ロスバスタチン、健康そうな人にも有益:JUPITER

提供元:ケアネット

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公開日:2008/12/03

 



高脂血症治療薬ロスバスタチン(商品名:クレストール)について、高脂血症ではない(LDL-C値が正常か低値)が高感度CRP(C反応性蛋白)が上昇している健康そうな人も、投与によって利益が得られることが報告された。高感度CRPは炎症バイオマーカーで、心血管イベントを予測できる。スタチンがコレステロールだけでなくCRPも低下することから検証されたJUPITER試験の結果で、NEJM誌2008年11月20日号(オンライン版2008年11月9日号)にて掲載された。

LDL正常か低値で、高感度CRP高値の男女17,802例を1.9年追跡




JUPITER(Justification for the Use of statins in Primary prevention: an Intervention Trial Evaluating Rosuvastatin)試験は、2003年2月~2006年12月の間に26ヵ国1,315地点から参加者が集められた大規模な無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験。心血管イベントの既往がなく、LDL-Cが130mg/dL(3.4mmol/L)未満、高感度CRPが2.0mg/L以上の一見健康な男女17,802例が参加した。

参加者は、ロスバスタチン20mg/日投与群とプラセボ群に無作為に割り付けられ、心筋梗塞、脳卒中、動脈血行再建または不安定狭心症による入院、心血管系起因の死亡を1次複合エンドポイントとし、中央値1.9年(最長5.0年)追跡調査された。

主要心血管イベントの発生率が有意に低下




無作為化後12ヵ月時点の比較で、ロスバスタチン群はプラセボ群に比べ、LDL-C値の中央値は50%、高感度CRPの中央値は37%低かった。

1次エンドポイントの発生率は、ロスバスタチン群(0.77/追跡100人年)がプラセボ群(1.36/追跡100人年)に比べ0.56倍(95%信頼区間:0.46~0.69、P<0.00001)だった。それぞれ、「心筋梗塞」は0.17、0.37で0.46倍(0.30~0.70、P=0.0002)。「脳卒中」は0.18、0.34で0.52倍(0.34~0.79、P=0.002)。「動脈血行再建または不安定狭心症」は0.41、0.77で0.53倍(0.40~0.70、P<0.00001)。「心筋梗塞、脳卒中、心血管系起因の死亡」は0.45、0.85で0.53倍(0.40~0.69、P<0.00001)だった。「全死因死亡」は1.00、1.25で0.80倍(0.67~0.97、P = 0.02)であった。これらの結果は、サブグループ解析でも同様の傾向であり、研究グループは、「主要心血管イベントの発生率が有意に低下した」と結論している。

また、ロスバスタチン群のほうがミオパシー、がん疾患が有意に少なかったが、担当医からの報告で糖尿病発症率が高かったことも示されている。

(朝田哲明:医療ライター)