より予防効果が高いマラリアワクチンの開発

提供元:ケアネット

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公開日:2008/12/24

 



AS01Eをアジュバンドとして用いた新しいマラリアワクチンRTS,S/AS01Eの有効性を検討する無作為化二重盲検試験を行ったケニア中央医学研究所のPhilip Bejon氏らは、「候補として有望である」との報告を行った。NEJM誌2008年12月11日号(オンライン版2008年12月8日号)より。

5~17ヵ月児894例を、新ワクチン接種群と狂犬病ワクチン接種群に無作為化




マラリアワクチンRTS,Sは、それ自体はスポロゾイド周囲蛋白を目標とするもので、これまでAS02Aをアジュバンドとして用いることで、1~4歳児で30%のマラリア予防率を示したことが示されている。

新しいマラリアワクチン開発に取り組むBejon氏らは、対象を5~17ヵ月児として、より免疫原性の高いAS01Eをアジュバンドとして用いた場合の有効性を、狂犬病ワクチン接種を対照群とする比較で検討した。対象児は、ケニアのKilifiとタンザニアのKorogweに居住する894例(プロトコールに基づく試験終了は809例)で、平均追跡期間は7.9ヵ月(範囲:4.5~10.5ヵ月)だった。

全例解析による有効率49%




マラリアを発症した患児数(初発もしくは単発)は、RTS,S/AS01Eワクチン接種群32例(/402例、8%)、対照群66例(/407例、16%)。RTS,S/AS01Eワクチンの有効率(補正後)は53%(95%信頼区間:28~69、P<0.001)だった。

全マラリア発症数は、RTS,S/AS01Eワクチン接種群38例、対照群86例で、ワクチン有効率(補正後)は56%(95%信頼区間:31~72、P<0.001)。

894例全例解析による有効率(未補正)は49%(95%信頼区間:26~65、P<0.001)だった。

重篤な有害事象の発現率はRTS,S/AS01Eワクチン接種群のほうが低かった。対照群のほうが、入院に至ったマラリア発症事象だけでなく、肺炎や胃腸炎、また併発事象などの症例も含め重篤な有害事象の発現率は高かった。

(武藤まき:医療ライター)