ジャーナル四天王(NEJM ・ Lancet ・ JAMA ・ BMJ )最新ニュース|page:198

バレニクリンにNRT併用の禁煙効果/JAMA

 禁煙治療について、ニコチンパッチ+バレニクリン(商品名:チャンピックス)の併用療法(治療期間12週間)は、バレニクリン単独よりも12週時点(治療終了時)および6ヵ月時点で禁煙率が有意に高く有効であることが示された。南アフリカ共和国・ステレンボス大学のCoenraad F. N. Koegelenberg氏らが、無作為化盲検プラセボ対照試験の結果、報告した。行動療法と薬物療法の組み合わせが禁煙支援に有益であることは示されている。しかし、ニコチン補充療法(NRT)とバレニクリンの組み合わせによる禁煙への寄与について、有効性および安全性は明らかではなかった。JAMA誌2014年7月9日号掲載の報告より。

テロメア長と脳心血管リスク/BMJ

 白血球テロメア長は、従来血管リスク因子とは独立した冠動脈心疾患(CHD)のリスク因子であり、テロメア長が短い人ほどCHDとの関連が強いことが示された。英国・ケンブリッジ大学のPhilip C Haycock氏らがシステマティックレビューとメタ解析の結果、報告した。脳血管疾患との関連も評価したが、確実な関連性は得られなかったという。テロメア長は老化に関わると考えられており、慢性疾患のマーカーとして提案されるようになっている。しかし、テロメア長と心血管疾患との関連エビデンスは相反する結果が報告されていた。BMJ誌オンライン版2014年7月9日号掲載の報告より。

急性胆嚢炎で術後抗菌薬は必要か/JAMA

 軽症~中等症の急性胆石性胆嚢炎で術前・術中に抗菌薬を投与した患者は、術後の抗菌薬投与がなくても重篤な術後感染症には至らないことが、無作為化試験の結果、示された。フランスのピカルディ・ジュール・ヴェルヌ大学のJean Marc Regimbeau氏らが報告した。急性胆石性胆嚢炎の9割は軽症もしくは中等症である。急性胆石性胆嚢炎について術前・術中の抗菌薬投与が標準化されているが、術後抗菌薬投与の有用性に関するデータはこれまでほとんど示されていなかった。JAMA誌2014年7月9日号掲載の報告より。

COPD急性増悪への早期リハに疑問/BMJ

 COPDや喘息の慢性呼吸器疾患の急性増悪入院患者への早期リハビリテーション開始は、再入院リスクを低下せず、身体機能の回復増進にも結びつかなかったことが、英国・レスター大学病院のNeil J Greening氏らが行った前向き無作為化試験の結果、報告された。検討では介入群のほうが、12ヵ月時点の死亡率が高かったことも示されている。慢性呼吸器疾患の急性増悪で入院した患者の再入院率は高く、ガイドラインでは、増悪後の呼吸リハビリテーションが推奨されている。著者は、「今回の結果は、現行の標準的な理学療法以上の積極的な運動リハビリテーションを、急性症状の初期に始めてはならないことを示すものであった」とまとめている。BMJ誌オンライン版2014年7月8日号掲載の報告より。

多嚢胞性卵巣症候群の不妊治療に福音/NEJM

 多嚢胞性卵巣症候群女性の無排卵性不妊の治療において、アロマターゼ阻害薬レトロゾール(商品名:フェマーラ)は標準治療に比べ生児出産率や排卵誘発率が良好であることが、米国・ペンシルベニア州立大学ハーシー医療センターのRichard S Legro氏ら国立小児保健・人間発達研究所(NICHD)生殖医療ネットワークの検討で示された。本症は、欧米では肥満女性に多く、妊娠可能年齢女性の5~10%が罹患するとされ、無排卵性不妊の原因として最も頻度が高いという。不妊治療における標準的1次治療はクロミフェン(選択的エストロゲン受容体調節薬、商品名:クロミッドほか)であるが、アロマターゼ阻害薬はより良好な妊孕性をもたらす可能性が示唆されている。NEJM誌2014年7月10日号掲載の報告。

総胆管結石疑い 術前精査は必要?/JAMA

 総胆管結石の中等度リスクを有する胆石症患者の治療では、術前の総胆管精査を行わずに、術中の胆道造影所見に基づいて必要な検査を実施するほうが、入院期間が短く検査数は少なくて済み、周術期合併症や術後QOLの増悪はみられないことが、スイス・ジュネーブ大学病院のPouya Iranmanesh氏らの検討で示された。総胆管結石疑い例には、MR胆道膵管造影(MRCP)、超音波内視鏡検査(EUS)、内視鏡的逆行性胆道膵管造影(ERCP)、術中胆道造影などの検査が行われるが、総胆管結石の多くは自然に十二指腸へと排出されるため、術前の総胆管精査には疑問の声もあるという。JAMA誌2014年7月9日号掲載の報告。

重症鎌状赤血球症のミニ移植の効果/JAMA

 重症鎌状赤血球症への骨髄非破壊的同種造血幹細胞移植(HSCT)は、生着率が87%に上ることが、米国立糖尿病・消化器・腎疾病研究所(NIDDK)のMatthew M. Hsieh氏らによる検討の結果、判明した。HSCTは、小児の重症鎌状赤血球症では治療効果が認められていた。しかし、成人患者については有効性、安全性が確立されていなかった。JAMA誌2014年7月2日号掲載の報告より。

論文査読、重大な欠陥の見落とし多数/BMJ

 医学論文の査読において査読者が、無作為化試験の方法や結果の報告に関する重要な欠陥を見落とす場合が多いことが明らかにされた。英国・オックスフォード大学のSally Hopewell氏らが、93本の無作為化試験を後ろ向きに検討して明らかにした。査読者が、試験の方法や結果に関する記述について、変更要請をすることは比較的少ないこと、査読者による指摘の多くは論文の改善につながっていたが、なかには不適当であったり、指摘による追記がネガティブな影響を有することになる場合も判明したという。査読は広く行われているが、発表論文の質に与えるインパクトについては不明だった。BMJ誌オンライン版2014年7月1日号掲載の報告より。

セリアック病の遺伝的発症リスク/NEJM

 小児セリアック病の発症リスクをHLAハプロタイプとの関連で検討した結果、HLAハプロタイプがDR3-DQ2で、とくにホモ接合体を有する場合、小児早期でセリアック病自己免疫およびセリアック病のリスクが高いことが明らかになった。米国・デンバー小児病院のEdwin Liu氏らが前向き研究TEDDYの被験者を評価して報告した。セリアック病リスクとの関連については、HLAハプロタイプDR3-DQ2またはDR4-DQ8が関連していること、また、発症児のほぼ全員が組織トランスグルタミナーゼ(tTG)の血清抗体を有していることは知られていた。NEJM誌2014年7月3日号掲載の報告より。

腰部脊柱管狭窄症へのステロイド併用/NEJM

 腰部脊柱管狭窄症に対し、グルココルチコイド+リドカイン硬膜外注射はリドカイン単独の硬膜外注射と比べて、ほとんどあるいはまったく短期的利益は得られなかったことが明らかにされた。米国・ワシントン大学のJanna L. Friedly氏らが、多施設共同二重盲検無作為化試験の結果、報告した。グルココルチコイド硬膜外注射は、腰部脊柱管狭窄症の治療に広く用いられているが、一方で高齢者の疼痛および障害を引き起こす頻度が高い。しかしその使用に関する有効性、安全性の厳密なデータは十分ではないのが現状であった。NEJM誌2014年7月3日号掲載の報告より。

進行肝細胞がんへのエベロリムス投与/JAMA

 進行肝細胞がんでソラフェニブ(商品名:ネクサバール)治療が無効または不耐であった患者に対する、エベロリムス(同:アフィニトール)治療は全生存期間(OS)を改善しなかったことが示された。米国・マサチューセッツ総合病院がんセンターのAndrew X. Zhu氏らが無作為化試験EVOLVE-1の結果、報告した。進行肝細胞がんに対し現状ではソラフェニブが唯一、OSを有意に改善するが、その有益性は一過性のわずかなものである。エベロリムスは、肝細胞がんの最大45%で活性が認められるmTORタンパク質を阻害することで抗腫瘍効果を発揮する。第I/II相試験において進行肝細胞がんへの効果が期待され、今回の臨床試験が行われた。JAMA誌2014年7月2日号掲載の報告より。

外傷性脳損傷へのEPO投与/JAMA

 閉鎖性外傷性脳損傷患者に対して、エリスロポエチン(EPO)投与およびヘモグロビン値10g/dL超維持の積極的な輸血管理は、6ヵ月時点の神経学的アウトカムの改善に結びつかなかったことが示された。米国・ベイラー医科大学のClaudia S. Robertson氏らが無作為化試験の結果、報告した。試験では輸血閾値10g/dLと高頻度の有害イベント発生との関連も認められ、著者は、「いずれのアプローチも支持できない」と結論している。これまで、外傷性脳損傷後のEPO投与または積極的な輸血管理の効果に関する情報は、いずれも限定的なものであった。JAMA誌2014年7月2日号掲載の報告より。

コントロール不良の糖尿病にインスリンポンプ療法が有効/Lancet

 インスリンポンプ療法は、インスリン頻回注射療法で血糖コントロールが不良な2型糖尿病患者の糖化ヘモグロビン(HbA1c)値を改善することが、フランス・カーン大学のYves Reznik氏らが行ったOpT2mise試験で示された。血糖コントロールが不良な患者に強化インスリン療法として基礎・追加インスリンによる頻回注射療法を行っても、約30%はHbA1c値が正常化せず、低血糖や体重増加のリスクが増大することから、新たな治療法が求められている。これまでに2つの無作為化クロスオーバー試験で、ポンプ療法が頻回注射療法よりも良好な血糖コントロールをもたらすことが示唆されているが、2つの並行群間比較試験では差は認められていない。Lancet誌オンライン版7月3日号掲載の報告。

大腿骨近位部骨折手術、局所麻酔は短期的死亡リスクを下げるか/BMJ

 大腿骨近位部骨折に対する修復手術の短期的な死亡リスクは、麻酔法の違いで差はないことが、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のElisabetta Patorno氏らの検討で確認された。大腿骨近位部骨折は毎年、世界で150万例以上が罹患し、65歳以上の人口の増加に伴い、2050年までに年間600万例を上回ると予測されている。本症は合併症や死亡のリスクが高く、院内死亡の多くが肺や心血管系の合併症に起因する。治療は一般に外科的修復術が行われるが、局所麻酔は気道確保が不要で失血量が少なく、また深部静脈血栓のリスクが低く、術後の鎮痛処置の効果も良好なため、全身麻酔に比べ術後の死亡リスクが低いとの仮説が提唱されているが、これまでに得られた知見は相反するものだという。BMJ誌オンライン版2014年6月27日号掲載の報告。

原因不明の脳卒中後の心房細動検出、携帯型心電図で5倍以上改善/NEJM

 原因不明の脳卒中後の心房細動検出について、30日イベントレコーダー付き携帯型心電計によるモニタリングが、従来の24時間ホルター心電図によるモニタリングより有効であることが示された。検出率は5倍以上有意に改善し、抗凝固療法の施行率はほぼ2倍上昇したという。カナダ・トロント大学のDavid J. Gladstone氏らが、前向き無作為化比較試験を行い報告した。NEJM誌2014年6月26日号掲載の報告より。

18歳までに発症のネフローゼ症候群、リツキシマブで再発抑制/Lancet

 小児期発症の難治性頻回再発型ネフローゼ症候群(FRNS)、ステロイド依存性ネフローゼ症候群(SDNS)に対する、リツキシマブ(商品名:リツキサン)の有効性および安全性が実証された。神戸大学大学院小児科学分野教授の飯島 一誠氏らが、48例の患者を対象に行った多施設共同無作為化プラセボ対照二重盲検試験の結果で、リツキシマブ投与により、無再発期間は2倍以上延長したことが報告された。Lancet誌オンライン版2014年6月23日号掲載の報告より。

大腿骨頚部骨折手術、局所麻酔vs. 全身麻酔/JAMA

 大腿骨頚部骨折手術時の局所麻酔は全身麻酔と比較して、30日死亡を低下せず、入院期間の短縮はわずかであることが、米国・ペンシルベニア大学のMark D. Neuman氏らによる後ろ向き適合コホート研究の結果、示された。最近の診療ガイドラインでは、局所麻酔の使用が提唱されている。著者は「今回の分析では、局所麻酔について死亡に対する有益性があることは裏付けられなかった」と結論している。JAMA誌2014年6月25日号掲載の報告より。

3D乳がん検診で要精検率減少、浸潤がん検出率上昇/JAMA

 デジタル・マンモグラフィに3次元撮影技術のトモシンセシスを併用した乳がん検診の導入で、要精検率が減少し、がん検出率は上昇したことが、米国・アドヴォケイトルーザラン総合病院のSarah M. Friedewald氏らにより報告された。先行研究の単施設研究において、トモシンセシスの併用で、がん検出率が上昇し偽陽性率が低下したことが報告されていた。今回の結果を踏まえて著者は、「さらなる検討で、臨床アウトカムとの関連を評価することが必要だ」と述べている。JAMA誌2014年6月25日号掲載の報告より。

百日咳ブースターワクチン、思春期接種も必要?/BMJ

 英国では2001年に、就学前の百日咳ブースターワクチン接種が導入され、導入前には長引く咳でプライマリ・ケアを受診した学齢児の37%で、百日咳が見つかっていた。しかし導入後もいまだに5人に1人(20%)の割合で百日咳が見つかることが、オックスフォード大学Kay Wang氏らによる5~15歳児を対象とした前向きコホート研究の結果、明らかにされた。著者は、「ワクチン接種を完了した小児においても臨床的に重大な咳が起きる可能性が示された」と述べ、「今回の結果は、思春期における百日咳ブースターワクチン接種の必要性を考えるべきであることを知らしめるものとなるだろう」とまとめている。BMJ誌オンライン版2014年6月24日号掲載の報告より。

安定冠動脈疾患、CABGが薬物療法より予後改善/BMJ

 安定冠動脈疾患患者に対し冠動脈バイパス術(CABG)は薬物療法と比較して、死亡、心筋梗塞および再血行再建術リスクを低下することが、ネットワークメタ解析の結果、明らかにされた。スイス・ベルン大学病院のStephan Windecker氏らが行った検討によるもの。そしてCABGに次いでステントベースの冠動脈再建術が、種類を問わず薬物療法と比べて血行再建術の必要性を低下したことも示された。ステント術の中では新世代の薬剤溶出ステントの低下が顕著で、著者は、「薬物療法戦略と比較してCABGと新世代の薬剤溶出ステントに、生存改善のエビデンスがあることが示された」とまとめている。BMJ誌オンライン版2104年6月23日号掲載の報告より。