アラノンジー静注用250mg
一般名 | ネララビン注射液 |
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YJコード | 4229402A1028 |
剤型・規格 | 液剤・250mg50mL1瓶 |
薬価 | 54925.00円 |
製薬会社 | |
添付文書 |
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添付文書
効能・効果
再発又は難治性の次記疾患:再発又は難治性のT細胞急性リンパ性白血病、再発又は難治性のT細胞リンパ芽球性リンパ腫。
用法・用量
ネララビンとして1500mg/㎡(体表面積)を1日1回2時間以上かけて点滴静注する。これを1、3、5日目に投与し、その後16日間休薬する。21日間を1クールとして、繰り返す。小児には、ネララビンとして650mg/㎡(体表面積)を1日1回1時間以上かけて点滴静注する。これを5日間連日投与し、その後16日間休薬する。21日間を1クールとして、繰り返す。<用法及び用量に関連する使用上の注意>1.神経毒性は本剤の用量規制因子であり、本剤による治療を受けている患者においては神経系障害の徴候及び症状を注意深く観察し、なお、CommonTerminologyCriteriaforAdverseEvents(CTCAE)*のグレード2以上に該当する神経系障害の徴候が認められた場合は、直ちに投与を中止する(*:CTCAEver.3.0に基づき評価する。但し、「傾眠/意識レベルの低下」については、NCI-CTCver.2.0の「意識レベル低下」に従う)。2.本剤と他の抗悪性腫瘍薬との併用に関する有効性及び安全性は確立していない。
使用上の注意情報
(警告)1.本剤の投与は、緊急時に十分に対応できる医療施設において、造血器悪性腫瘍の治療に対して、十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例のみに行う。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分に説明し、同意を得てから投与を開始する。2.本剤投与後に、傾眠あるいはより重度の意識レベル変化、痙攣などの中枢神経障害、しびれ感、錯感覚、脱力及び麻痺などの末梢性ニューロパシー、脱髄、ギラン・バレー症候群に類似する上行性末梢性ニューロパシー等の重度神経系障害が報告されており、これらの症状は、本剤の投与を中止しても完全に回復しない場合があるので、神経系障害に対しては特に注意深く観察し、神経系障害の徴候が認められた場合には重篤化する恐れがあるので、直ちに投与を中止するなど、適切な対応を行う。なお、本剤使用にあたっては、添付文書を熟読のこと。(禁忌)本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。(慎重投与)1.髄腔内化学療法による治療歴のある患者又は現在髄腔内化学療法による治療中の患者[神経系障害のリスクが高まる恐れがある]。2.全脳照射の施行歴・全脊髄照射の施行歴のある患者[神経系障害のリスクが高まる恐れがある]。3.腎機能障害のある患者[本剤及び本剤の活性代謝物である9-β-D-アラビノフラノシルグアニン(ara-G)は一部腎から排泄されるため、腎機能障害のある患者では血中濃度が上昇する恐れがある]。4.肝機能障害のある患者[本剤は主に肝臓で代謝されるため、肝機能障害のある患者では血中濃度が上昇する恐れがある]。5.高齢者の患者。(重要な基本的注意)1.免疫機能が抑制された患者への生ワクチン接種により、ワクチン由来の感染を増強又は持続させる恐れがあるので、本剤投与中に生ワクチンを接種しない。2.傾眠が発現することがあるので、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には十分注意させる。3.本剤を投与する際には、患者とそのパートナーに対して適切な避妊を行うよう指導する。(相互作用)本剤はアデノシンデアミナーゼによって活性代謝物であるara-Gに変換される。併用注意:アデノシンデアミナーゼ阻害剤(ペントスタチン)[これらの薬剤との併用により、本剤の作用が減弱する恐れがあり、なお、併用した場合の安全性は確認されていないので、本剤とアデノシンデアミナーゼ阻害剤との併用は避けることが望ましい(Invitroにおいて併用によりネララビンからara-Gへの変換が阻害されることが示されている)]。(高齢者への投与)十分な症例数ではないものの海外臨床試験での探索的な分析の結果、65歳以上で神経系障害の発現率が高い傾向がみられているため、患者の状態を観察しながら慎重に投与する。(妊婦・産婦・授乳婦等への投与)1.妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合以外には投与しない。また、妊娠する可能性のある女性には、本剤による投与中及び投与終了後一定期間は避妊するよう指導し、妊娠中に本剤を使用するか、本剤を使用中の患者が妊娠した場合は胎児に異常が生じる可能性があることを患者に十分説明する[動物実験において、妊娠7~19日のウサギに本剤を8時間静脈内持続投与した結果、354mg/㎡/日(成人用量の約24%)以上の投与量において、胆嚢無発生、肺分葉異常、胸骨分節癒合又は胸骨分節過剰及び骨化遅延などの胎仔奇形及び胎仔変異の発現が対照群に比べて高い頻度で観察され、また、1180mg/㎡/日以上(成人用量の約79%)の投与量においては欠指<第1指>、3540mg/㎡/日(成人用量の約2倍)の投与量においては口蓋裂、母動物体重増加量減少及び胎仔体重低値がみられた]。2.パートナーが妊娠する可能性のある男性には、本剤投与中及び投与終了後一定期間は適切な避妊をするよう指導する[マウスリンパ腫細胞を用いたinvitro遺伝子突然変異試験において遺伝毒性が報告されている]。3.授乳中の女性には本剤投与中は授乳を避けさせる[本剤又は本剤の活性代謝物であるara-Gがヒトの乳汁中に移行するかどうかは不明である]。(小児等への投与)低出生体重児、新生児、乳児に対する安全性は確立していない(低出生体重児、新生児に対しては使用経験がなく、乳児に対しては使用経験が少ない)。(過量投与)1.徴候・症状:過量投与により麻痺、昏睡を含む重度神経系障害や骨髄抑制が発現し、場合によっては致死的結果をもたらす恐れもある。海外の臨床試験において、本剤2200mg/㎡を1、3、5日目に投与し、21日毎に繰り返したところ、2例にグレード3*に該当する感覚性ニューロパシーが発現し、MRI検査においていずれも頚髄の脱髄と一致する所見が認められたとの報告がある(*:グレード分類は、SWOG(SouthwestOncologyGroup)toxicitycriteriaにより評価した)。2.処置:本剤の過量投与時の解毒剤は知られていないので、本剤の過量投与が疑われた場合は、適切な対症療法を行う。(適用上の注意)1.投与経路:本剤は静脈内にのみ投与する。2.投与時:1).本剤は希釈せずに使用する。2).本剤は細胞毒性を有するため、調製時には手袋を着用することが望ましい。皮膚、眼、粘膜に薬液が付着した場合には、直ちに多量の流水でよく洗い流す。(その他の注意)1.本剤のがん原性試験は実施していないが、L5178Y/TKマウスリンパ腫細胞を用いた検討において、代謝活性化の有無にかかわらず、遺伝子突然変異誘発作用を示すことが報告されている。また、類薬において二次性悪性腫瘍が発生したとの報告がある。2.本剤の性腺に対する影響については不明であるが、類薬では動物実験において精巣毒性が認められているので、小児及び生殖可能な年齢の患者に投与する必要がある場合には、性腺に対する影響を考慮する。
副作用
難治性造血器悪性腫瘍*を対象とした成人及び小児における海外臨床試験において発現した臨床検査値異常を含む主な有害事象(本剤との関連性の有無にかかわらず発現した事象)は次のとおりであった。なお、「重大な副作用」及び「その他の副作用」の項における有害事象の発現頻度は成人の海外臨床試験結果に基づいた。成人:難治性造血器悪性腫瘍*を対象とした海外臨床試験における103例に認められた臨床検査値異常を含む主な有害事象は、貧血102例(99%)、血小板減少症89例(86%)、好中球減少症83例(81%)、及び疲労51例(50%)であった。小児:再発又は難治性のT細胞急性リンパ性白血病ならびにT細胞リンパ芽球性リンパ腫を対象とした海外臨床試験における84例(平均年齢11.9歳(範囲:2.5~21.7歳))に認められた臨床検査値異常を含む主な有害事象は、貧血80例(95%)、好中球減少症79例(94%)、血小板減少症74例(88%)であった。*:本邦における効能・効果は、再発又は難治性のT細胞急性リンパ性白血病ならびにT細胞リンパ芽球性リンパ腫である。再発又は難治性のT細胞急性リンパ性白血病ならびにT細胞リンパ芽球性リンパ腫を対象とした国内第1相臨床試験において発現した臨床検査値異常を含む主な有害事象は次のとおりであった。成人:7例に認められた臨床検査値異常を含む主な有害事象は、傾眠7例(100%)、悪心5例(71%)、リンパ球数減少、AST(GOT)増加、ALT(GPT)増加各4例(57%)であった。小児:6例に認められた臨床検査値異常を含む主な有害事象は、白血球数減少5例(83%)、リンパ球数減少4例(67%)、ヘモグロビン減少、尿潜血陽性、好中球数減少各3例(50%)であった。1.重大な副作用1).神経系障害:傾眠(23%)、末梢性ニューロパシー(末梢性感覚性ニューロパシー及び末梢性運動性ニューロパシー)(21%)、感覚減退(17%)、錯感覚(15%)及びてんかん様発作(痙攣、大発作痙攣、てんかん重積状態を含む)(1%)が現れることがあり、また、脱髄、ギラン・バレー症候群に類似した上行性末梢性ニューロパシー、進行性多巣性白質脳症、あるいは致死的てんかん重積状態も報告されているので、神経系障害に対しては特に注意深く観察し、CTCAEのグレード2以上に該当するこれらの神経系の症状が認められた場合には、直ちに本剤の投与を中止する。2).血液障害:貧血(99%)、血小板減少症(86%)、好中球減少症(81%)、発熱性好中球減少症(12%)及び白血球減少症(3%)が現れることがあるので、血小板を含む全血算を定期的にモニタリングするとともに患者の状態を注意深く観察し、異常が認められた場合には、休薬期間の延長又は投与を中止するなど適切な処置を行う(白血球減少症:小児を対象とした海外臨床試験において、10~50%未満に認められた有害事象)。3).錯乱状態:錯乱状態(8%)が現れることがあるので、異常が認められた場合は休薬期間の延長又は投与を中止するなど適切な処置を行う。4).感染症:敗血症、菌血症、肺炎、真菌感染等の感染症(39%)が現れることがあり、本剤投与中に致死的日和見感染をおこす恐れがあるので、異常が認められた場合は休薬期間の延長又は投与を中止するなど適切な処置を行う。5).腫瘍崩壊症候群:腫瘍崩壊症候群(1%)が現れることがあり、高尿酸血症等を伴うことがあるので、異常が認められた場合には直ちに投与を中止し、輸液投与や高尿酸血症治療剤の投与等の適切な処置を行う。6).横紋筋融解症:横紋筋融解症(頻度不明)が現れることがあるので、観察を十分に行い、筋肉痛、脱力感、CK上昇(CPK上昇)、血中ミオグロビン上昇及び尿中ミオグロビン上昇等が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行う。また、横紋筋融解症による急性腎障害の発症に注意する。7).劇症肝炎、肝機能障害、黄疸:劇症肝炎(頻度不明)、AST上昇(GOT上昇)、ALT上昇(GPT上昇)等を伴う肝機能障害(9%)、黄疸(頻度不明)が現れることがあるので、定期的に肝機能検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には、休薬期間の延長又は投与を中止するなど適切な処置を行う(肝機能障害:小児を対象とした海外臨床試験において、10~50%未満に認められた有害事象)。2.その他の副作用1).神経:(10~50%未満)眩暈、頭痛、(1~10%未満)振戦、運動失調、健忘、味覚異常、平衡障害。2).眼:(1~10%未満)霧視。3).呼吸器:(10~50%未満)胸水、呼吸困難、咳嗽、(1~10%未満)喘鳴。4).消化器:(10~50%未満)下痢、悪心、嘔吐、便秘、(1~10%未満)食欲不振、口内炎、腹痛。5).筋骨格:(10~50%未満)筋痛、(1~10%未満)筋力低下、関節痛、背部痛、四肢痛。6).全身:(10~50%未満)浮腫、末梢性浮腫、疼痛、発熱、疲労、無力症、(1~10%未満)歩行異常。7).皮膚:(1~10%未満)発疹、紅斑。8).その他:(1~10%未満)低カリウム血症[低カリウム血症:小児を対象とした海外臨床試験において、10~50%未満に認められた有害事象]、低血糖症[低血糖症:小児を対象とした海外臨床試験に基づく発現頻度]、低カルシウム血症、低マグネシウム血症、血中クレアチニン増加、低血圧、(頻度不明)心室頻拍。
薬効薬理、臨床成績
薬効薬理
1.作用機序ネララビンはアデノシンデアミナーゼによって速やかにara‐Gに脱メチル化された後、デオキシグアノシンキナーゼ及びデオキシシチジンキナーゼによって細胞内で5’‐一リン酸化体にリン酸化される。5’‐一リン酸化体はさらに細胞内で活性5’‐三リン酸化体のara‐GTPにリン酸化される。白血病芽球内にara‐GTPが蓄積すると、デオキシリボ核酸(DNA)にara‐GTPが優先的に取り込まれ、そのためにDNA合成が阻害されて、最終的に細胞死が誘導される。2.抗腫瘍効果ネララビンはinvitroの培養系において、ヒトT細胞性白血病細胞株に対して強い細胞障害活性を示した。一方、ヒトB細胞株に対する細胞障害活性は弱かった。ヒトT細胞性白血病細胞株を用いたマウス皮下異種移植モデルにおいて、ネララビンは反復投与により用量依存的な抗腫瘍活性を示した。
臨床成績
(1)海外で実施された再発又は難治性T細胞急性リンパ性白血病ならびにT細胞リンパ芽球性リンパ腫を対象とした第II相臨床試験成績は次のとおりである。表‐3海外第II相臨床試験成績--------------------------表開始--------------------------16歳以上注)1500mg/m2(1、3、5日)21歳以下注)650mg/m2(1~5日)寛解導入回数(患者数)1回(11例)2回以上(28例)1回(31例)2回以上(39例)完全寛解(例数及びその持続期間)例数(%)[95%信頼区間]2(18%)[2~52]5(18%)[6~37]13(42%)[25~61]5(13%)[4~27]持続期間(週)51.0及び212.015.1~195.4以上0.9~260.0以上4.7~36.4注)本剤の通常用量は、成人では「ネララビンとして1500mg/m2(体表面積)を1日1回2時間以上かけて点滴静注する。これを1、3、5日目に投与し、その後16日間休薬する。21日間を1クールとして、繰り返す。」、小児では「ネララビンとして650mg/m2(体表面積)を1日1回1時間以上かけて点滴静注する。これを5日間連日投与し、その後16日間休薬する。21日間を1クールとして、繰り返す。」である。通常、15歳未満の患者には、小児に対する用法・用量にて投与すること。(【用法及び用量】の項参照)--------------------------表終了--------------------------(2)再発又は難治性T細胞急性リンパ性白血病ならびにT細胞リンパ芽球性リンパ腫を対象とした国内第I相臨床試験において成人7例(T細胞急性リンパ性白血病患者4例、T細胞リンパ芽球性リンパ腫患者3例)のうち1例で完全寛解が、小児4例(いずれもT細胞急性リンパ性白血病)のうち2例で完全寛解が得られた。注)注)本剤の通常用量は、成人では「ネララビンとして1500mg/m2(体表面積)を1日1回2時間以上かけて点滴静注する。これを1、3、5日目に投与し、その後16日間休薬する。21日間を1クールとして、繰り返す。」、小児では「ネララビンとして650mg/m2(体表面積)を1日1回1時間以上かけて点滴静注する。これを5日間連日投与し、その後16日間休薬する。21日間を1クールとして、繰り返す。」である。通常、15歳未満の患者には、小児に対する用法・用量にて投与すること。(【用法及び用量】の項参照)