高齢者のADR入院回避のためには共存症に留意を

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2009/01/30

 



繰り返される高齢者の薬物有害反応(ADR)による入院の予測因子は、年齢よりも、共存症を有しているかどうかであることが、西オーストラリア大学公衆衛生校のMin Zhang氏らによる後ろ向きコホート研究で明らかにされた。BMJ誌2009年1月17日号(オンライン版2009年1月7日号)掲載より。

入院を繰り返していたADR患者の60%に共存症が……




Zhang氏らは、1980~2000年の間に西オーストラリア市内の公立・民間病院に入院した、60歳以上のADR患者2万8,548例を対象とし、西オーストラリア・データリンクシステムを使用して3年の間追跡した。

ADRで入院を繰り返していた患者は5,056例(17.7%)で、ADRによる入院が繰り返されることの関連因子として、性(ハザード比:男性1.08、95%信頼区間:1.02~1.15)、初回入院が1995~1999年(2.34、2.00~2.73)、入院期間(14日以上:1.11、1.05~1.18)、チャールソン共存症インデックス(スコア7以上:1.71、1.46~1.99)が確認された。

解析では、共存症を有していた対象者患者が60%いたことに注目。

加齢は、繰り返されるADRへの影響はほとんどないことが確認される一方、強い予測因子として明らかになったのが、共存症うっ血性心不全(1.56、1.43~1.71)、末梢血管疾患(1.27、1.09~1.48)、慢性肺疾患(1.61、1.45~1.79)、リウマチ疾患(1.65、1.41~1.92)、軽度の肝疾患(1.48、1.05~2.07)、中等度~重度の肝疾患(1.85、1.18~2.92)、中等度の糖尿病(1.18、1.07~1.30)、慢性合併症を伴う糖尿病(1.91、1.65~2.22)、腎疾患(1.93、1.71~2.17)、リンパ腫や白血病等の悪性腫瘍(1.87、1.68~2.09)、転移性固形腫瘍(2.25、1.92~2.64)だった。

Zhang氏は、「共存症の治療を受けている患者が地域に多数居住している。これら予測因子を知り得ておくことは、臨床家が、ADRによる入院リスクの高い患者を見分けるのに役立ち、患者に恩恵を与えることになるだろう」と結論している。