乳がんリスクが上がるタンパク源は?~約9万人の前向き研究/BMJ

提供元:ケアネット

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公開日:2014/06/27

 

 乳がんリスクへの高タンパク摂取の影響が報告されているが、タンパク源となる食物は栄養プロファイルがさまざまであり、乳がんリスクへの影響が異なる可能性がある。米国ハーバード大学のMaryam S Farvid氏らは、成人早期の食事性タンパクと乳がんリスクとの関連を調べるため、米国の看護師における前向きコホート研究を実施した。その結果から、成人早期の赤肉(red meat;牛、羊、豚などの成獣肉)の多量摂取が乳がんの危険因子であり、赤肉を豆類・鶏肉(七面鳥も含む)・ナッツ類・魚の組み合わせに置き換えることで乳がんリスクが減少する可能性が示唆された。BMJ誌オンライン版2014年6月10日号に掲載。

ナッツ類の摂取量の多さは乳がんリスクに関連せず

 対象は、Nurses' Health Study IIより、1991年に食生活に関するアンケートを完遂した閉経前女性8万8,803人(1991年での平均年齢36.4歳、範囲26~45歳)。浸潤性乳がんの発症については、自己申告により同定し、病理学的に確認を行った。

 食事性タンパクと乳がんリスクとの関連を調べた主な結果は以下のとおり。

・20年(1991年~2011年)の追跡期間中に乳がんが2,830例に発症した(閉経前1,511例、閉経後918例、不明401例)。
・赤肉摂取量の多さが全体の乳がんリスク増加と関連していた(摂取量で分類した5群での最低摂取量群に対する最高摂取量群の相対リスク1.22、95%CI:1.06~1.40、傾向のp=0.01)。鶏肉、魚、卵、豆類、ナッツ類の摂取量の多さは全体の乳がんリスクに関連していなかった。
・この関連性を閉経状態により評価したところ、閉経後の女性では鶏肉の摂取量の多さと乳がんリスク減少が関連していた(同リスク0.73、95%CI:0.58~0.91、傾向のp=0.02)が、閉経前の女性では関連していなかった(同リスク0.93、95%CI:0.78~1.11、傾向のp=0.60)。
・異なるタンパク源への変換効果の推計では、赤肉1食分/日の豆類1食分/日への置き換えは、全体では15%の乳がんリスク減少と関連し(同リスク0.85、95%CI:0.73~0.98)、また閉経前女性では19%の減少と関連した(同リスク0.81、95%CI:0.66~0.99)。
・赤肉1食分/日の鶏肉1食分/日への置き換えは、全体では17%の乳がんリスク減少と関連し(同リスク0.83、95%CI:0.72~0.96)、閉経後女性では24%の減少と関連した(同リスク0.76、95%CI:0.59~0.99)。
・赤肉1食分/日を「豆類・ナッツ類・鶏肉・魚」の組み合わせ1食分/日に置き換えた場合、全体(同リスク0.86、95%CI:0.78~0.94)および閉経前女性(同リスク0.86、95%CI:0.76~0.98)の14%の乳がんリスク減少と関連した。

(ケアネット 金沢 浩子)