膠原病・リウマチ科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:3

乾癬患者へのアプレミラスト、血管炎症、心臓代謝との関連は?

 海外ではすでに広く使用されている経口ホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害薬アプレミラストについて、血管炎症および心臓代謝機能との関連を評価した米国・ペンシルベニア大学医学大学院のJoel M. Gelfand氏らによる第IV相非盲検非無作為化試験の結果が示された。  乾癬は代謝疾患および心血管疾患と関連する炎症性の疾患であり、アプレミラストによる治療では体重減少を引き起こす可能性が知られている。今回の検討で、大動脈血管炎症との関連性は中立的であること、心血管代謝バイオマーカーのサブセットと可変ではあるが概して有益な関連性があること、内臓脂肪・皮下脂肪の減少と関連することが示され、結果を踏まえて著者は、「アプレミラストは心血管代謝疾患および乾癬を有する患者に対して、全体としてベネフィットをもたらす可能性があることが示唆された」とまとめている。JAMA Dermatology誌オンライン版2022年9月21日号掲載の報告。

全身性エリテマトーデスの関節痛、litifilimabが有効性を示す

 皮膚エリテマトーデス患者の発疹治療に有効性が示されていたリティフィリマブ(litifilimab)が、全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus;SLE)患者の関節の痛みにも有効である可能性を示した、第2相ランダム化比較試験の結果が報告された。米ノースウェル・ヘルス、リウマチ学部長のRichard A. Furie氏らが実施したこの研究結果は、「The New England Journal of Medicine(NEJM)」9月8日号に掲載された。  SLEは、免疫系が誤って自身の体を攻撃してしまうことで、関節や皮膚、脳、肺、腎臓、血管など全身にさまざまな症状が現れる自己免疫疾患である。リティフィリマブは、血液樹上細胞抗原2(BDCA2)に結合するモノクローナル抗体で、皮膚エリテマトーデスおよびSLEの治療薬として開発が進められている。BDCA2は形質細胞様樹状細胞にのみ発現し、抗体と結合することで、形質細胞様樹状細胞が、SLEの病態形成との関与が示唆されているI型インターフェロン(IFN-I)などのサイトカインを産生するのを抑制する。  試験では、試験参加者をリティフィリマブ(50mg、150mg、450mgのいずれか)、またはプラセボを0、2、4、8、12、16、20週目に投与する群にランダムに割り付け、主要評価項目を皮膚病変の疾患活動性に設定していた。その後、試験デザインが変更され、関節炎と活動性皮膚病変を有するSLE患者を、リティフィリマブ450mgを投与する群とプラセボを投与する群に割り付け、主要評価項目も、投与開始から24週時点での活動性の関節の数(腫脹のある関節の数と圧痛のある関節の数の合計で評価)に変更された。

国内初、自己投与可能なメトトレキサート皮下注製剤「メトジェクト」承認/エーザイ

 エーザイと日本メダックは、2022年9月26日付けのプレスリリースで、抗リウマチ剤メトジェクト皮下注7.5mgシリンジ0.15mL、同10mgシリンジ0.20mL、同12.5mgシリンジ0.25mL、同15mgシリンジ0.30mL(一般名:メトトレキサート[MTX]、以下「メトジェクト」)について、関節リウマチの効能または効果で製造販売承認を取得したと発表した。  メトジェクトの承認は、日本メダックが国内で実施した有効性と安全性についてMTX経口剤と比較する、二重盲検期ならびに継続投与期からなる臨床第III相試験(MC-MTX.17/RA試験)の結果に基づく。本試験の二重盲検期において、MTX未治療の関節リウマチ患者102例を対象に、メトジェクト7.5mg/週あるいはMTX経口剤8mg/週が12週間反復投与された。主要評価項目である12週後のACR 20%改善率(米国リウマチ学会[American College of Rheumatology]作成の関節リウマチの臨床症状改善度の基準)は、MTX経口剤群51.0%に対してメトジェクト群59.6%であり、同程度の有効性が認められた。二重盲検期における副作用発現率は、メトジェクト群25.0%、MTX経口剤群34.0%、主な副作用(発現率5%以上)は、メトジェクト群で口内炎5.8%、MTX経口剤群で悪心12.0%、口内炎6.0%であった。

低用量メトトレキサート、悪性黒色腫リスク増大と関連?

 メトトレキサート(MTX)は関節リウマチを含む炎症性疾患の治療で幅広く使用されているが、低用量MTX曝露は悪性黒色腫のリスク増大と関連することが、オーストラリア・アルフレッド病院のMabel K. Yan氏らが行ったシステマティック・レビューとメタ解析の結果、示された。ただし、著者は結果を踏まえて、「リスク増大の絶対値は取るに足らないもので、現実的な影響は無視できるものだ」としている。JAMA Dermatology誌オンライン版2022年8月31日号掲載の報告。

ワルファリンは揺るぎない経口抗凝固薬の本流!(解説:後藤信哉氏)

 抗凝固薬の重篤な出血合併症は怖い。ワルファリンの有効性は確実であるが、重篤な出血合併症が怖いため血栓イベントリスクの高い症例に絞って使用してきた。経口のトロンビン、Xa阻害薬ではワルファリンに勝る有効性は期待できない。ワルファリンの至適PT-INRを2~3と高めに設定して、辛うじて非弁膜症性心房細動にて適応を取得した。リウマチ性の僧帽弁狭窄症など、血栓リスクの高い症例の血栓イベントは単一の凝固因子の選択的阻害薬ではとても予防できないと想定されていた。高齢社会にて非弁膜症性心房細動の数は多い。経口のトロンビン、Xa阻害薬をごっちゃにしてNOAC/DOACなどの軽い名前のイメージで特許期間内に売りまくった。

リウマチ性心疾患AF、ビタミンK拮抗薬がリバーロキサバンより有効/NEJM

 リウマチ性心疾患のAF(心房細動)患者において、ビタミンK拮抗薬治療はリバーロキサバン治療よりも、心血管イベントまたは死亡の複合発生率が低く、出血の発生率は両群で有意差はないことが、カナダ・マックマスター大学のStuart J. Connolly氏らによる4,565例を対象とした非盲検無作為化試験の結果、示された。リウマチ性心疾患の心房細動患者における心血管イベントの予防について、第Xa因子阻害薬の試験は限られていた。NEJM誌オンライン版2022年8月28日号掲載の報告。  研究グループは、心エコーでリウマチ性心疾患が確認された心房細動で、CHA2DS2VAScスコアが2以上(スコア範囲0~9、高スコアほど脳卒中リスクが高い)、僧帽弁口面積2cm2以下、左心房もやもやエコー、左房血栓のいずれかが認められた患者を登録し試験を行った。

MTX維持療法中のolokizumab、関節リウマチの改善率は?/NEJM

 メトトレキサート(MTX)による維持療法を受けている関節リウマチ(RA)患者において、インターロイキン-6(IL-6)を直接の標的とするヒト化モノクローナル抗体であるolokizumabを併用すると、12週の時点における米国リウマチ学会基準の20%の改善(ACR20)の達成に関して、プラセボと比較して優越性を示し、ヒト型抗ヒトTNF-αモノクローナル抗体アダリムマブに対し非劣性であることが、オーストリア・ウィーン医科大学のJosef S. Smolen氏らが実施した「CREDO2試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2022年8月25日号に掲載された。

痛風発作、心血管イベントの一過性の増加と関連/JAMA

 痛風患者では、心血管イベントの経験者は非経験者と比較して、イベント発生前の0~120日以内に痛風発作を発症する確率が有意に高く、痛風発作後の心血管イベントの一過性の増加と関連する可能性があることが、英国・ノッティンガム大学のEdoardo Cipolletta氏らの調査で示された。研究の成果は、JAMA誌2022年8月2日号に掲載された。  研究グループは、痛風発作が痛風患者における心血管イベントのリスクを一過性で増加させるとの仮説の検証を目的に、後ろ向き観察研究を行った(ノッティンガム大学などの助成を受けた)。

新規抗体薬litifilimab、皮膚エリテマトーデスの疾患活動性を改善/NEJM

 皮膚エリテマトーデス患者の治療において、血液樹状細胞抗原2(BDCA2)のヒト化モノクローナル抗体製剤litifilimabはプラセボと比較して、治療開始から16週間後の皮膚疾患活動性の改善効果が優れ、有害事象の発生状況は同程度であることが、米国・ペンシルベニア大学のVictoria P. Werth氏らが実施した「LILAC試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2022年7月28日号で報告された。  LILAC試験は、皮膚エリテマトーデス患者の治療におけるlitifilimabの有効性と安全性の評価を目的とする16週の二重盲検無作為化プラセボ対照第II相試験であり、2016年10月~2019年11月の期間に、アジア、欧州、中南米、米国の54施設で参加者の登録が行われた(米国Biogenの助成による)。

関節炎発症前のメトトレキサート、関節リウマチの発現を抑制するか/Lancet

 関節リウマチの治療は、通常、関節炎が臨床的に明らかになってから開始される。オランダ・ライデン大学医療センターのDoortje I. Krijbolder氏らは、「TREAT EARLIER試験」において、関節炎の発症前に関節の不顕性炎症がみられる段階で、関節リウマチの基本的な治療薬であるメトトレキサートの早期投与を開始すると、臨床的な関節炎の発現を予防し、疾病負担が軽減されるかについて検討を行った。その結果、プラセボと比較して、2週間以上持続する関節炎の予防効果は認められなかったものの、MRI上の炎症所見や関連症状、身体機能障害が持続的に改善したことから、疾患の経過が修飾されたと考えられた。研究の詳細は、Lancet誌2022年7月23日号に掲載された。