外科/乳腺外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:7

食道切除術の術後感染予防、アンピシリン・スルバクタムvs.セファゾリン~日本の全国データ

 セファゾリン(CEZ)は食道切除術における感染予防として広く使用されている。一方、アンピシリン・スルバクタム(ABPC/SBT)は好気性および嫌気性の口腔内細菌をターゲットとしていることから、一部の病院で好んで使用されている。そこで、国際医療福祉大学の平野 佑樹氏らが、食道切除術の術後感染予防における短期アウトカムを2剤で比較したところ、ABPC/SBTがCEZより術後短期アウトカムを有意に改善することが示された。Annals of Surgery誌オンライン版2023年12月15日号に掲載。

身体活動と閉経前の乳がんリスクの関連、19研究のプール解析/JCO

 余暇の身体活動が閉経「後」の乳がんリスクを予防するという強いエビデンスはあるが、閉経「前」の乳がんリスクとの関連は明らかではない。今回、英国・The Institute of Cancer ResearchのIain R. Timmins氏らが19のコホート研究を含む大規模なプール解析を実施した結果、身体活動レベルが高いと閉経前乳がんリスクが低いことが示された。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2023年12月11日号に掲載。  本研究では、閉経前女性54万7,601人、乳がん患者1万231例を含む19のコホート研究の自己申告による余暇の身体活動の個人データを統合した。多変量Cox回帰モデルを用いて、余暇の身体活動と乳がん発症率の関連におけるハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)を推定した。

合併症のない症候性胆石症、手術は省略可能?/BMJ

 合併症のない症候性胆石症患者の症状再発と合併症の予防において、保存的治療は標準治療である腹腔鏡下胆嚢摘出術と比較して、QOLに関して差はないものの短期的(18ヵ月)には有効で、費用対効果が優れることから、手術に代わる治療法となる可能性があることが、英国・NHS GrampianのIrfan Ahmed氏らが実施した「C-GALL試験」で示された。研究の成果は、BMJ誌2023年12月6日号に掲載された。  C-GALL試験は、英国の20の2次医療施設が参加した実践的な無作為化対照比較試験であり、2016年8月~2019年11月に患者の適格性の評価を行った(英国国立衛生研究所[NIHR]医療技術評価[HTA]プログラムなどの助成を受けた)。  年齢18歳以上で、2次医療施設に紹介された合併症のない症候性胆石症(胆石発作または急性胆嚢炎)で、胆嚢摘出術の適応と判定された患者を、保存的治療または腹腔鏡下胆嚢摘出術を受ける群に1対1の割合で無作為に割り付けた。

高リスクHER2+乳がん、術前療法へのアテゾリズマブ追加でpCR改善は(APTneo)/SABCS2023

 HER2陽性高リスク乳がんに対する術前補助療法として、トラスツズマブ(H)+ペルツズマブ(P)+化学療法は標準治療となっている。また、抗HER2療法に対する免疫系の寄与を示すデータが報告され、免疫チェックポイント阻害薬と抗HER2抗体の組み合わせが裏付けられている。イタリア・Fondazione MichelangeloのLuca Gianni氏らは、HP+化学療法へのアテゾリズマブ(±アントラサイクリン)の追加を評価することを目的として、第III相APTneo試験を実施。サンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS2023)で病理学的完全奏効(pCR)についてのデータを報告した。

TN乳がん術前免疫化療前・後のニボルマブ単剤、pCRに有意差なし(BCT1902/IBCSG 61-20 Neo-N)/SABCS2023

 StageI~IIBのトリプルネガティブ乳がん(TNBC)患者に対して、12週間の非アンスラサイクリン系抗がん剤+ニボルマブの術前補助療法の前または後にニボルマブ単剤治療を組み合わせた第II相BCT1902/IBCSG 61-20 Neo-N試験の結果、ニボルマブ単剤治療の順番にかかわらず有望な病理学的完全奏効(pCR)率を示したことを、オーストラリア・Newcastle大学のNicholas Zdenkowski氏がサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS2023、12月5~9日)で発表した。 ・対象:StageI~IIBのTNBC患者 108例

早期乳がん、術前MRIで術後放射線療法の省略を判定可能?(PROSPECT)/Lancet

 MRI検査で単病巣性の乳がん(unifocal breast cancer)が認められた病状良好な女性患者は、術後の放射線療法を安全に省略できることが示された。オーストラリア・王立メルボルン病院のGregory Bruce Mann氏らが、多施設共同前向き2アーム非無作為化試験「PROSPECT試験」の結果を報告した。早期乳がんに対する術後の乳房放射線治療は、標準的な乳房温存療法として行われているが、多くの女性にとって過剰治療となる可能性が示唆されている。また、乳房MRIは、局所腫瘍の最も感度の高い評価法である。本試験は、MRIと病理学的所見の組み合わせによって、放射線治療を安全に回避可能な局所乳がんを有する女性の特定が可能であることを見極める目的で行われた。Lancet誌オンライン版2023年12月5日号掲載の報告。

高リスク早期乳がんへの術後アベマシクリブ併用、再発スコアによらず有効(monarchE)/SABCS2023

 HR+/HER2-リンパ節転移陽性の高リスク早期乳がんに対する術後内分泌療法(ET)にアベマシクリブ追加の有用性を検討したmonarchE試験では、無浸潤疾患生存期間(iDFS)と無遠隔再発生存期間(DRFS)が有意かつ臨床的に意義のある改善が示され、さらに併用療法終了から5年後にiDFSとDRFSの絶対的ベネフィットがさらに大きくなったことが報告されている。今回、原発腫瘍組織の分子プロファイルと臨床転帰の関連について検討した結果を、英国・The Royal Marsden Hospital, Institute of Cancer ResearchのNicholas C. Turner氏がサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS2023)で発表した。

HER2+進行乳がん高齢患者への1次治療、T-DM1 vs.標準治療(HERB TEA)/SABCS2023

 HER2陽性進行乳がん患者の1次治療として標準的なHPD(トラスツズマブ+ペルツズマブ+ドセタキセル)療法は、高齢患者では有害事象により相対用量強度を維持できないケースやQOLが損なわれるケースがある。そのため、毒性は低く、有効性は劣らない高齢者における新たな治療オプションが求められる。国立国際医療研究センター病院の下村 昭彦氏は、HPD療法とトラスツズマブ エムタンシン(T-DM1)を比較した第III相HERB TEA試験(JCOG1607)の結果を、サンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS2023)で報告した。

妊娠希望で乳がん術後内分泌療法を中断した患者、生殖補助医療の効果は(POSITIVE)/SABCS2023

 妊娠を試みるために術後補助内分泌療法を一時的に中断する早期HR+乳がん患者を対象としたPOSITIVE試験において妊孕性温存と生殖補助医療について評価した結果、乳がん診断時に胚・卵子を凍結保存し、内分泌療法中断後に胚移植した場合の妊娠率が高いことが示された。体外受精を受けた患者に乳がんイベントの増加はみられなかった。メキシコ・Monterrey Institute of TechnologyのHatem Azim氏がサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS2023)で発表した。

TN乳がん導入療法後のペムブロ、オラパリブ併用vs.化療併用(KEYLYNK-009)/SABCS2023

 ペムブロリズマブ+化学療法による導入療法で臨床的有用性が得られた切除不能な局所再発または転移を有するトリプルネガティブ乳がん(TNBC)患者を対象に、その後の維持療法としてペムブロリズマブ+オラパリブとペムブロリズマブ+化学療法の有効性と安全性を比較した第II相KEYLYNK-009試験の結果を、米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のHope S. Rugo氏がサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS 2023)で発表した。その結果、ペムブロリズマブ+オラパリブ群はITT集団では無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)を有意に改善しなかったが、BRCA変異陽性集団においては良好な傾向にあり、治療関連有害事象(TRAE)は少ないことが明らかになった。