WHO予算配分は感染症に偏りすぎ:バマコ2008会議に向けて

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WHOの予算配分は感染症に極端に偏っており、世界的な疾病負担にも不均衡が見られるため、その是正に向けた検討が必要であることが、WHOの一般公開データの解析で明らかとなった。2008年11月、各国の保健相、支援機関、慈善活動家、国際機関らがマリ共和国の首都バマコに参集し、以前の協議で設定されたWHOの通常予算あるいは特別予算の医療優先事項の再評価を行うという。そこで、イギリス・Oxford大学社会学科のDavid Stuckler氏らは、WHOの予算枠内で以前の決定事項の優先順位をどのように改善できるかを検討した。Lancet誌2008年11月1日号掲載の報告。

WHOの予算配分と疾病負担の関連を、西太平洋地域とアフリカで比較




研究グループは、1994~1995年度から2008~2009年度のWHOの予算配分(2年ごと)と疾病負担の比較を行った。疾病負担は、死亡および障害で調整した生存年と定義した。

一般に公開されているWHOの情報源からデータを集め、WHOの予算配分が疾病負担によってどのように変化するかを、西太平洋地域とアフリカ(いずれも疫学的な移行期あるがそのステージが異なる2つのWHO加盟地域)を比較することで評価した。さらに、配分が資金源(分担金、任意拠出金)によって異なるか、また資金をいかに拠出するかの決定メカニズムについても検討した。

全予算の87%が感染症に拠出




WHOの予算配分は感染症に極端に偏っていることがわかった。2006~2007年度には、全予算の87%が感染症に拠出され、非伝染性疾患には12%、傷害や暴力に使用されたのは1%未満であった。

死因の約3/4が感染症であるアフリカと、同じく約3/4が非伝染性疾患である西太平洋地域で、資金の配分がほぼ同様であった。両地域とも、傷害への資金拠出は1%にすぎなかった。

感染症への偏りは、通常予算よりも特別予算で実質的に大きかった。通常予算が加盟国により民主的な手続きを経て決定されるのに対し、特別予算は支援者によって拠出され、近年著しく増大している。

著者は、「バマコ2008会議では、世界的な保健研究においては、全体的な医療優先事項や疾病負担が不均衡にある現状の意味を考慮すべきある。外部支援による資金とWHO加盟国による資金とは実質的に異なるものである」と結論し、「バマコ会議は、この格差にいかに取り組むことが可能かを考える機会を提供する」としている。

(菅野守:医学ライター)

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