ジャーナル四天王(NEJM ・ Lancet ・ JAMA ・ BMJ )最新ニュース|page:214

ゲノム解析で判明、C. difficile感染の伝播経路は複数存在/NEJM

 主として医療施設内で伝播すると考えられていたクロストリジウム・ディフィシル(C. difficile)感染について、ゲノム解析(配列決定)の結果、多様な遺伝子が特定され、感染源はさまざまであることが明らかにされた。英国・オックスフォード大学のDavid W. Eyre氏らが、3年間のオックスフォードシャーでの発生症例を解析した結果、45%は、既往症例とは遺伝的に異なることが判明したという。NEJM誌2013年9月26日号掲載の報告より。

変形性膝関節症には運動介入がやはり有益/BMJ

 下肢変形性関節症を有する患者への運動介入の有益性について、システマティックレビューとネットワークメタ解析の結果、2002年以降のデータで、そのエビデンスが十分に蓄積されていることが示された。英国・キール大学のOlalekan A Uthman氏らによる報告で、「さらなる試験を行っても結果は覆りそうもないようだ」と述べるとともに、「筋力、柔軟性、有酸素能を高める複合的アプローチのエクササイズは、下肢変形性関節症の治療に最も効果があるようだ。なおエビデンスは変形性膝関節症患者の試験によるものが大部分を占めていた」とまとめている。BMJ誌オンライン版2013年9月20日号掲載の報告より。

女性の腹圧性尿失禁、初回療法は手術が優れる/NEJM

 女性の腹圧性尿失禁に対する初回療法として、中部尿道スリング手術を行ったほうが理学療法(骨盤底筋訓練など)を行うよりも、1年時点の主観的改善率、および主観的・客観的治癒率が高いことが、多施設共同無作為化試験の結果、明らかにされた。オランダ・ユトレヒト大学医療センターのJulien Labrie氏らが報告した。腹圧性尿失禁に対しては、理学療法を第一選択治療とすることとされており、理学療法が失敗した場合に手術療法を行うことが推奨されている。一方で、初回療法としてこれら2つのオプションを比較した無作為化試験によるデータは不足していた。NEJM誌2013年9月19日号掲載の報告より。

ストレス潰瘍予防目的のPPI、術後肺炎リスクを増大/BMJ

 冠動脈バイパス術(CABG)を受ける患者に対してストレス潰瘍の予防目的でしばしば投与される胃酸分泌抑制薬について、プロトンポンプ阻害薬(PPI)のほうがH2ブロッカーよりも、術後肺炎リスクが1.19倍とやや高いことが示された。米国・ブリガム&ウィメンズ病院のBrian T Bateman氏らが、全米約500病院からの患者データが集積されているPremier Research Databaseを用いた後ろ向きコホート研究の結果、報告した。BMJ誌オンライン版2013年9月19日号掲載の報告より。

医師個人への特別報酬が降圧治療の質を改善させた/JAMA

 高血圧治療について、特別報酬を医師個人、診療所あるいは両者の、いずれにつけると質的改善の効果があるのかを検討した結果、医師個人へつけることのみ、良好な血圧コントロール達成もしくは努力への有意な増大がみられたことが示された。また特別報酬をいずれにつけても、つけなかった対照群と比較して、ガイドラインで推奨されている薬物療法の使用が有意に増大することはなく、低血圧症の発症も増大しなかったという。米国・マイケル E. デバキー退役軍人(VA)医療センターのLaura A. Petersen氏らが無作為化試験を行った結果、報告した。JAMA誌2013年9月11日号掲載の報告より。

大腸内視鏡検査はがん発生と死亡率をどのくらい低下させるか/NEJM

 下部消化管内視鏡(大腸内視鏡、S状結腸鏡)検査と、遠位・近位別の大腸がん発生との関連および死亡率との関連を検討した結果が、米国・ダナファーバーがん研究所のReiko Nishihara氏らにより報告された。大腸内視鏡検査およびS状結腸鏡検査が、大腸がん発生の予防に寄与することは知られるが、その効果の大きさや、実施頻度との関連について、とくに近位大腸がんに関しては明らかでなかった。NEJM誌2013年9月19日号掲載の報告より。

ペイフォーパフォーマンス、小規模診療所でも効果/JAMA

 効率的で質の高い医療に対して高い報酬を支払うというペイフォーパフォーマンス(P4P)プログラムについて、電子カルテ(electronic health records)を導入する小規模診療所(大半が医師1、2人のいわゆる一人医師診療所)でも適度に効果があることが示された。米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のNaomi S.Bardach氏らによる無作為化試験の結果で、通常ケアと比較してP4Pを導入した診療所のほうが心血管疾患治療のプロセスとアウトカムについて、わずかだが改善が認められたという。これまでP4Pの効果に関する評価は、大部分が大規模なグループ診療所を対象としたもので、米国人の大半が治療を受けている小規模診療所については明らかでなかった。また、慢性疾患の管理に関して電子カルテとP4Pを導入した同診療所をサポートするかも検証されていなかった。JAMA誌2013年9月11日号掲載の報告より。

PCI後の抗血小板薬2剤併用中止・休薬によって心血管イベント増加/Lancet

 経皮的冠動脈インターベンション(PCI)後の、抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)と心血管リスクとの関連について観察研究にて検証したPARISの結果が発表された。米国・マウントサイナイ医科大学のRoxana Mehran氏らによる報告で、心血管イベントの発生は、DAPT中断時の臨床状態、中断した理由に依拠し、中断時期が遅いほどリスクは低下することが明らかになった。また、イベントの大半はDAPT継続群で発生していたこと、中断群での早期イベントリスクは留置したステントタイプを問わないことも明らかになった。これまで、DAPT中断はPCI後の重大イベントリスクを増大することは知られていたが、中断までの時間や中断理由によりリスクが変動するかについては明らかではなかった。Lancet誌オンライン版2013年8月30日号掲載の報告より。

重症型アルコール性肝炎の2剤併用療法、予後を改善せず/JAMA

 重症型アルコール性肝炎の治療において、プレドニゾロンにペントキシフィリン(国内未承認)を追加しても予後は改善しないことが、フランス・Hopital HuriezのPhilippe Mathurin氏らの検討で示された。重症型アルコール性肝炎は死亡リスクの高い疾患であり、プレドニゾロンおよびペントキシフィリンはその治療薬として推奨されている。これら2つの薬剤は相乗効果を示す可能性が示唆されていたが、これまで併用療法に関する無作為化試験は行われていなかった。JAMA誌2013年9月11日号掲載の報告。

PCIを病院到着から90分以内に施行することで院内死亡率は改善したか?/NEJM

 米国では2005年~2009年の4年間で、ST上昇型心筋梗塞(STEMI)患者の、病院到着から経皮的冠動脈インターベンション(PCI)開始までの時間(door-to-balloon time)が16分短縮し、90分以内PCI開始率は23.4ポイント上昇した。しかし、院内死亡率は0.1ポイントの低下でほとんど変化していないことが、ミシガン大学のDaniel S. Menees氏らの調査で判明した。現行のACC/AHAガイドラインでは、STEMI患者に対し病院到着から90分以内のプライマリPCI施行開始を強く推奨(Class I)している。door-to-balloon timeは医療施設の評価指標とされ、地域および国による医療の質向上戦略の中心に位置づけられるが、実際にdoor-to-balloon timeの改善が死亡率の低下に結びついているかは、これまで検証されていなかったという。NEJM誌2013年9月5日号掲載の報告。

約7割の医学専門誌で「試験登録」が論文投稿の条件となっていない/BMJ

 投稿要件として「試験登録」を課している医学専門誌の割合を調べたところ、200誌中55誌と28%にとどまることが、英国・Sideview社パブリッシャーコンサルタントのElizabeth Wager氏らによる調査の結果、明らかになった。前向き試験登録は、出版バイアスを低下することが可能であり、ヘルシンキ宣言によって推奨され、現在一部の主要医学専門誌では出版公表の必要条件としている。2005年に国際医学誌編集者委員会がこの要件を必要とし始めてから、試験登録はかなり増加した。しかし特定の専門誌を対象に行われた小規模の先行研究では、試験登録を要件として示した雑誌はわずか16~33%であったことが報告されていた。BMJ誌オンライン版2013年9月6日号掲載の報告より。

さすがに4剤を1つの配合剤にすると服薬継続率も良くなるだろう/JAMA

 心血管疾患(CVD)またはその高リスクを有する患者への降圧・脂質低下・抗血小板薬の固定用量配合剤投与(fixed-dose combinations:FDC)治療戦略は通常ケアと比較して、アドヒアランスを有意に改善すること、血圧と脂質の臨床値の改善は有意だがわずかであったことが、英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのSimon Thom氏らによる無作為化試験「UMPIRE」の結果、示された。CVD患者の大半は、推奨薬物療法が長続きしない。FDCによるアドヒアランス改善効果はその他領域で報告されており、心血管系FDCについてはこれまで、プラセボあるいは未治療と比較した短期効果の検討は行われていた。JAMA誌2013年9月4日号掲載の報告より。

A群髄膜炎の新ワクチン、集団接種で罹患率94%低下/Lancet

 A群髄膜炎菌-破傷風トキソイド結合型ワクチン(PsA-TT)の集団接種は、A群髄膜炎の罹患率を9割以上減少させ非常に有効であることが、チャド・Centre de Support en Sante InternationalのD. M. Daugla氏らにより報告された。PsA-TTは、サハラ砂漠以南のワクチン開発プロジェクトにより開発された。2009年にインドで承認され2010年にはWHOによる安全性と免疫原性の事前承認を得て、現在“アフリカ髄膜炎ベルト地帯”で、本研究にも資金を提供しているビル&メリンダ・ゲイツ財団などの支援の下、接種キャンペーンが展開されているという。Lancet誌オンライン版2013年9月12日号掲載の報告より。

心原性ショック急性心筋梗塞へのIABP、12ヵ月死亡率も低下せず/Lancet

 心原性ショックを伴う急性心筋梗塞への大動脈内バルーンパンピング(IABP)は、12ヵ月後の死亡率を低減しないことが明らかにされた。ドイツ・ライプツィヒ大学のHolger Thiele氏らが、患者600例を対象とした非盲検無作為化比較試験「IABP-SHOCK II」の結果、報告した。すでにIABP-SHOCK IIの結果として、IABPによる30日死亡率の低下が認められないことが示されていた。しかし心原性ショックの先行研究において、延長フォローアップにおいてのみ死亡率のベネフィットが示されたことがあり、著者らは本試験についても6、12ヵ月の評価を行った。なお、最新の国際ガイドラインでは、レジストリデータに基づき心原性ショックを伴う急性心筋梗塞へのIABPの推奨ランクは引き下げられている。Lancet誌オンライン版2013年9月2日号掲載の報告より。

電子タバコは禁煙達成に本当に有効なのか/Lancet

 2004年に発売された「ニコチン入り電子タバコ」は、数百万人の愛煙家がいるとされ、やめるために吸っている人も多く(英国では禁煙に取り組む人の27%が利用)、10年以内にその売上高は一般的なタバコを凌駕するのではと言われるほど急増しているという。しかし、喫煙コントロールにおける電子タバコの位置づけには議論の余地があり、信頼性の高いデータも不足しているのが現状である。そこでニュージーランド・オークランド大学のChristopher Bullen氏らは、ニコチン入り電子タバコの有効性と安全性について評価するプラグマティックな無作為化対照優越性試験を行った。Lancet誌オンライン版2013年9月9日号の掲載報告より。

新規静注抗血小板薬の実力はいかに/Lancet

 新規静注P2Y12阻害薬カングレロール(国内未承認)について、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)後30日間の有害心イベント予防に関する臨床ベネフィットが報告された。フランス・パリ第7大学のPhilippe Gabriel Steg氏らCHAMPION研究グループが、カングロレルの有効性と安全性について検証された3つの大規模二重盲検無作為化試験「CHAMPION-PCI」「CHAMPION-PLATFORM」「CHAMPION-PHOENIX」についてプール解析を行い報告した。解析の結果、カングレロールは対照群[クロピドグレル(商品名:プラビックス)またはプラセボ]と比較して、PCI周術期の血栓合併症を減少することが示された。一方で出血の増大も認められたという。カングレロールは、強力で急速、可逆的な抗血小板作用を特徴とする。Lancet誌オンライン版2013年9月2日号掲載の報告より。

パニツムマブの負の効果予測因子、KRAS以外にもある可能性/NEJM

 上皮増殖因子受容体(EGFR)を標的とする完全ヒト型モノクローナル抗体であるパニツムマブ(Pmab、商品名:ベクティビックス)は、KRAS遺伝子エクソン2の変異を有する転移性大腸がん(mCRC)患者では効果が低いことが報告されている。フランス・Institut de Cancerologie de l’ Ouest(ICO)Rene GauducheauのJean-Yves Douillard氏らは、PRIME試験についてバイオマーカー解析を行い、KRAS遺伝子エクソン2変異以外の遺伝子変異も、Pmabの負の効果予測因子となる可能性を示した。NEJM誌2013年9月12日号掲載の報告。

女性にも薬剤溶出ステントは有効か?/Lancet

 冠動脈疾患の男性患者だけでなく女性患者においても、薬剤溶出ステント(DES)はベアメタルステント(BMS)に比べ有効性と安全性が優れることが、スイス・ベルン大学病院のGiulio G Stefanini氏らの検討で確認された。冠動脈疾患の治療におけるDESの安全性と有効性はさまざまな無作為化試験で検討されているが、登録患者に占める女性の割合が約25%と低いため、女性におけるDESの有用性を評価する十分なパワーを有する単一の試験はないという。Lancet誌オンライン版2013年9月2日号掲載の報告。

予後予測能が高まるeGFR算出法/NEJM

 シスタチンC値の単独またはクレアチニン値との併用による推定糸球体濾過量(eGFR)算出は、多様な集団において、死亡および末期腎不全(ESRD)リスクなどの転帰予測を改善することが示された。米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のMichael G. Shlipak氏らがメタ解析の結果、報告した。これまで、シスタチンC値にクレアチニン値を加味することが、eGFR算出精度を改善することは知られていた。しかし、多様な集団における慢性腎臓病(CKD)患者の検出や病期分類およびリスク層別化にもたらす効果については明らかではなかった。NEJM誌2013年9月5日号掲載の報告より。

メタ解析で一部の対照群の除外は、解析結果をねじ曲げることもある/BMJ

 ネットワーク・メタ解析において、プラセボ/未治療などの治療対照群を除外することは、解析結果に重大な影響をもたらす可能性が明らかになった。治療効果はプラセボ/未治療群除外の場合で1.16~3.10倍の違いがみられたという。カナダ・オタワ大学のEdward J Mills氏らによる検討の結果で、「仮に重要な治療比較群が失われていれば、臨床医にもたらされる研究の有用性が減弱される可能性がある」とまとめている。ネットワーク・メタ解析は、複数の介入について効果を比較することが可能でますます普及が進んでいる手法だが、解析に組み込む介入を都合よく選択することもあるとされていた。BMJ誌オンライン版2013年9月5日号掲載の報告より。