小児悪性腫瘍診断の遅れによる転帰への影響は?

提供元:ケアネット

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公開日:2012/10/12

 

 小児悪性腫瘍における診断の遅れは医療過誤訴訟の主な原因である。フランスのBrasme氏らによって、小児悪性腫瘍の診断までの時間の分類、決定要因、予後の情報を系統的にレビューし、カナダとフランスにおける医療過誤訴訟での国選の専門家の知見と比較した。その結果、診断の遅れと転帰の関係は複雑であり、おそらく保護者や医療の要因よりも腫瘍生物学的要因によることが示唆された。Lancet Oncol誌2012年10月号の報告。

 主な結果は以下のとおり。

・時期に関係なく、98の関連研究において、診断までの時間は腫瘍の種類によって大きく変動した(中央値、範囲:2~260週)。
・診断に長い遅れが生じた要因は、より年長であること、初診で診療した医師の資格、非特異的な症状、組織型と腫瘍の限局性であった。
・診断の遅れは網膜芽細胞腫の予後不良と関連し、白血病、神経芽細胞腫、横紋筋腫においても関連する可能性がみられた(データは決定的な結論には至らなかった)。
・一方で、診断の遅れは多くのCNS腫瘍、骨肉腫やユーイング肉腫の有害事象と関連がみられなかった。逆説的であるが、これらのがんの診断において、しばしば診断までの時間が短かった場合よりも予後が良かった
・3分の1の専門家は医学文献と一致した証言を行った。

(ケアネット 森 幸子)