自治医科大学の循環器科教授 苅尾七臣先生は、今年1月より開始した「日本人における自由行動下血圧追跡研究(Japan Ambulatory blood Pressure Prospective Study : JAMP研究)」についてその意義と抱負をケアネット取材陣に語った。
これまで24時間血圧モニタリング(ABPM)を用いた疫学研究は、比較的小規模で特定地域に限られていたため、日常診療においてABPMをどのような集団にどの指標を用いて評価すべきか、明確に示されていない。
JAMP研究とは…
本研究では、心血管疾患の高リスク患者を対象にABPMデータバンクを作成して、全国の血圧コントロール状況を把握するとともに、24時間血圧の構成成分が、どの心血管疾患の発症予測に重要であるかを明らかにすることを目的としている。調査予定症例数は10,000例。
エントリーは2015年3月まで。その後5年間、心血管イベントの発症率を追跡する。
どの24時間血圧指標が臨床上有用か?
ABPM からは24時間血圧、夜間血圧、早朝血圧、モーニングサージなど種々の情報を入手することができるが、これらのうちどの構成成分が心血管イベントに寄与しているのか検証したいと述べている。
地域差はあるか?
また、苅尾先生はこれらに地域差が認められるかについても注視していると言う。例えば、塩分摂取量の多い地域。そのような地域では食塩感受性が高い方が多く、non-dipper型が多い。苅尾先生らの研究グループも既に報告しているようにnon-dipper型がdipper型より心血管イベントの発症率が高いことを考えると、地域差が生じる可能性も窺うことができる。
本研究は、日常診療で実施したABPMデータを登録するだけで、薬剤の変更や追加検査は一切必要ない、実に実施しやすい観察研究である。
2008年4月に自由行動下血圧計が保険適応となったが、どのような集団にどの指標を用いて評価すべきかが明らかにされれば、非常に有用な臨床情報を得ることができる。
現在、JAMP研究グループでは、本研究に参加いただける先生を募集している。
(藤原 健次)
連絡先
自治医科大学 内科学講座 循環器内科学部門内 JAMP研究事務局
TEL 0285-44-2130、FAX 0285-44-2132
E-mail abpm@jichi.ac.jp
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