複合組織同種移植は、顔面の広範な叢状神経線維腫の修復に有効

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複合組織同種移植は、顔面の広範な叢状神経線維腫の修復に有効のイメージ

顔面の広範な叢状神経線維腫に対する複合組織同種移植(CTA)は実行可能であり、十分に満足できるリスク対ベネフィット比が得られることが、フランスで実施された1年間のフォローアップ研究で明らかとなった。CTAによる顔面移植のリスク対ベネフィット比については議論が続いているが、手技そのものは技術的にはすでに実行可能であったという。パリ第12大学医学部のLaurent Lantieri氏が、Lancet誌2008年8月23日号で報告した。

顔面皮膚の外観およびその機能の修復が目的




研究グループは、CTAによる顔面移植を受けた患者の1年間のフォローアップ研究の結果を報告した。2007年1月21日、29歳の1型神経線維腫の男性が、顔面中央と下部にびまん性に浸潤した広範な叢状神経線維腫の切除術を受けた。

移植のおもな目的は、顔面皮膚の外観およびその機能の修復であり、特に眼輪筋と口輪筋の障害のコントロールであった。免疫抑制療法を実施し、心理学的な予後や社会復帰の問題の解決とともに、皮膚と粘膜の生検により拒絶反応のモニタリングを行った。

顔面機能の予後はきわめて良好、完全な社会復帰を達成




術後の初回コースには合併症は見られなかったが、28~64日に拒絶反応が2回発現した。2回目の拒絶反応はサイトメガロウイルス感染によるものであった。いずれの拒絶反応も良好に回復し、それ以上の拒絶反応の臨床的徴候は見られず、免疫抑制薬の減量が可能となった。

移植部位の感覚神経および運動神経の再生に成功し、術後1年の時点で顔面機能の予後はきわめて良好であった。心理学的回復も完璧で、完全な社会復帰が達成された。

著者は、「顔面を広範に切除し、複合組織同種移植片を移植する手技は実行可能であることが、今回の症例によって示された。この顔面修復術は十分に満足できるリスク対ベネフィット比をもたらすと考えられる」と結論し、「複合組織移植片の免疫原性関連のリスクを評価するには長期のフォローアップが必要である」と指摘している。なお、この初回成功例を受け、現在、次の症例の評価が行われているという。

(菅野守:医学ライター)

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