喫煙と心房細動リスク~前向き研究のメタ解析

提供元:ケアネット

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公開日:2016/07/29

 

 前向き研究のメタ解析により、喫煙が心房細動(AF)発症リスクの増加に関連していたことを中国・南昌大学のWengen Zhu氏らが報告した。著者らはまた、禁煙により、喫煙によるAFリスクの過剰分が低減するが、完全には解消しないようであると述べている。International journal of cardiology誌2016年9月1日号に掲載。

 AF発症における喫煙の役割を検討している研究は幾つかあるが、矛盾する結果が報告されている。喫煙とAFリスクの定量的な関連の同定はAFの管理と予防に重要である。
 著者らはコクランライブラリー、PubMed、Embaseデータベースを用いて、喫煙とAFの関連を報告した研究を系統的に検索した。該当論文からデータを抽出し、影響の予測をプールするためにランダム効果モデルを用いた。

 主な結果は以下のとおり。

・16の前向き研究が選択基準を満たした。参加者の合計は28万6,217人、AF症例は1万1,878例であった。
・喫煙者で高いAF有病率が確認された(リスク比[RR]:1.23、95%信頼区間[CI]:1.08~1.39、p=0.001)。これらの結果は感度分析で安定していた。
・pooled RRは、ほとんどのサブグループで一貫した正の関連を示した。
・具体的には、8論文では現喫煙者(RR:1.39、95%CI:1.11~1.75)と過去喫煙者(RR:1.16、95%CI:1.00~1.36)の両方を生涯非喫煙者と比較、4論文では現/過去喫煙者(pooled RR:1.21、95%CI:0.93~1.57)を生涯非喫煙者と比較、7論文では現喫煙者(pooled RR:1.21、95%CI:1.03~1.42)を非/過去喫煙者と比較していた。
・世界的に、男性におけるAFリスクの6.7%および女性におけるAFリスクの1.4%が喫煙に起因すると推測された。

(ケアネット 金沢 浩子)