呼吸器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:67

新型コロナワクチンの効果、減弱してもブースター接種で再び回復

 米国では現在、オミクロン株が標的に含まれる新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の改良型ワクチンのブースター接種(追加接種)が行われている。こうした中、この接種のタイミングが適切であることを示した研究結果を、米オハイオ州立大学のShan-Lu Liu氏らが、「The New England Journal of Medicine」に9月7日報告した。  米食品医薬品局(FDA)は8月下旬、モデルナ社製とファイザー社製の新たな新型コロナウイルスワクチン(オミクロン株対応2価ワクチン)をブースター接種に使用することを承認した。これを受け、米国ではこれらのワクチンを9月から接種できるようになった。新たなブースター接種用ワクチンは、従来型の新型コロナウイルスに加えてオミクロン株に対しても防御効果を発揮するように設計されている。

ファイザーのBA.4/5対応2価ワクチン、6ヵ月~4歳用1価ワクチン承認/厚生労働省

 厚生労働省は10月5日、ファイザーのオミクロン株BA.4/5に対応した追加接種用の新型コロナウイルス2価ワクチンについて承認事項の一部変更の特例承認をしたこと、および同社の生後6ヵ月~4歳用の新型コロナウイルス1価ワクチンを特例承認したことを発表した。  接種対象者が12歳以上であるオミクロン株BA.4/5対応の2価ワクチンの販売名は「コミナティRTU筋注(2価:起源株/オミクロン株BA.4-5)」となる。

コロナ診断1週目のリスク、心筋梗塞17倍・脳梗塞23倍/Circulation

 英国・国民保健サービス(National Health Service:NHS)のデータに基づき、ブリストル大学のRochelle Knight氏ら多施設共同による、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)罹患後の動脈血栓塞栓症、静脈血栓塞栓症、およびその他の血管イベントの長期的な発生リスクについて大規模な後ろ向きコホート研究が実施された。その結果、COVID-19の既往がある人は既往がない人と比較して、COVID-19診断から1週目の動脈血栓塞栓症の発症リスクは21.7倍、静脈血栓塞栓症の発症リスクは33.2倍と非常に高く、27〜49週目でも、それぞれ1.34倍、1.80倍のリスクがあることが判明した。とくに患者数の多かった急性心筋梗塞と虚血性脳卒中では、COVID-19診断後1週目に、それぞれ17.2倍、23.0倍リスクが増加していた。Circulation誌2022年9月20日号掲載の報告。

コロナ予防効果の長期観察、ワクチン歴・感染歴別に分析~1千万人コホート/JAMA

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンのプライマリシリーズ接種者は非接種者に比べて、またブースター接種ありはブースター接種なしに比べて、さらにSARS-CoV-2感染既往者は非既往者に比べ、いずれもSARS-CoV-2感染(オミクロン株を含む)や入院・死亡リスクが有意に低いことが、米国・ノースカロライナ大学チャペルヒル校のDan-Yu Lin氏らが行った、1,000万人超を対象に行ったコホート試験で明らかにされた。なお、これらの関連性は、とくに感染に対する保護効果について、時間とともに減弱が認められたことも示されている。COVID-19ワクチンの接種状況およびSARS-CoV-2感染既往と、SARS-CoV-2感染およびCOVID-19重症アウトカムリスクとの関連データは、予防戦略を導く可能性があり重視されている。JAMA誌オンライン版2022年9月26日号掲載の報告。

NSCLC1次治療、sintilimab+anlotinibの有用性(SUNRISE)/ESMO2022

 転移のある非小細胞肺がん(NSCLC)に対する1次療法として、抗PD-1抗体薬sintilimabとマルチチロシンキナーゼ阻害薬anlotinibとの併用療法はプラチナ化学療法に比べて奏効率(ORR)や無増悪生存期間(PFS)を改善する可能性が示された。オープンラベル多施設共同無作為化第II相試験として実施されたSUNRISE試験の中間解析の結果として、中国上海交通大学のBaohui Han氏が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO2022)で報告した。 ・対象: 未治療のドライバー変異陰性StageIV NSCLC患者 ・試験群:sintilimab 200mg(day1)+anlotinib 10mg(day1~14)3週ごと(43例) ・対照群:プラチナダブレット化学療法3週ごと4~6サイクル(46例) ・評価項目: [主要評価項目]ORR [副次評価項目]奏効期間(DoR)、PFS、全生存期間(OS)、安全性

ブースター接種の入院予防効果、何日くらいで弱まる?/JAMA

 新型コロナのmRNAワクチン(以下、新型コロナワクチン)のブースター接種をすることで、どの程度の予防効果が補われ、それがどのくらい持続するかについてはあまり知られていない。そこで、シカゴ大学のJessica P. Ridgway氏らは初回ワクチン接種(2回接種)とブースター接種(3回目)でのコロナによる入院割合について評価した。その結果、ブースター接種が入院率の低下と関連した。ただし、ブースター接種からの時間経過に伴い、その関連は弱まっていったことが明らかになった。2022年9月23日JAMA誌オンライン版のリサーチレターでの報告。

コロナ2価ワクチンの安全性と免疫原性、1価と比較~第II/III相試験/NEJM

 オミクロン株対応2価ワクチン「mRNA-1273.214」(モデルナ製)は、単価ワクチンmRNA-1273よりオミクロン株に対する中和抗体反応が優れており、安全性に関する懸念は認められなかったことを、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のSpyros Chalkias氏らが、現在進行中の第II/III相試験の中間解析の結果、報告した。オミクロン株対応2価ワクチンmRNA-1273.214の追加接種の安全性および免疫原性は明らかになっていなかった。NEJM誌オンライン版2022年9月16日号掲載の報告。  研究グループは、単価ワクチンmRNA-1273(起源株Wuhan-Hu-1のスパイクタンパク質をコードするmRNA)を2回接種(100μg)し、1回目の追加接種(50μg)を3ヵ月以上前に受けた成人を対象に、50μgの2価ワクチンmRNA-1273.214(mRNA-1273を25μg、オミクロン株B.1.1.529[BA.1]のスパイクタンパク質をコードするmRNAを25μg)を接種する群(パートG)と、50μgの単価ワクチンmRNA-1273を接種する群(パートF)に順次登録し、2回目の追加接種を行い、接種後28日時点のmRNA-1273.214の安全性、反応原性、免疫原性を評価した。

心不全未発症者、睡眠時無呼吸や質低下が心拡張機能障害と関連/兵庫医大

 心不全未発症の段階において、睡眠時の無呼吸と質の低下がそれぞれ独立した左室拡張機能低下の重要な予測因子であることを、兵庫医科大学糖尿病内分泌・免疫内科学講座の大学院生の木俵 米一氏らの共同研究グループが前向き研究で解明した。これまで、心不全患者では睡眠に関する問題が多く、睡眠が心不全発症と関連する可能性が指摘されていたが、無呼吸、短時間、質の低下などの睡眠関連因子を定量的かつ同時に評価し、左室拡張機能障害の進行に対する影響を直接検討した研究は報告されていなかった。

自己採取の抗原検査、口腔・鼻腔検体の併用で感度向上か/BMJ

 オランダ・ユトレヒト大学のEwoud Schuit氏らは、検体の自己採取による新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)迅速抗原検査キット3種類の感度について調査し、鼻腔拭い液の自己採取による検査の感度は、3種類ともSARS-CoV-2オミクロン株の出現により低下し、1種類のみ統計学的に有意であったことを示した。また、感度は検査の理由(自主検査陽性後の確認検査者の割合)に大きく影響されたこと、2種類については鼻腔に加えて口腔咽頭からの拭い液採取を追加することで感度が改善されたことを示し、「自主検査の結果が陽性の場合、確認検査は必要なく速やかに自主隔離し、自主検査が陰性の場合は偽陰性の可能性が否定できないため、一般的な予防策を順守しなければならない」とまとめている。BMJ誌2022年9月14日号掲載の報告。  研究グループは、オミクロン株流行期における、非監視下での鼻腔や口腔咽頭拭い液の自己採取による迅速抗原検査の診断精度を評価する目的で、前向き横断研究を行った。  対象は、2021年12月21日~2022年2月10日の期間に、検査のためオランダ公衆衛生サービスのCOVID-19検査施設3ヵ所を訪れたCOVID-19症状を有する16歳以上の6,497例であった。参加者に対し、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)法(参照テスト)のために施設スタッフが検体採取を行った後、自宅にて非監視下で鼻腔拭い液または口腔咽頭と鼻腔拭い液を自己採取する迅速抗原検査キット1つを渡し、3時間以内に自宅で検査を完了してもらった。

広範な重症喘息患者で一貫して増悪を抑制、テゼスパイア承認/AZ

 アストラゼネカは、2022年9月27日付けのプレスリリースで、テゼスパイア皮下注210mgシリンジ(一般名:テゼペルマブ[遺伝子組換え]、以下「テゼスパイア」)が、既存治療によっても喘息症状をコントロールできない重症または難治の気管支喘息の治療薬として日本で承認を取得したと発表した。  本剤は、上皮サイトカインである胸腺間質性リンパ球新生因子(TSLP)を標的とすることで喘息の炎症カスケードの起点に対して作用する最初で唯一の生物学的製剤である。テゼスパイアは、血中好酸球数、アレルギーの状態および呼気中一酸化窒素濃度(FeNO)を含む主なバイオマーカーによらない、広範な重症喘息患者集団を対象とした第II相PATHWAY試験および第III相NAVIGATOR試験全体において、一貫した喘息の増悪抑制が認められた。