疫学(危険因子)|page:3

飲酒と死亡率~約40万人の大規模前向き研究

 国際がん研究機関(IARC、本部:フランス)のPietro Ferrari氏らは、「欧州がんと栄養前向き調査」(EPIC)により、飲酒と死亡率の関連を調節する因子の役割を調べ、死亡の絶対リスクを推定した。この欧州大規模コホートの結果、飲酒は、全死亡率、飲酒関連がんによる死亡、暴力による死傷と明らかな関連がみられたが、CVD/CHD死亡との関連はわずかであった。また、EPICにおける死亡の絶対リスクから、飲酒が全死亡率の重要な決定因子であることが示唆された。BMJ open誌2014年7月号の掲載報告。

うつ病と殺虫剤、その関連が明らかに

 これまで、うつ病と殺虫剤曝露が関連する可能性は指摘されていたが、うつ病エピソードの経過または殺虫剤個々についての検討はほとんど行われていなかった。米国・ノースカロライナ大学のJohn D Beard氏らは、Agricultural Health Studyに登録された殺虫剤を個人で散布した男性のデータを解析し、殺虫剤の曝露とうつ病との関連を調べた。その結果、2系統(燻蒸剤・有機塩素系)、7種類(リン化アルミニウム、二臭化エチレン、2,4,5-トリクロロフェノキシ酢酸、ジエルドリン、ジアジノン、マラチオン、パラチオン)において、うつ病との明らかな関連が認められたことを報告した。Environmental Health Perspectives誌オンライン版2014年6月6日号の掲載報告。

喫煙する家族と暮らす女性は脳卒中リスクが増加~日本の大規模前向きコホート研究

 大阪・愛知・宮城の三府県コホート研究グループでは、日本の大規模前向きコホート研究のデータを用いて、成人期の受動喫煙曝露と脳卒中およびそのサブタイプとの関連を検討した。その結果、成人期の家庭内受動喫煙曝露が非喫煙女性の脳卒中リスクの増加に関連していることが示唆された。Preventive Medicine誌オンライン版2014年6月28日号に掲載。

ADHDの世代間伝達に関連する独立リスク因子は

 米国・カリフォルニア大学のIrene Tung氏らは、注意欠如・多動症(ADHD)を有する親の子育て行動が、子供のADHD症状とどう関連するかを検討した。その結果、ADHDが子供に受け継がれる有意かつ独立した因子として“体罰”が挙げられることを報告した。子供のADHDの主要なリスク因子は、親のADHD症状を基礎とする複合的な関与の可能性が考えられているが、説明可能な因子は明らかになっていなかった。Journal of Clinical Child & Adolescent Psychology誌オンライン版2014年6月13日号の掲載報告。

乳がんリスクが上がるタンパク源は?~約9万人の前向き研究/BMJ

 乳がんリスクへの高タンパク摂取の影響が報告されているが、タンパク源となる食物は栄養プロファイルがさまざまであり、乳がんリスクへの影響が異なる可能性がある。米国ハーバード大学のMaryam S Farvid氏らは、成人早期の食事性タンパクと乳がんリスクとの関連を調べるため、米国の看護師における前向きコホート研究を実施した。その結果から、成人早期の赤肉(red meat;牛、羊、豚などの成獣肉)の多量摂取が乳がんの危険因子であり、赤肉を豆類・鶏肉(七面鳥も含む)・ナッツ類・魚の組み合わせに置き換えることで乳がんリスクが減少する可能性が示唆された。BMJ誌オンライン版2014年6月10日号に掲載。

高血圧が色覚障害発症に関連?~日本の中年男性での検討

 高血圧は色覚障害の発症に関わるのだろうか。埼玉県立医科大学眼科の庄司 拓平氏らは、日本の中年男性における血圧と後天性色覚障害の有病率の関連を検討した。その結果、中年における高血圧が視覚神経機能に負の影響を与える可能性があることが示唆された。American Journal of Hypertension誌オンライン版2014年6月4日号に掲載。

サッカーW杯観戦で心イベントは増加するのか

 サッカー観戦が心イベントリスクを増加させるかどうかは、議論の余地が残されている。2006年にドイツでワールドカップが開催されたが、オーストリア・パラケルスス医科大学のDavid Niederseer氏らは、バイエルン地方のサッカーファンの大規模コホートにおいて、心イベントに対する情動ストレスの影響を評価した結果をInternational Journal of Cardiology誌2013年12月号に報告している。本調査では、自国のチームが試合しているかどうかにかかわらず、サッカー観戦は心イベント発生率の増加に関連しておらず、スポーツイベントの観戦で心イベントリスクは増加しないという仮説を支持する結果となっている。

タバコの煙を吸い込む喫煙者の肺がんリスクは3.3倍:わが国の大規模症例対照研究

 欧州の集団では、いくつかの研究でタバコの煙の吸入が肺がんリスクの増加と関連していることが示されている。愛知県がんセンター研究所の福本 紘一氏らは、日本の集団におけるタバコの煙の吸入と肺がんリスクとの関係を明らかにするために、大規模な症例対照研究を実施した。その結果、日本の集団においても、累積喫煙量にかかわらず、タバコの煙を吸い込むことが肺がんリスクであることが示唆された。European Journal of Cancer Prevention誌オンライン版2014年6月6日号に掲載。

胃がんの生存率における家族歴とBMIの影響~日本人の前向き研究

 胃がんの長期予後に家族歴や栄養状態が影響する可能性があるが、エビデンスが十分でなく一貫していない。東北大学大学院地域保健学の南 優子氏らは、胃がんの予後因子を明らかにするため、単一の病院に入院した日本人の胃がん患者1,033例における前向き研究を実施した。その結果、60歳前に診断された若年の胃がん患者では、胃がんの家族歴、とくに親の家族歴が死亡率に影響を与える可能性が示された。一方、60歳以上の高齢胃がん患者では、栄養状態が予後因子である可能性が示唆された。International Journal of Cancer誌オンライン版2014年5月29日号に掲載。

子供はよく遊ばせておいたほうがよい

 小児および思春期の身体活動パターンと将来のうつ病との関連はほとんど知られていない。オーストラリア・Menzies Research Institute TasmaniaのCharlotte McKercher氏らは、小児期から成人期における余暇の身体活動パターンと青年期うつ病リスクとの関連についてナショナルサーベイ被験者を対象に検討した。その結果、小児期に不活発であった群に比べ、活動的であった群では青年期にうつ病を発症するリスクが少ないことを報告した。Social Psychiatry and Psychiatric Epidemiology誌オンライン版2014年3月14日号の掲載報告。

若年男性のうつ病予防、抗酸化物質が豊富な食事を取るべき

 男子大学生を対象としたケースコントロール研究の結果、うつ病の学生は果物、マメ科植物、ナッツ・種子類、ビタミンC、βカロテン、ルテインなど抗酸化物質を含む食事の摂取が、健常人と比較して少ないことが明らかになったという。イラン・Jundishapur University of Medical SciencesのMohammad Prohan氏らが、うつ病患者にみられる酸化ストレスや炎症の亢進が食事に起因しているか否かを明らかにすることを目的に検討を行い報告した。Redox Report誌オンライン版2014年2月14日号の掲載報告。

避難所で発症した消化性潰瘍、約9割が出血性―東日本大震災後の症例対照研究

 避難所生活は、大規模災害後における出血性潰瘍の強力なリスク因子であることが、東北大学大学院の菅野 武氏らによる研究で明らかになった。著者らは「大規模災害時には、酸抑制薬を使用するなど、ストレス誘発性消化性潰瘍を減少させることが重要である」と結論づけている。Journal of gastroenterology誌オンライン版2014年2月15日号の報告。

日本人も肺炎クラミジア感染で冠動脈疾患リスクが上がる~約5万人のコホート研究

 欧米では、肺炎クラミジア(Chlamydophila pneumoniae)感染がアテローム性動脈硬化症と冠動脈疾患の危険因子と考えられている。しかし、日本人は欧米人に比べて冠動脈疾患リスクが低いため、日本人におけるエビデンスは非常に少ない。今回、日本人における肺炎クラミジア感染と冠動脈疾患リスクとの関連について、JPHCスタディ(厚生労働省がん研究班による多目的コホート研究)で検討した。その結果、肺炎クラミジア感染と冠動脈疾患リスクとの間に正の相関が認められた。Atherosclerosis誌オンライン版2014年1月23日号に掲載。

うつ病や不安症の患者は慢性疾患リスクが高い

 これまでの先行研究において、抑うつや不安が慢性疾患発症と関連することが報告されていた。米国・ウェストバージニア大学のRituparna Bhattacharya氏らは、うつ病や不安症が、関節炎、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、糖尿病、心疾患、高血圧および骨粗鬆症などの慢性疾患に及ぼす影響を検討した。その結果、うつ病、不安症患者は、これらの症状がない人に比べて、慢性疾患のリスクが高いことが明らかになった。今回の結果を踏まえて、著者は「うつ病や不安症の存在は、人口動態および生活習慣リスク調整後も慢性疾患の独立したリスクであることが判明した」と述べている。BMC Psychiatry誌オンライン版2014年1月16日号の掲載報告。