イラク、アフガン従軍兵のアルコール問題

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ケアネット

イラク、アフガン従軍兵のアルコール問題のイメージ

ベトナム戦争や湾岸戦争時も報告された、兵士の除隊後の高率なアルコール依存症発症等については、現戦争のイラク戦争やアフガニスタン侵攻に関しても報告されているが、兵役と重篤なアルコール依存症発症との関連リスクについてより詳細な調査を行っていた、米国国防総省ナバル・ヘルス・リサーチセンター(サンディエゴ州)のIsabel G. Jacobson氏らによって、「予備・州兵とより若い軍人でリスクが高い」と報告された。JAMA誌2008年8月13日号より。

戦闘曝露から後方支援の兵士まで4万8,481例を対象に




兵役後のアルコール依存症といっても、兵役に就いたことがきっかけで新規に発症したパターン、もともと抱えていたアルコール関連の問題(大量飲酒、不節制飲酒)が戦闘曝露によるPTSDなどで制御不能となっているパターンなどが考えられることから、本研究では、それらを明らかにすることが主眼とされた。

研究対象は、イラク戦争およびアフガニスタン侵攻に賛意を示す軍人によって、飲酒量やアルコール問題について前向きに記載された「Millennium Cohort Study」の参加者。基線値データ(2001年7月~2003年6月、7万7,047例)と、追跡アンケート調査(2004年6月~2006年2月、5万5,021例、追跡反応率=71.4%)の両方に該当した者が選定された。解析は除外基準適用後4万8,481人の参加者を含んで行われた(軍人;n=2万6,613、予備・州兵;n=2万1,868)。このうち戦闘に曝露されたのは5,510例、されなかったのは5,661例、3万7,310例は戦地に配属されていない。

戦闘曝露の予備・州兵で各種アルコール問題の有病率が有意に高い




戦闘曝露群のうち、予備・州兵の基線有病率は、「毎週飲酒の習慣性」9.0%、「不節制飲酒」53.6%、「全アルコール問題」15.2%だった。それぞれ、引き続いての有病率は、12.5%、53.0%と11.9%。

新規の発症率は、8.8%、25.6%、7.1%であった。軍人では新規の発症率は、6.0%、26.6%、4.8%。

戦地配属されていない群との比較で、戦地配属され戦闘曝露が報告された予備・州兵には、各種の問題がより有意に高い可能性が確認された。「毎週飲酒の習慣性」のオッズ比は1.63(95%信頼区間:1.36~1.96)、「不節制飲酒」1.46(1.24~1.71)、「全アルコール問題」1.63(1.33~2.01)。

またコホートのうち最も若い年齢階層の兵士が、すべてのアルコール関連のアウトカムで最も高いリスクに位置していた。

(朝田哲明:医療ライター)

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