眼科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:3

糖尿病網膜症、アフリベルセプトの早期投与で長期の視力改善は?/JAMA

 中心窩を含む糖尿病黄斑浮腫(CI-DME)を伴わない非増殖糖尿病網膜症(NPDR)患者において、アフリベルセプトを予防投与し視力を脅かす合併症が生じた場合にアフリベルセプトによる治療を開始しても、予防投与なし(シャム投与)で同合併症発生時に治療を開始した場合と比較し、4年後に増殖糖尿病網膜症(PDR)またはCI-DMEの発生率は有意に低下したが視力の改善は認められなかった。米国・インディアナ大学のRaj K. Maturi氏らが、米国およびカナダの64施設で実施した無作為化比較試験「DRCR Retina Network Protocol W試験」の結果を報告した。本試験では、少なくとも2年間は糖尿病による視力を脅かす合併症の発生を抑制できることが示されていたが、早期投与が長期的な視力改善につながるかどうかは不明であった。著者は、「本試験で用いられた予防戦略としてのアフリベルセプトは、CI-DMEを伴わないNPDR患者には通常不要だろう」とまとめている。JAMA誌2023年2月7日号掲載の報告。  研究グループは、1型または2型糖尿病を有する成人で、CI-DMEを伴わない中等度~重度のNPDR(糖尿病網膜症重症度尺度[DRSS]レベル43~53)を少なくとも1眼有し、最高矯正視力が79文字以上(スネレン換算20/25以上)の患者を対象に試験を実施した。

血圧が高い人ほど眼圧が高い

 日本人対象の大規模な横断研究から、緑内障を含む眼疾患既往歴のない一般住民において、収縮期血圧と拡張期血圧のいずれについても、その値が高いほど眼圧が高いという有意な関連のあることが明らかになった。慶應義塾大学医学部眼科の羽入田明子氏、筑波大学医学医療系社会健康医学の山岸良匡氏らの研究によるもので、詳細は「Scientific Reports」に10月19日掲載された。  眼圧とは眼球内の圧力のこと。眼球の形を維持するために一定程度の眼圧が必要とされるが、高すぎる眼圧は視神経にダメージを与え、視野障害を引き起こす。現在、国内での視覚障害の原因のトップは緑内障であり、緑内障の治療においては眼圧をしっかり下げることで視神経への負担を抑制することが重要。

2月5日開催、ドライアイ研究会主催講習会2023【ご案内】

 2023年2月5日(日)、グランフロント大阪にてドライアイ研究会主催講習会2023が開催される。本講習会の現地対面開催は3年ぶり、そして大阪開催は4年ぶりとなる。年に一回開催される本講習会では、ドライアイという疾患の正しい理解と治療の普及、臨床に役立つ情報の発信に力を注いでいる。  今回、参加者の多くが開業医であることに鑑みて、第1部の「繰り返し聞きたい!」では、基本のおさらい、第2部の「これが聞きたい!」では臨床における実際の対応をカバーする。そして、第3部の「もっと聞きたい!」では、今、最もホットな話題について講演が行われる予定である。“あめちゃん”ならぬ、「参加して良かった」「得した!」と思われること間違いなしの明日から使える知識をお持ち帰りいただけるよう準備しているという。

アルコール摂取と白内障リスクとの関連が明らかに―日本人約3万人の症例対照研究

 アルコールの摂取習慣と白内障リスクとの間に、有意な用量反応関係があることが、日本人約3万人のデータを用いた症例対照研究の結果として示された。飲酒をやめた人は白内障リスクが低下する可能性があることも明らかになった。東海大学医学部基盤診療学系衛生学公衆衛生学の深井航太氏、東京慈恵会医科大学眼科学の寺内稜氏らの研究によるもので、詳細は「Scientific Reports」に11月22日掲載された。  白内障は眼のレンズである水晶体が混濁して視機能が低下する病気で、多くは加齢現象として生じる。詳細な検査を行えば高齢者の大半に認められるほど有病率の高い病気のため、仮に修正可能なリスク因子があるとすれば、公衆衛生対策の大きな効果が期待できる。これまでに、飲酒も白内障のリスク因子の一つである可能性が検討されてきているが、結果に一貫性が見られない。また、それらの研究は主に海外で行われており、超高齢社会の日本は白内障治療を受ける患者数が多いにもかかわらず、そのような視点での研究がほとんど行われていない。深井氏らの研究はこうした背景の下で行われた。

1日のうちで花粉が多く飛散する時間帯が明らかに

 花粉症の原因となる花粉の飛散量は、季節や日によってだけでなく、1日のうちの時間帯によっても差があり、気温の上昇に伴い増加することが明らかにされた。米Atlanta Allergy and Asthmaのアレルギー専門医であるStanley Fineman氏らによるこの研究結果は、米国アレルギー・喘息・免疫学会年次学術集会(ACAAI 2022、11月10~14日、米ルイビル)で発表されるとともに、「Annals of Allergy, Asthma & Immunology」11月号(増刊号)に掲載された。  Fineman氏によると、花粉の飛散量の監視はこれまでも行われてきたが、24時間単位での測定が一般的であったという。これに対して、Atlanta Allergy and Asthmaの研究チームは、2021年3月24日から31日にかけて米エモリー大学の研究チームとともに、アトランタの3カ所のエリアで1週間にわたり1時間ごとの花粉飛散量を、画像技術を用いてリアルタイムでモニタリングした。天候の変化による日ごとのばらつきを低減するため、この期間中の1時間ごとの花粉濃度の平均値を算出した。その結果、花粉飛散量は、午前4時から正午までの間は比較的少なく、午後2時から午後9時の間は多くなることが明らかになった。

睡眠の時間や質が緑内障リスクを左右する可能性

 睡眠時間が短過ぎたり長過ぎることや、睡眠中にいびきをかくといった症状から把握される睡眠の質の低下が、緑内障のリスクを高める可能性を示すデータが報告された。四川大学西中国病院(中国)のHuan Song氏らの研究によるもので、詳細は「BMJ Open」に11月1日掲載された。  緑内障は視神経が障害される病気で、治療が不十分だと視野の異常が進んでしまい失明に至る。失明の主要原因であり、日本ではその原因の第1位を占めている。また2040年までに世界中で1億1200万人が、緑内障によって視覚に何らかの影響を受けるとの予測もある。

頭痛患者におけるドライアイのリスク~メタ解析

 中国・大連医科大学のShuyi Liu氏らは、頭痛がドライアイのリスクに影響を及ぼすかどうか明らかにするためメタ解析を実施した。その結果、頭痛はドライアイの独立したリスク因子であることが示唆され、とくに片頭痛患者においては頭痛とドライアイのリスクに強い関連が認められた。Annals of Medicine誌2022年12月号の報告。  PubMed、Web of Science、Cochrane Library、EMBASEのデータベースより、関連文献の検索を行った。すべての原因による頭痛に対するドライアイのオッズ比(OR)を算出するため、ソフトウェアStataを用いた。異質性の因子の調査には、サブグループ解析と感度分析を実施した。出版バイアスの評価には、Funnel plotとEgger's testを用いた。

糖尿病黄斑浮腫への抗VEGF治療が血糖管理改善の糸口に

 糖尿病黄斑浮腫に対する抗VEGF薬による治療が、患者の血糖コントロールのモチベーション向上につながる可能性が報告された。福井大学医学部眼科学教室の高村佳弘氏らが行った、国内多施設共同研究の結果であり、詳細は「Journal of Clinical Medicine」に8月9日掲載された。  糖尿病黄斑浮腫は、糖尿病による目の合併症の一つで、網膜の中でも視力にとって重要な「黄斑」に浮腫(むくみ)が生じ、視力が低下したり、物がゆがんで見えたりする病気。かつては有効な治療法が少なかったが現在は、血管から血液が漏れ出すのを抑えたり、新生血管を退縮させる「抗VEGF薬」が第一選択薬として使われ、視力を回復・維持できることが増えている。

末期腎不全患者の手術、透析からの日数が死亡リスクに影響/JAMA

 血液透析を受けている末期腎不全患者において、術前最後の血液透析から手術までの間隔が1日に比べて、2日および3日と長くなるほど術後90日死亡リスクが高まり、とくに手術当日に血液透析を実施していない場合に有意に高まることが、米国・スタンフォード大学のVikram Fielding-Singh氏らが行った、米国メディケア受給者を対象とした後ろ向きコホート研究の結果、示された。血液透析治療中の末期腎不全患者において、待機的手術前の適切な血液透析の時期は不明であった。ただし、今回の結果について著者は、「絶対リスクの差の程度は小さく、残余交絡の影響の可能性もある」と述べている。JAMA誌2022年11月8日号掲載の報告。

バイオレットライト透過レンズで学童期の近視進行を抑制/近視研究会

 10月23日に近視研究会が開催された。鳥居 秀成氏(慶應義塾大学医学部 眼科学教室)が「近視進行抑制におけるバイオレットライトの可能性」と題し、学童期の近視増加への警鐘とその予防策について講演した(共催:株式会社JINS)。  世界中で近視人口が増えているなか、新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)流行による活動自粛が近視進行に拍車をかけている。鳥居氏が示した新型コロナによる活動自粛前後の6~13歳の6年間の屈折値の変化を調査した論文によると、とくに6~8歳での近視化が顕著だという。近視予防のためには、これまでも屋外の光環境が重要であることが示唆されてきたが、近年では高照度(10万lux)でなくとも1,000lux台でも効果があることが報告され、光の波長に注目が集まっている。