10~30代での飲酒が精巣胚細胞腫瘍リスクに

提供元:ケアネット

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公開日:2016/08/08

 

 精巣胚細胞腫瘍(TGCT)の病因についてこれまでのデータから、出生後の環境や生活習慣が関与する可能性が示唆されている。今回、米国ワシントン大学のMary L Biggs氏らが集団ベースの症例対照研究で調べた結果、青年期や成人期の飲酒がTGCTリスクの増加に関連する可能性があることが示唆された。International journal of cancer誌オンライン版2016年7月30日号に掲載。

 本試験は、米国の18~44歳のTGCT患者540人の症例群と、年齢をマッチさせた1,280人の対照群による症例対照研究である。
 参加者には、ビール、ワイン、蒸留酒についてそれぞれ、7~8年生時、9~12年生時、基準日(症例群では診断日、対照群では対応日)前5年間における消費量を尋ねた。著者らは、ロジスティック回帰を用いて、期間別、全体および飲料別、セミノーマと非セミノーマそれぞれで、飲酒とTGCTリスクの関連におけるオッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)を推定した。

 主な結果は以下のとおり。

・基準日前5年間でみたところ、非飲酒者と比較すると、飲酒量が週当たり1~6杯、7~13杯、14杯以上のOR(95%CI)はそれぞれ、1.20(0.85~1.69)、1.23(0.81~1.85)、1.56(1.03~2.37)であった(傾向のp=0.04)。9~12年生時の飲酒における結果はそれぞれ、1.39(1.06~1.82)、1.07(0.72~1.60)、1.53(1.01~2.31)であった(傾向のp=0.05)。7~8年生時での飲酒はまれで、TGCTとの間に統計的学的に有意な関連は認められなかった。

・基準日前5年間における飲酒量との関連はセミノーマよりも非セミノーマで強くみられたが、その差は統計的学的に有意でなかった(p>0.05)。

・アルコール飲料の種類が異なっても関連は同様であった。

(ケアネット 金沢 浩子)