTony Blakely氏らの検討で明らかとなった。同氏らは、これらの死亡格差に寄与した疾患についても解析を行った。BMJ誌2008年2月16日号(オンライン版2008年1月24日号)掲載の報告。人口調査と死亡データを解析する繰り返しコホート研究本試験は、1981、1986、1991、1996、2001年の人口調査と死亡データを解析する繰り返しコホート研究であり、対象は1~74歳のニュージーランドの全人口であった。家計所得額別のコホートごとに、年齢および人種で標準化した死亡率を算出した。また、絶対スケールおよび相対スケールの双方で所得と死亡率の格差を評価するために、標準化死亡率の差および比、さらに格差のslope index(SII)およびrelative index(RII)を算出した。相対的死亡格差が拡大、絶対的な格差拡大は確認できず性別、年齢、所得額で層別化した各群の全原因死亡率は、25年の試験期間を通じて25~44歳の低所得層では男女ともに変化はなく改善が見られなかったが、それ以外のすべての群は低減しており改善が認められた。すべての年齢群において、1981~84年から1996~99年にかけて所得額により相対的死亡格差が拡大(RIIが男性で1.85から2.54に、女性で1.54から2.12に増加)したが、2001~2004年には安定化(それぞれ2.60、2.18)した。絶対的死亡格差の経時的変化は安定しており、1996~99年から2001~04年にかけてはわずかながら格差が縮小していた。所得による死亡格差に最も寄与した疾患要因は心血管疾患であるが、男性では1981~84年の45%から2001~2004年の33%へと低下し、女性でも50%から29%へと低下した。これは、癌の寄与が男性で16%から22%へ、女性では12%から25%へと増大したことと関連すると考えられる。Blakely氏は、「経済再編中および再編後のニュージーランドにおける所得額別の死亡格差は相対的に拡大したが、絶対的な格差拡大は確認されなかったことから、構造改革との因果関係を断定することは困難」と結論し、「死亡格差に対する個々の死因の寄与には経年変化が見られることから、健康関連政策の優先順位を再考する必要が示唆される」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

11643.

コーラなどのソフトドリンクは男性の痛風リスクを高める

砂糖で甘味を加えたソフトドリンク(コーラ、その他の炭酸飲料など)に多く含まれる果糖は血清尿酸値を上昇させることが知られているが、これらの飲み物や果糖と、痛風リスクの関連は明らかにされていない。カナダBritish Columbia大学バンクーバー総合病院のHyon K. Choi氏らは、大規模なコホート研究によってこれらの飲料が男性の痛風リスクを増大させることを確認、BMJ誌2008年2月9日号(オンライン版1月31日号)で報告した。4万6,393人の男性医療従事者を対象とした12年に及ぶ研究本試験は、進行中の医療従事者追跡研究(health professionals follow-up study)に登録された5万1,529人の男性医療従事者(歯科医、検眼師、整骨医、薬剤師、足治療医、獣医)のうち、ベースライン時に痛風の既往歴がなかった4万6,393人を対象とした12年に及ぶプロスペクティブなコホート研究。登録者の91%が白人で、年齢は1986年時に40~75歳であった。ソフトドリンクおよび果糖の摂取に関する情報は検証食物頻度質問票(validated food frequency questionnaires)を用いて収集した。主要評価項目は、米国リウマチ学会の判定規準を満たす痛風の発生率とした。フルーツジュース、リンゴ、オレンジもリスクを増大12年の追跡期間中に755人が痛風を発症した。砂糖で甘味を加えたソフトドリンクの摂取の増加にともなって痛風のリスクが増大した。ソフトドリンクの摂取が月に1杯未満の群に比べ、週に5~6杯の群の多変量相対リスクは1.29、日に1杯の群では1.45、日に2杯以上の場合は1.85であった(傾向性のp=0.002)。ダイエット用のソフトドリンク(低カロリーのコーラなど)は痛風リスクを増大させなかった(傾向性のp=0.99)。果糖の摂取量を5つの段階に分け、最も少ない群の痛風の多変量相対リスクを1.00とした場合、摂取量が増えるに従って相対リスクは1.29、1.41、1.84、2.02と上昇した(傾向性のp<0.001)。また、果糖の摂取を高めるフルーツジュースや果糖が豊富な果物(リンゴ、オレンジ)も、痛風リスクを増大させた(傾向性のp<0.05)。Choi氏は、「砂糖で甘味を加えたソフトドリンク、フルーツジュース、果糖が豊富な果物は男性の痛風リスクを著明に増大させたが、ダイエット用のソフトドリンクは増大させなかった」と結論したうえで、「従来の痛風予防の食事療法はプリン体の摂取制限に焦点を当てているが、低プリン体食は炭水化物を多く含み、果糖が豊富な食べ物が多いため、全体としてはかえって痛風発作のリスクを高める可能性がある」と注意を促している。(菅野守:医学ライター)

11644.

医療サービス開発への患者の参画は、質の改善をもたらすか

医療サービスの開発に患者や地域社会が参画すれば、よりよいサービスがもたらされアウトカムが改善すると考えられているが、サービスの質や有効性に対する患者参画の効果を示すエビデンスは少ないという。今回、ロンドン市で実施された脳卒中医療サービスの近代化プログラムにおける検討で、医療サービスの開発に患者が参画しただけではサービスの質は改善しないことが示された。英国King’s College LondonのNina Fudge氏がBMJ誌2008年2月9日号(オンライン版1月29日号)で報告した。日常診療への患者の参画に影響を及ぼす因子を同定する本試験は、患者参画の施策が医療サービス機関にどう受け止められるかを把握し、日常診療への患者の参画に影響を及ぼす因子の同定を目的とした民族誌的研究である。対象は、ロンドン市の2つの特別区における脳卒中医療サービスの改善を目的とした近代化プログラムに参画した医療サービスの利用者(患者)、国民保険サービス(NHS)のマネージャーおよび医師であった。調査は、参加者との協議、インタビュー、記録文書に基づいて行われた。医療従事者と患者は異なる方法で患者参画を理解し、実践している患者のプログラムへの参画は医療従事者が先導しており、患者が参画するサービス改善の領域も医療従事者が決めていた。患者同士が提供し合うサポートに関する満足度調査では、広範な活動領域で「患者の参画」が期待されていた。参画が最も活発であったのは、技術的な要素が少ない領域および医師からの指示がほとんどない領域という傾向がみられた。これを説明しうる因子として以下が確認された。1)組織構成、2)患者参画という概念のあいまいさ、3)患者の経験的知識に対する高い評価、4)参画に対する医療従事者と患者の理解および意欲のばらつき。参画の利益を医療サービスに及ぼす影響の観点から確認するのは困難であったが、参画によって得られる個人的な利益は明確だった。すなわち、医療従事者に話を聞いてもらうことで得られる満足感、同様の境遇にいる他者と会う機会、脳卒中および利用可能なサービスに関する知識の増加などである。以上の結果をふまえ、Fudge氏は「患者の参画によって自動的に医療サービスの質が改善されるわけではない。医療従事者と患者は、個人的なイデオロギー、生活環境、必要性に従い異なる方法で患者参画を理解し、実践している」と結論する。また、「医療サービス開発への患者参画の取り組みにおける開発の手がかり(resource implications)を考慮すれば、それを求めるに足るベネフィットに関するより優れたエビデンスだけでなく、参画の目的に関しても批判的な議論を行う必要がある」と考察している。(菅野守:医学ライター)

11645.

心筋梗塞患者の初回経皮的冠動脈介入には血栓吸引の併用を

ST上昇型心筋梗塞患者に対する初回経皮的冠動脈介入(PCI)は、梗塞責任動脈の開通に効果的だが、介入で生じたアテローム血栓の破片が微小血管を閉塞し、心筋再潅流を減少させることがある。このため初回PCIで血栓吸引(Thrombus Aspiration)を併用することが、従来のPCI処置より優れているのではないか。オランダ・フローニンゲン大学病院のTone Svilaas氏らが検証した。NEJM誌2008年2月7日号より。1,071例の無作為化試験で優劣を評価初回PCIで手動血栓吸引の併用と従来型PCIの優劣を評価するために、患者1,071例を、冠動脈造影前に血栓吸引群と従来型PCI群にランダムに割り付け無作為化試験を行った。評価は、アテローム血栓物質の組織病理学的な所見が見られた場合、吸引成功とみなし、また臨床転帰だけでなく、血管造影と心電図による心筋再潅流の徴候の評価も行われた。主要エンドポイントは、心筋ブラッシュグレード(Myocardial Blush Grade=MBG)0または1(再潅流なしか最小限)とした。血栓吸引は再潅流、臨床転帰ともに良好「MBG 0または1」だったのは、「従来型PCI群」では26.3%だったが「血栓吸引群」では17.1%だった(P

11646.

大麻吸引は歯周疾患の危険因子

たばこ喫煙が歯周病の危険因子であることは広く知られているが、たばこだけでなく長期間の大麻吸引も歯周組織に有害で、たばことは独立した危険因子の可能性があるという。ニュージーランド・John Walsh 歯科大学口腔科のW. Murray Thomson氏がまとめ、JAMA誌2008年2月6日号に掲載された。ダニーデン生まれ1,015例の前向きコホート研究本研究は前向きコホート研究で、対象は1972~1973年にダニーデン市(ニュージーランド)で生まれた1,015例。出生後の18、21、26、32歳検診時に大麻吸引有無の確認が取れ、26、32歳時の歯科検診のデータが得られた者(対象の96%)が分析された。被験者32歳時点の最新データは2005年6月に収集されたもの。分析が完全にできたデータは903例(89.0%)だった。歯周病の症状は、26歳からの変化も含めて32歳時点で、1本の歯につき3ヵ所で歯肉付着位置の深さを測定する複合アタッチメント・ロス(combined attachment loss=CAL)を行い判断された。大麻曝露が高度なほど歯周病の症状が進行大麻曝露の状況は、非曝露群32.3%(293例)、中程度曝露群47.4%(428例)、高度曝露群20.2%(182例)だった。CALについては全体の29.3%(265例)にCAL 4mm以上が1ヵ所以上で認められ、12.3%(111例)はCAL 5mm以上が1ヵ所以上に認められた。3mm以上の新しいCALが1ヵ所以上の付随的アタッチメント・ロス(incident attachment loss)が認められたのは、非曝露群6.5%、中程度群11.2%、高度曝露群23.6%だった。たばこ喫煙と性差、不定期に行われた歯科治療と歯垢除去の有無を補正後、高度曝露群は大麻を吸引したことがない群と比較して、CAL 4mm以上が1ヵ所以上できるリスクは1.6(95%の信頼区間:1.2-2.2)、CAL 5mm以上が1ヵ所以上できるリスクは3.1(同1.5-6.4)、付随的アタッチメント・ロスは2.2(同1.2-3.9)だった。Thomson氏らは、「大麻吸引はたばこ喫煙とは独立した歯周疾患の危険因子である可能性があり、大麻吸引の蔓延を抑制する公衆衛生対策が、市民の歯周健康維持に貢献できることを示す」と結論づけている。(朝田哲明:医療ライター)

11647.

救急外来受診例の約半数に深部静脈血栓リスク。予防は不十分

救急外来を受診後入院例で、外科的治療の適応となった患者の6割以上、内科的治療適応例の4割以上が、深部静脈血栓(DVT)のリスクを有しているが、それらのうち深部静脈塞栓(DVE)の予防措置を受けていたのは50.2%だった──とする国際的横断研究の結果がLancet誌2008年2月2日号に掲載された。研究の名称はENDORSE(Epidemiologic International Day for the Evaluation of Patients at Risk for Venous Thromboembolism in the Acute Hospital Care Setting)。King’s College Hospital(英国)のAlexander T Cohen氏らによる論文である。32ヵ国7万例弱で検討本研究には世界32ヵ国の358施設(50床以上)で救急外来を受診し入院した68,183例が登録された。内訳は、内科的治療を受けた40歳以上の37,356例と外科的治療の適応となった18歳以上の30,827例である。入院後、DVTリスクが調べられた。リスク評価には、米国胸部疾患学会(ACCP)が2004年刊行した「静脈血栓塞栓予防」ガイドラインを用いた。予防が行われていたのは外科的治療例58.5%、内科的治療例39.5%その結果、外科的治療例の64.4%、内科的治療例の41.5%にDVTリスクが認められた。東南アジアから唯一参加していたタイのリスクも世界平均と同様で、DVTリスクを認めた患者は、外科62%、内科49%だった。次に、これらのDVTリスクを認める患者において、上記ACCPガイドラインが推奨する深部静脈塞栓(DVE)の予防が行われていた割合を見ると、外科的治療58.5%、内科的治療39.5%だった。これらよりCohen氏らは、DVTリスクを持つ入院患者は多いにもかかわらず、適切な予防措置がとられていないと結論している。なお、上記ACCPガイドラインでは手術後「DVT低リスク」群に対しては、「早期からの“積極的”歩行」を推奨するが特にDVE予防措置をとる必要はないとしているが、本研究では術後「低リスク群」の34%が何らかの「予防措置」を受けていた。(宇津貴史:医学レポーター)

11648.

新生児治療室における医原病の実態

入院患者では医原病が重要な問題との認識が高まっているが、高リスク新生児治療室における医原病の疫学データはほとんどないという。Isabelle Ligi氏(地中海大学La Conception病院新生児科、マルセイユ、フランス)らが実施したプロスペクティブなコホート研究の結果、新生児では医原病の発生頻度が高く、重症例も多いことが明らかとなった。Lancet誌2008年2月2日号掲載の報告。医原病と患者特性の関連を明確化する観察研究研究グループは、2005年1月1日~9月1日にかけて、フランス南部地方の高リスク新生児センターに入院した全新生児を対象に、医原病の頻度、重症度、予防可能性、リスク因子を評価し、医原病と患者特性の関連を明確化するための観察研究を実施した。医原病は、「害の有無にかかわらず患者の安全性の限界を超えたイベント」と定義。報告は、自発性に基づいて匿名で行い、懲罰措置は行わないものとした。1,000人日(patient days)当たりの発生率を主要評価項目とした。頻度は25.6/1,000人日、29%が重症例388人の新生児(1万436人日)が調査の対象となり、116人において267件の医原病が記録された。発生頻度は1,000人年当たり25.6であった。92件(34%)は予防可能な事例であり、78件(29%)が重症であった。2件(1%)が致死的であったが、いずれも予防は不可能な事例であった。重症例の頻度が高い医原病は院内感染(49/62件、79%)および呼吸器系のイベント(9/26件、35%)であった。皮膚損傷(94件)の頻度が高かったが、全般に軽症例が多かった(89/94件、95%)。薬物誤用の頻度は4.9/100回であり、多くは投与段階で起きていた。主要なリスク因子は、出生時低体重および短い在胎期間(それぞれp<0.0001)、長い入院日数(p<0.0001)、中心静脈ライン(p<0.0001)、機械的人工換気(p=0.0021)、持続的気道陽圧法(CRAP)によるサポート(p=0.0076)であった。Ligi氏は、「新生児のなかでも特に出生時低体重児において医原病の頻度が高く、重症例も多い」と結論、「これら脆弱な集団に対する健康ケアの質を改善するには、医原病の頻度および特性に関する認識を改め、継続的なモニタリングを行うことが有用な可能性がある」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

11649.

【トピック】高カカオチョコ、実は高カロリー

ダイエット効果があると人気の高い「高カカオチョコレート」だが、実は高カロリーであることが、国民生活センターの調査で分かった。カカオ分70%以上の高カカオチョコレート12銘柄と普通のチョコレート3銘柄を調査したところ、高カカオチョコの脂質の割合は40.7~53.5%と、普通のチョコの1.2~1.5倍含まれていた。高カカオチョコを100グラム食べると、それだけで30~49歳の女性が生活習慣病予防のために目標とされる1日の脂質量を摂取したことになるという。国民生活センターのプレスリリースはこちらhttp://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20080206_2.html

11650.

アスピリン抵抗性は心血管系死亡のリスク?

アスピリンによる抗血小板作用が通常ほど見られない「アスピリン抵抗性」の存在が知られているが、20試験2,930例を解析したところ、心血管系疾患患者の28%に「抵抗性」が見られ、それらの患者では「非抵抗性」患者に比べ心血管系イベントリスク、死亡ともにオッズ比が有意に増加しているとの報告がBMJ誌2008年1月26号に掲載された(オンライン版1月17日付)。University Health Network(カナダ)のGeorge Krasopoulos氏らが報告した。解析20試験中アスピリン抵抗性は2,930例中810例(28%)本解析に含まれた20試験はいずれも、心血管系疾患患者に対するアスピリンの予後改善作用を検討したものである。アスピリン抵抗性の有無はそれぞれの試験で定義されている場合それに従い、定義がない場合はKrasopoulos氏らが文献から判定した。また6試験985例では、クロピドグレルやGPIIb/IIIa阻害薬などアスピリン以外の抗血小板薬服用が許されていた。その結果、アスピリン抵抗性は2,930例中810例(28%)に認められた。男性に比べ女性、腎機能正常患者に比べ腎機能低下患者で「抵抗性」は有意に多かった。また「抵抗性」患者では、心血管系イベント発生リスクが有意に高かった。すなわち、「非抵抗性」患者に比べたオッズ比は、全心血管系イベント:3.85(95%信頼区間:3.08~4.80)、急性冠症候群:4.06(95%信頼区間:2.96~5.56)、脳血管障害初発:3.78(95%信頼区間:1.25~11.41)、全死亡:5.99(95%信頼区間:2.28~15.72)だった。アスピリン抵抗性患者における心血管系イベントリスクの増加は、75~100mg/日、100超~325mg/日、いずれの用量でも認められた。本当にアスピリン抵抗性なのか以上などからKrasopoulos氏らは「アスピリン抵抗性患者は心血管系イベントリスクが高い」と結論する。ただし本研究では3試験390例(13.3%)ではアスピリンの服薬コンプライアンスが全く確認されておらず、試験期間中コンプライアンスが繰り返し検討されたのは1試験71例だけだった。またKrasopoulos氏らは、アスピリン抵抗性が見られる患者でも、それ故に処方を中止することのないよう注意を喚起している。なおアスピリン抵抗性患者を対象としたGPIIb/IIIa阻害薬による二次予防作用を賢答化する無作為化試験として、TREND-AR(TiRofiban Evaluation of Surrogate ENDpoints in Prevention of Ischemic Complications During Percutaneous Interventions in Patients With Coronary Disease and Aspirin Resistance)[NCT00398463] が2006年5月に開始されたが、2007年末、対象患者にクロピドグレル抵抗性患者も含まれるよう変更された。終了は2011年の予定だという。(宇津貴史:医学レポーター)

11651.

経口避妊薬は、市販後50年で約10万人の卵巣癌死を予防

経口避妊薬の使用により卵巣癌の発生率が低下することが知られている。卵巣癌は若年女性では少なく、加齢とともに増加するため、発生率低下の公衆衛生面への影響は使用中止後のリスク低下効果の持続時間に依存するという。Collaborative Group on Epidemiological Studies of Ovarian Cancerの研究グループは45の疫学研究のデータを解析、経口避妊薬は市販後約50年の間に約20万人の女性の卵巣癌罹患を予防し、約10万人が卵巣癌による死亡から救われたと推計している。Lancet誌2008年1月26日号掲載の報告。使用状況と卵巣癌相対リスクを推計21か国の45の疫学研究から2万3,257人の卵巣癌症例と8万7,303人の非卵巣癌(対照)のデータを収集し解析を行った。経口避妊薬の使用状況と卵巣癌の相対リスクを推計し、さまざまな因子で層別化した。経口避妊薬の使用経験者は症例群が7,308人(31%)、対照群が3万2,717人(37%)であり、平均使用期間はそれぞれ4.4年、5.0年であった。卵巣癌診断年の中央値は1993年、診断時の平均年齢は56歳であった。今後数10年にわたり、年間3万人以上の卵巣癌罹患を予防経口避妊薬の使用期間が長いほど卵巣癌のリスクが低下した(p<0.0001)。また、このリスク低下効果は使用中止後30年以上が経過しても持続していたが、中止後10年までは29%、10~19年では19%、20~29年では15%と漸減した。経口避妊薬のエストロゲン含有量は年代によって異なり、1960年代は1980年代の2倍以上であった。しかし、60年代、70年代、80年代のリスク低下率は使用期間に応じて同等であり、エストロゲン量とは関連しなかった。組織型別の解析では、粘液性癌(全体の12%)は経口避妊薬の影響をほとんど受けていなかったが、他の組織型は同等のリスク低下率を示した。高所得国では、経口避妊薬を10年間使用した場合、75歳までの卵巣癌罹患率は100人当たり1.2から0.8人に、卵巣癌による死亡率は0.7から0.5人に低下すると推計された。これは、5,000人年当たり2人の罹患および1人の死亡が予防されることになる。研究グループは、「経口避妊薬の長期的な卵巣癌予防効果を確認した。市販後約50年で約20万人の卵巣癌罹患および約10万人の卵巣癌死を予防したと推計される」と結論、「卵巣癌罹患予防数は、今後、数10年以上にわたり、少なくとも年間3万人にのぼる」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

11652.

第X凝固因子阻害剤idraparinuxの心房細動患者塞栓症抑制への有用性認められず:Amadeus試験

抗トロンビン作用を有する抗凝固剤ximelagatranの臨床応用が見送られ、非弁膜性心房細動患者の脳塞栓症を抑制しうる新薬の登場が期待されているが、第X凝固因子阻害剤であるidraparinuxは、安全性の面でワルファリンに劣るようだ。Lancet誌2008年1月26日号に掲載された、無作為化非盲検化試験Amadeusでは塞栓予防作用はワルファリンと同等ながら、出血リスクは有意に増加していた。出血著明増加により早期中止Amadeus試験の対象は、非弁膜性心房細動を認める脳塞栓高リスク患者4,576例。当初6,000例近くを登録予定だったが、安全性監視委員会の勧告に基づき早期の中止となった。平均年齢は70歳、31%は75歳以上だった。ワルファリン群(2,293例)はINR:2~3を目標に用量を調節、idraparinux群(2,283例)は2.5mgを週1回皮下注した。その結果、追跡期間中(平均300日強)、一次評価項目であった「全脳卒中+全身性塞栓症」はidraparinux群で減少傾向を認め(ハザード比:0.71 vs. ワルファリン群、95%信頼区間:0.39~1.30)、さらにワルファリンに対する非劣性が確認された(p=0.007)。しかし安全性に関しては、idraparinux群全出血(ハザード比:1.74、95%信頼区間:1.47~2.06)、脳出血(ハザード比:2.58、95%信頼区間:1.18~5.63)ともに有意かつ著明な増加を認めた。サブグループ解析の結果、idraparinuxで出血リスクが増加する患者群の存在が示唆されるため研究者らは、よりきめ細かな用量設定により有用性が得られる可能性を訴えている。(宇津貴史:医学レポーター)

11653.

前立腺癌への放射線+ホルモン治療のリスクを調査

進行性前立腺癌に対しては、放射線治療(RT)+ホルモン治療(アンドロゲン抑制治療:AST)がスタンダードになっている。しかし一方で、大規模患者コホート試験によって、ASTによる心血管イベント増大の可能性が示されている。そこでブリガム&ウーマンズ病院/ダナ・ファーバー研究所(アメリカ、マサチューセッツ州ボストン)癌放射線部門のAnthony V. D’Amico氏らは、RT単独治療とRT+AST(6ヵ月)治療とで、心血管イベントと全死亡率との関連性を調査した。JAMA誌2008年1月23日号に掲載。206例をRT単独治療群とRT+AST治療群に無作為化し追跡試験は、1995年12月1日~2001年4月15日の間に、マサチューセッツにある医療機関(アカデミック病院および地域病院)で局在予後不良リスクの高い前立腺癌と診断され治療を受けた男性206例を対象に行われた。対象は、無作為にRT単独またはRT+ASTを受ける群に割り付けられた。解析は、治療群ごとに階層化された推定全死亡率、さらにAdult Comorbidity Evaluationを用い事前解析され階層化された27の共存症のスコアをログランク検定を用いて比較する方法で行われた。主要評価項目は、死亡に至るまでの時間(全死亡要因について調査)。RT単独群で死亡多いが…2007年1月15日現在の追跡調査期間は中央値7.6年(範囲:0.5年~11.0年)で、74例が死亡していた。RT単独群とRT+AST群とを比較すると、RT単独群の死亡者のほうが有意に多かった(44対33、ハザード比1.8;95%信頼区間1.1~2.9、P=0.01)。しかし死亡の内訳をよく見ると、共存症なしあるいは軽症共存症による死亡が多かった(31対11、ハザード比4.2;95%信頼区間2.1~8.5、P=0.001)。中等度または重度共存症を有した患者間の比較では、両群の差異は認められなかった(13対19、ハザード比0.54;95%信頼区間0.27~1.10、P=0.08)。研究者らは「結果としてAST追加治療は全生存率の引き上げに寄与していたが、中等度以上の共存症を伴わない場合に限った結果のようである」と結論づけている。(武藤まき:医療ライター)

11654.

NPPA遺伝子変異型の降圧剤への効果と関連性

 高血圧治療は近年優れた薬剤の登場でコントロールが可能となってきているが、ミネソタ大学薬理学のAmy I. Lynch氏らは「患者個々の遺伝子特性に合わせた治療が可能となれば、心血管疾患(CVD)罹患率および死亡率をもっと低下することができるのではないか」と考えた。その可能性をALLHAT(Antihypertensive and Lipid-Lowering Treatment to Prevent Heart Attack Trial)の高血圧患者のデータを利用し解析。JAMA誌2008年1月23日号に結果が掲載された。ALLHATから高血圧患者38,462例のデータを事後解析Lynch氏らがターゲットとしたのは、一部の降圧剤の効能をコントロールする可能性が示唆される心房性ナトリウム利尿ペプチドの前駆体をコードしているNPPA遺伝子。その変異による降圧剤への効果と関連性を調べた。NPPA T2238CあるいはNPPA G664A変異を有する対象者での心血管疾患率および血圧の変化の違い、利尿剤と他の降圧薬治療との違いについて調査。ALLHATから高血圧患者38,462例のデータによる事後解析の内訳は、利尿剤(クロルサイアザイド)13,860例、Ca拮抗剤(アムロジピン)8,174例、ACE阻害剤(リジノプリル)8,233例、αブロッカー剤(ドキサゾシン)8,195例となっている。遺伝子タイピングの実施期間は2004年2月から2005年1月の間に行われた。平均追跡期間は4.9年。主要評価項目は、致死的CHD・非致死的心筋梗塞と定義された虚血性心疾患(CHD)。副次評価項目は、脳卒中、全死亡、心血管疾患併発、6ヵ月後の収縮期・拡張期血圧の変化。血圧変化(収縮期)はCC遺伝子型で最も大きな変化TT、TCなど各遺伝子型(NPPA T2238C:TT、TC、CC NPPA G664A:GG、GA、AA)の結果から最大・最低値をみると、CHDの最低はAAにおける15.3、最高はTTで19.3、脳卒中は9.6(TT)、15.4(AA)、全死亡は27.4(TT)、30.7(AA)(いずれも/1,000人年)。NPPA T2238C変異群でイベント発症が低いことが明らかとなった。6ヵ月後の血圧変化(収縮期)については、CC遺伝子型で最も大きな変化がみられた(利尿剤:-6.5mmHg、Ca拮抗剤:-3.8mmHg、ACE阻害剤:-2.4mmHg、αブロッカー剤:-3.8mmHg)。TT遺伝子型では、投薬による降圧効果は収縮期、拡張期とも、いずれの薬剤においても低かった。NPPA G664A異型では「遺伝薬理学的な関連性をみいだせなかった」とも報告されている。Lynch氏らは、「NPPA T2238C異型は、心血管疾患、血圧に影響を及ぼす降圧剤との関連が認められた。C遺伝子型を有する場合は、利尿剤投与が最も心血管疾患のアウトカムに有利で、TT遺伝子型の場合は、Ca拮抗剤が最も有利」とまとめている。(武藤まき:医療ライター)

11655.

現行転倒予防介入のエビデンスは乏しい

高齢者にとって転倒は深刻な健康問題である。最近では転倒による死亡および罹患率の高まりから多因子リスク評価と介入による転倒予防プログラム戦略が提示されている。 ワーウィック大学(イギリス)医科大学校臨床試験部門のS Gates氏らは、システマティックレビューおよびメタ解析によりそれら既存戦略の効果のエビデンスを検討。結果がBMJ誌オンライン版2007年12月18日付け、本誌2008年1月19日号で報告されている。多因子評価と介入プログラムの効果を検討分析は、まず6つのデータベース(Medline、Embase、CENTRAL、CINAHL、PsycINFO、Social Science Citation Index)で2007年3月22日までに参照できたプライマリ・ケア、コミュニティまたは救急部門で行われた無作為化および準無作為化対照試験結果を選定。高齢者の転倒および外傷を防ぐための多因子評価と介入プログラムの効果が検討された。抽出されたデータは、転倒者数、転倒関連の外傷数、転倒率、死亡、病院への入院、保健サービスの利用、施設ケアへの入所、身体活動、クオリティオブライフ。質の評価には、転倒事実の隠蔽およびブラインド、損失および除外因子、intention-to-treat解析の結果、アウトカムの信頼度が含まれている。介入効果のエビデンスを見いだせず解析対象となったのは19のスタディ。このうち18試験の、追跡調査中の転倒の併合リスク比は0.91(95%信頼区間:0.82~1.02)、転倒関連の外傷については(対象は8つの試験)0.90(0.68~1.20)だった。入院、救急治療部門受診、死亡、あるいは施設ケア入所の間に違いは見られなかった。サブグループ解析の結果、ロケーションの違い、母集団の違い(転倒ハイリスク集団か否か、医師を含めた多職種チーム医療によるケア集団かなど)でも、介入効果のエビデンスを見つけられなかった。Gates氏は、「能動的介入は、情報提供だけの場合と比べるとより効果がある可能性はある」と各予防戦略について全否定はしていなかったものの、「データは転倒・外傷率を評価するには不十分だったが、それをさしひいても多因子評価の転倒予防プログラムの効果のエビデンスは限定的である」と結論付けている。

11656.

放出調節性プレドニゾンの就寝前服用が、関節リウマチの朝のこわばりを改善

関節リウマチ患者はサーカディアンリズムに変調をきたしている。新たに開発された放出調節性の薬剤送達法は、投与されたグルココルチコイドの放出を内因性コルチゾールおよび症状発現のサーカディアンリズムに適合させることで、関節リウマチに対するグルココルチコイド治療の効果を改善するという。Frank Buttgereit氏(ドイツ、Chariteベルリン医科大学)らは、新規の放出調節性プレドニゾンの効果および安全性の評価を行い、従来の即放性プレドニゾンに比べ関節の朝のこわばり(morning stiffness)の臨床的低減が得られたことを、Lancet誌2008年1月19日号で報告した。放出調節性プレドニゾン就寝前服用と即放性プレドニゾン朝服用を比較CAPRA-1(Circadian Administration of Prednisone in Rheumatoid Arthritis)試験は、関節リウマチに対する新規の放出調節性プレドニゾン(錠剤)を標準的な即放性プレドニゾン(錠剤)と比較する二重盲検多施設共同無作為化試験。患者は、即放性プレドニゾンは朝に服用し、放出調節性プレドニゾンは経口投与の4時間後に放出されるようデザインされ就寝前に服用した。治療期間はいずれも12週。2004年8月~2006年4月の間にドイツの17施設およびポーランドの12施設から慢性リウマチ患者288例が登録され、放出調節性プレドニゾン群に144例が、即放性プレドニゾン群には144例が無作為に割り付けられた。関節の朝のこわばりの持続時間が約30分間短縮ベースライン時から治療終了時における関節の朝のこわばりの持続時間の相対的変化率は、放出調節性プレドニゾン群が即放性プレドニゾン群に比べ有意に改善された(-22.7% vs. -0.4%、p=0.045)。放出調節性プレドニゾン群の関節の朝のこわばりの持続時間は、ベースラインに比べ治療終了時に平均44分短縮した。治療群間の持続時間の差は29.2分であった(p=0.072)。安全性プロフィールは両治療群間に差を認めなかった。Buttgereit氏は、「放出調節性プレドニゾンは耐用性が良好で、投与法が簡便であり、従来の即放性プレドニゾンの治療効果に加えて関節の朝のこわばりの臨床的な低減が得られた」と結論。さらに、「臨床的な効果を得るには服薬の適切なタイミングについて患者に十分に説明すべきである」と強調し、「リウマチ性多発筋痛や喘息など他の疾患の治療選択肢となる可能性がある」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

11657.

複数の微量栄養素補給を受けた妊婦の子は早期死亡率が低い

開発途上国における妊婦の栄養補給は一般に鉄および葉酸に限られている。胎児および新生児の死亡を防ぐには複数の微量栄養素を補給するほうが有効と考えられるが、エビデンスがほとんどないため普及していない。Supplementation with Multiple Micronutrients Intervention Trial (SUMMIT)の研究グループは、通常の妊婦管理サービスにおいては、鉄+葉酸に比べ複数の微量栄養素を補給するほうが新生児の死亡率を低下させることを明らかにした。Lancet誌2008年1月19日号掲載の報告。鉄+葉酸補給と複数微量栄養素補給を比較するクラスター無作為化試験SUMMITは、通常の妊婦管理サービスにおける鉄+葉酸補給と複数の微量栄養素補給の胎児および新生児死亡に及ぼす影響を比較するために、インドネシアのロンボク島で実施された二重盲検クラスター無作為化試験。2001年7月~2004年4月の間に、262人のトレーニングを受けた助産婦による妊婦管理サービスに31,290人の妊婦が登録され、鉄+葉酸群に15,486人が、複数微量栄養素群に15,804人が無作為に割り付けられた。妊婦は登録時から産後90日まで毎日栄養補給を受けた。早期死亡率が18%低下、とくに栄養不良および貧血の妊婦に有効主要評価項目である早期死亡率(生後90日以内の死亡)は、1,000人の新生児当たり複数微量栄養素群が35.5人、鉄+葉酸群は43人であり、前者で有意に18%低下した(相対リスク0.82、p=0.010)。登録時に栄養不良(上腕中央部周囲<23.5cm)がみられた妊婦の子の早期死亡率は複数微量栄養素群で25%低下しており(同0.75、p=0.0021)、貧血(ヘモグロビン<110g/L)のみられた妊婦の子では38%低下していた(同0.62、p<0.0001)。胎児と新生児の複合死亡率は複数微量栄養素群が鉄+葉酸群よりも11%低下しており(同0.89、p=0.045)、栄養不良妊婦の子では15%低下し(同0.85、p=0.022)、貧血妊婦の子では29%低下していた(同0.71、p=0.0010)。出生後1時間以内に体重が測定された11,101人の新生児のうち、複数微量栄養素群では低出生体重のリスクが鉄+葉酸群よりも14%低下し(同0.86、p=0.060)、貧血妊婦の子では33%低下していた(同0.67、p=0.0062)。これらの知見により、研究グループは「妊婦に対する複数の微量栄養素補給は、鉄+葉酸補給に比べ新生児の早期死亡率を低下させ、その効果はとくに栄養不良妊婦や貧血妊婦の子において大きい」と結論し、「妊婦管理プログラム全体の強化のなかでも、複数微量栄養素補給の役割は重要性が高い可能性がある」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

11658.

エタネルセプトは小児・思春期の尋常性乾癬にも有効

わが国では関節リウマチ薬として販売されているエタネルセプトは、成人の尋常性乾癬の重症度を軽減することが示され、欧米では承認されている。本論は、小児・思春期の中等度~重度の尋常性乾癬に対する有効性と安全性について評価した、Etanercept Pediatric Psoriasis Study Groupによるフェーズ3の治験報告。NEJM誌2008年1月17日号に掲載された。4~17歳の乾癬患者211例を48週調査対象は4~17歳の乾癬患者211例。まず二重盲検下で無作為に、プラセボを投与する群と、体重1kg当たりエタネルセプト0.8mg(最高50mg)を投与する群に割り付け、12週にわたり週1回の皮下注射が行われた。続く24週は、非盲検でエタネルセプトを週1回投与。36週目に患者138例を再度無作為にプラセボ群とエタネルセプト群に割り付け、投薬中断と再投与が行われ、計48週にわたる効果が検討された。主要評価項目は、12週時点で乾癬部位の面積と重症度を示す指数PASIが、基線から75%以上改善(PASI 75)していることとし、副次評価項目はPASI 50、PASI 90、医師の総合評価による疾患消失またはほぼ消失、安全性評価とした。有害事象3例4件もすべて後遺症なく回復12週時点でPASI 75を達成したのは、エタネルセプト群が57%だったのに対し、プラセボ群は11%だった(P

11659.

気管支喘息治療薬「シングレア」、アレルギー性鼻炎の適応を追加取得

1月25日、気管支喘息治療薬「シングレア(モンテルカストナトリウム)」は、成人アレルギー性鼻炎の適応症を取得した。すでに発売している「シングレア錠10」は、25日から当該適応で長期処方が可能となっている。また、「シングレア錠5mg」は、薬価収載を受けてから新発売となる。詳細はプレスリリースへhttp://www.banyu.co.jp/content/corporate/newsroom/2008/product_news_0125.html

11660.

オピオイド鎮痛薬の処方増大と処方格差の実態

1990年代後半に全米で推進された質改善の動きによって起きたことの一つに、オピオイド鎮痛薬の処方増が挙げられている。しかしそれに関して、救急部門において疼痛治療のためのオピオイド処方が増えたのか、またオピオイド処方をめぐる人種・民族間の格差に関する状況は明らかにされていなかった。そこでカリフォルニア大学疫学・バイオ統計学部のMark J. Pletcher氏らが調査を実施。JAMA誌2008年1月2日号で報告した。13年間のNHAMCSの記録を対象に調査は、National Hospital Ambulatory Medical Care Survey(NHAMCS)の13年間(1993~2005年)の記録から、救急部門受診の理由が疼痛治療関連だったもの、および診断コードを参照抽出して行われた。検証されたのは、救急部門におけるオピオイド処方件数は増えたのか、白人患者は他の人種・民族集団よりオピオイドを処方されている傾向は見受けられるか、および2000年以降、人種・民族間の処方格差は縮小しているかについて。白人患者の有意性は変わらず検証された期間の、救急部門への疼痛治療関連の受診は42%(156,729/374,891)。オピオイド処方は、1993年は23%だったが、2005年には37%に増えており(傾向のP

検索結果 合計:11752件 表示位置:11641 - 11660