ASCO2014 乳がん 会員聴講レポート

企画・制作ケアネット

2014年5月30日から6月3日までの5日間まで米国イリノイ州シカゴにて、2014 ASCO Annual Meetingが開催された。

この重要な会議における、実用的な情報をニュートラルに提供するため、ケアネットでは会員現役ドクターによる聴講レポートを企画。現在そして今後の乳がん診療トレンドを順次紹介していく。

レポーター

矢形 寛 ( やがた ひろし ) 氏埼玉医科大学 総合医療センター ブレストケア科 教授

レポート一覧

ASCO2014 聖路加国際病院 矢形 寛

今年は2014年5月30日から6月3日までの5日間で、例年と同様にシカゴのマコーミックプレイスで開催された。 ASCO誕生からちょうど50年ということで、私と同い年だということはじめて知った次第である。空港税関を通るとき、「conference」と言うと次の質問がくることがあって面倒なので、いつも「sightseeing」と言っていたのだが、ASCOに参加するのだろうと聞かれ、それは「sightseeing」ではないと不機嫌そうに指摘され、「ASCO」で通じるのだということを認識した。外は非常によい天候に恵まれむしろ蒸し暑いくらいだったが、会場内は相変わらずの寒さであった。

テーマとしては、Obesityの問題が多く取り扱われていたことと、昨年のサンアントニオ乳癌シンポジウムで、腫瘍内リンパ球浸潤がトピックスのように取り上げられていたことの延長か、さらに免疫遺伝子にまで踏み込んだ報告・講演がみられた。また、ラパチニブのトラスツズマブへの上乗せ効果が証明されなかったことから、術前化学療法の効果と予後との関連をさらに考え直すことになりそうだ。

遺伝性乳癌・卵巣癌症候群の話題もCancer prevention/Epidemiologyのところで触れられており、リスク低減卵巣・卵管切除の予後についてより大規模なデータが報告されていた。しかし、 BRCA1/2遺伝子変異とリスク低減手術をはじめとしたサーベイランスの報告は、既に標準医療の1つであり、multi-gene assayを用いたBRCA1/2以外の変異検索に話題の中心は移行しているようにみえる。トリプルネガティブ乳癌もBRCA1/2との関連や、プラチナ製剤の治療効果が多く論じられていた。

また、Overdiagnosis and Overtreatment in CancerがEducational sessionで取り上げられており、乳癌検診を中心に、予後に影響しない乳癌(indolent cancer)を多く見つけて、過剰な治療を行っている問題について3名の演者から講演があった。検診による早期発見で予後が改善される乳癌があることも事実なので、今後も議論は続いていくものと思われる。

日本からはSELECT-BCの結果が原文堅先生より報告された。転移性乳癌ファーストラインでTS-1とタキサン系薬剤を比較する第III相の非劣性試験である。転移性乳癌の化学療法においてはアントラサイクリン、またはタキサンから使用していくことが一般的に推奨されているようであるが、脱毛などの少ない経口抗がん剤から開始しても予後が変わらないことを証明したものである。どの薬剤からでもいいというものでもないが、生存率の観点から必ずしもアントラサイクリン、タキサンを先に行う必要はないということで、治療順序の選択肢に幅が広がったといえるだろう。

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