末梢静脈カテーテルの交換はルーチンに行う必要はない

提供元:ケアネット

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公開日:2008/08/01

 



末梢静脈カテーテルの交換はルーチンに行うべきか、それとも臨床適応となった場合にだけ行えばよいか。CDC(疾病予防管理センター)では感染対策の観点から72~96時間ごとに変えるべきとしているが、そのエビデンスは乏しく、また近年、ルーチンに変えるほうが静脈炎の発症率が高いといった報告もある。そうしたなか王立ブリスベーン&ウーマンズ病院(オーストラリア)臨床看護センターのJoan Webster氏らは、静脈炎発症率とコストの面で検討を行い、「臨床適応の場合だけ行えばいいようだ」と報告した。BMJ誌オンライン版2008年7月8日号より。

オーストラリアの3次機能病院から755例を集め無作為化試験




試験はオーストラリアの3次機能病院(Tertiary hospital)を対象に行われた。対象者はmedical and surgical患者755例。379例が臨床適応の場合にのみカテーテルの交換が行われる群に(介入群)、376例がルーチンに交換する群(対照群)に無作為に割り付けられ検討された。

主要転帰は、静脈炎や感染症発症によるカテーテル不全の複合的な度合い。

ルーチン交換群と臨床適応群にカテーテル不全の有意差なし




静脈炎や感染症発症によってカテーテルが取り外されたのは、対照群は123例(33%)、介入群は143例(38%)で有意な違いはなかった(相対リスク1.15、95%信頼区間:0.95~1.40)。留置1,000日間につき生じたカテーテル不全の割合に基づき比較しても、有意な違いは見出せなかった(0.98、0.78~1.24)。

手技に関するコストは、対照群のほうが高く、平均41.02オーストラリアドル。介入群は平均36.40オーストラリアドルだった。

静脈炎の発症率は、介入群4%、対照群3%で両群とも低かった。

Webster氏は「臨床適応のときだけ交換を行ってもカテーテル不全の発生に影響はなかった。ただし今回の知見を検証するため、またより臨床的意義あるアウトカムを静脈炎単独で検証するなど、より大規模な試験を行う必要がある」と結論している。