炭疽菌ワクチン接種は筋注のほうが有益

提供元:
ケアネット

炭疽菌ワクチン接種は筋注のほうが有益のイメージ



BioThraxは、現在、米国で唯一公認の炭疽菌ワクチン(AVA)であり皮下注4回接種が公認療法となっている。このワクチンについて米国議会は1999年、米国疾病管理センター(CDC)に対して安全性と有効性に関する調査を行うよう指示した。調査にあたったCDC炭疽菌ワクチン調査プログラム専門調査委員会は、「筋注のほうが安全性が高く、免疫獲得もすみやか」とする報告を寄せた。JAMA誌2008年10月1日号より。

非劣性試験を行い注射部位の有害事象の割合で判定




より利便な免疫獲得療法をめざした炭疽菌ワクチン接種の安全性と有効性に関する無作為化試験は、ワクチン投与のルート変更で、血清反応、注射部位の有害事象(AEs)に影響が及ぶかを評価することを目的に行われた。すなわち皮下注(SQ)から筋注(IM)への変更、および、投与回数も現在公認されている回数から減らした場合(2週後投与を省略)について検討された。

多施設共同無作為化二重盲検非劣性試験に登録された対象は1,005例。試験は第4相ヒト臨床試験として2002年5月から継続中。

炭疽菌ワクチン接種は、SQもしくはIMにて4回[初回(0週)、2週後、4週後、6ヵ月後]行われた。比較検討されたのは、SQで4回接種(4-SQ群)165例、IMで4回接種(4-IM群)170例、さらに2週後投与を省略した筋注3回接種(3-IM群)501例。同じタイムスケジュールで生理食塩水接種の対照群169例も比較検討された。

主要評価項目は、8週時点と7ヵ月時点の非劣性、および反感染防御抗原IgGの相乗平均濃度(GMC)、相乗平均価(GMT)、4倍以上抗体価反応(%4R)。有効性結論の指標は、注射部位の有害事象の割合とされた。

筋注のほうが有害事象少なく、接種回数も少なくて済む




8週時点のGMC、GMT、%4Rは、4-IM群(90.8 μg/mL、1114.8、97.7)、4-SQ群(105.1 μg/mL、1315.4、98.8)で、3つの主要エンドポイントすべてで皮下注と筋注に差異はなかった。3-IM群は(52.2 μg/mL、650.6、94.4)、%4Rだけが非劣性。

7ヵ月時点では、すべての投与群が、現行公認療法より劣っていなかった。有害事象の割合は、試験期間中、4-IM群(筋注)のほうが4-SQ群(皮下注)に比べ低かった。副次エンドポイントの注射直後の疼痛のオッズ比は、両群に差異はなかった(p<0.001)。投与経路が、全身性の有害事象の発現を左右することはなかった。

本稿筆頭執筆者のNina Marano氏は、「炭疽菌ワクチン接種について、筋注の4-IM、3-IMは7ヵ月時点で免疫を獲得しており、公認療法の皮下注4-SQと比べて劣ることはなかった。また筋注のほうが有意に注射部位の有害事象が少なかった」と結論。「予防投与の機会増大という観点から、投与回数が少なくて済むのは大きな利点である」とまとめている。

(朝田哲明:医療ライター)

掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。)