眼科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:25

尿もれ治療の経口抗コリン薬、ドライアイの原因に

 切迫性尿失禁や過活動膀胱の主たる治療薬である経口抗コリン薬は、排尿筋以外に眼や唾液腺などのムスカリン受容体も阻害する。トルコ・Zekai Tahir Burak Women's Health Education and Research HospitalのZuhal Ozen Tunay氏らは、過活動膀胱の女性患者において前向き研究を行い、経口抗コリン薬が涙液分泌に対し有意な悪影響を及ぼし、投与期間が長いほどその影響が大きくなる可能性があることを報告した。International Urogynecology Journal誌オンライン版12月7日号の掲載報告。

子供の眼底出血は予防接種とは無関係、虐待を見抜く重要な所見

 米国では、予防接種が小児における眼底出血の原因ではないかとの説が流布しているという。フィラデルフィア小児病院のGil Binenbaum氏らは、「予防接種が眼底出血を引き起こすならその頻度は高く、予防接種との時間的関連が認められるはず」として、眼科外来における乳幼児の眼底出血有病率と原因を調べた。その結果、2歳未満児の有病率は0.17%とまれであり、ワクチンの速効性および遅効性の両方の作用を考慮しても、予防接種と眼底出血との時間的関連は認められなかった。

高齢視覚障害者のうつ、段階的ケアの長期効果を確認/BMJ

 うつ病や不安症がみられる高齢視覚障害者への、経過観察→ロービジョン施設セラピストによる自立支援指導等介入→かかりつけ医による治療という段階的ケアの長期有効性が、オランダ・アムステルダム自由大学医療センターのHilde P A van der Aa氏らによる、通常ケアと比較した多施設無作為化試験の結果、報告された。段階的ケアについては先行研究で、高齢視覚障害者のうつ症状を短期的に軽減することは示されていたが、長期的な効果について、また不安症に対するエビデンスは不足していた。今回の検討では約1年間にわたる介入を必要に応じて行い、2年時点で評価した結果だという。著者は、「本アプローチは、うつ病や不安症がみられる高齢視覚障害者の標準的な戦略(スクリーニング、モニタリング、介入、紹介)となりうるだろう」と述べている。BMJ誌オンライン版2015年11月23日号掲載の報告。

新規インテグリン拮抗薬、ドライアイ症状を有意に改善

 lifitegrastは、ドライアイに関与するT細胞を介した炎症を抑制するインテグリン拮抗薬である。米国・Tauber Eye CenterのJoseph Tauber氏らによる12週間の多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照第III相試験(OPUS-2試験)の結果、lifitegrastはドライアイ症状を有意に改善し、主要評価項目を達成した。ただし、もう1つの主要評価項目である角膜下側染色スコアについては有意な改善を認めなかった。

線維柱帯切除は緑内障に対し有用

 日本緑内障学会により濾過胞感染に関する前向き多施設研究が行われている。広島大学の杉本 洋輔氏らは、その1つである「濾過胞感染発生率と治療に関する多施設共同研究(CBIITS)」において、線維柱帯切除術の有効性および安全性について解析。マイトマイシンC併用線維柱帯切除術後5年にわたり眼圧低下が得られ、線維柱帯切除術は有用な治療法であることを示した。手術成功率は、過去の緑内障手術回数、術前硝子体状態および術前眼圧などにより影響されることもわかった。Ophthalmology誌2015年11月号(オンライン版2015年9月26日号)の掲載報告。

加齢黄斑変性へのベバシズマブ、5年後の結果

 加齢黄斑変性に伴う脈絡膜新生血管の治療において、ベバシズマブ硝子体内投与(IVB)による初期の視力改善効果は、5年後には維持されていなかったことを、米国・ジョンズホプキンス大学 J. Fernando Arevalo氏らPan-American Collaborative Retina Study Groupが発表した。247例の後ろ向き症例シリーズによる報告で、IVBは地図状萎縮の発症または進行に関与している可能性も示唆されたという。Retina誌オンライン版2015年11月2日の掲載報告。

眼由来でも黄色ブドウ球菌分離株の多くが多剤耐性、メチシリン耐性が蔓延

 米国・マウントサイナイ医科大学のPenny A. Asbell氏らは、ARMOR研究の最初の5年間に採取された眼由来臨床分離株の耐性率と傾向について調査した。ARMOR研究は、眼感染症の病原体に関する唯一の抗生物質耐性サーベイランスプログラムである。その結果、黄色ブドウ球菌分離株は多くが多剤耐性を示し、メチシリン耐性が蔓延していることを明らかにした。

緑内障発症、体内の微量金属濃度が関与?

 体内の必須元素濃度の異常や有毒な微量金属への曝露は、眼を含む多くの器官系に影響を及ぼし、さまざまな疾患の発症に関与することが示唆されている。米国・カリフォルニア大学のShuai-Chun Lin氏らは、韓国の住民を対象とした横断研究を行い、血中マンガン濃度低値と血中水銀濃度高値が、緑内障と関連していることを明らかにした。著者らは、「緑内障発症における微量金属の役割を確認するためには、前向き研究により緑内障の発症が微量金属の存在で増加するかどうかを確かめる必要がある」とまとめている。JAMA Ophthalmology誌2015年10月号の掲載報告。