食品中の残留PCBは高血圧リスク

提供元:ケアネット

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公開日:2015/05/22

 

 ポリ塩化ビフェニル(PCB)は、食物連鎖を通じて生体内に取り込まれて蓄積する、残留性有機汚染物質である。PCBへの曝露が高血圧の発症と関連することが、異なるソースのエビデンスにより示唆されている。しかしながら、成人におけるこの潜在的関連性について検討した前向き研究は、これまでなかった。スペイン・ナバーラ大学のCarolina Donat-Vargas氏らは、PCBの食品由来摂取量と高血圧発症について、大規模な前向きコホート研究を行った。Hypertension誌2015年4月号(オンライン版2015年2月2日号)の掲載報告。

 本研究は、スペインの大学卒業者(大半が医療関係者)を対象としたコホート研究Seguimiento Universidad de Navarraプロジェクトの一環である。参加者は登録時に高血圧の既往がなかった1万4,521人で、フォローアップ期間中央値は8.3年。ベースライン時に136項目の半定量的食品摂取頻度質問票への回答を求め、食品由来PCB摂取量の推定には、公表されているPCB濃度(スペインで消費される食品サンプルで計測)を用いた。多変量回帰モデルにより、高血圧発症のハザード比および95%信頼区間を推定した。

 主な結果は以下のとおり。

・フォローアップ中、1,497人が高血圧の医学的診断を受けた。
・総エネルギー摂取量、潜在的交絡因子での調整後、PCB摂取量の最高五分位群の最低五分位群に対する高血圧発症リスクの上昇が認められた(HR 1.43、95%CI:1.09~1.88、傾向のp=0.017)。
・この地中海コホートにおいて、食品摂取頻度質問票を用いて計測した食品由来PCB摂取量は、フォローアップ期間中の高血圧発症の高リスクと関連していた。しかしながら、さらなる長期的検討により、本結果を確認する必要がある。

(ケアネット)