筋力アップが死亡率低下に結びつく

提供元:ケアネット

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公開日:2008/07/25

 

慢性疾患予防や健康増進に有効であるとしてフィットネスが推奨されている。筋力と全死亡率の負の相関はこれまでにも報告されていたが、男性における、筋力と全死因・心血管疾患・癌の死亡率に関する大規模な前向きコホート研究が行われ、筋力と全死因・癌の死亡率は独立した負の相関関係にあることが、BMJ誌2008年7月1日号で公表された。スウェーデン王立カロリンスカ研究所のJonatan R Ruiz氏らによる報告。

男性20歳~80歳8,762例を18.9年追跡




アメリカ・テキサス州ダラスにあるCooper Clinicのエアロビクスセンターに、1980年~1989年の間に登録された男性(20歳~80歳)8,762例について追跡調査が行われた。

主要評価項目は、2003年12月31日までの全死因死亡率、筋力、心肺フィットネス(トレッドミル運動負荷試験による)。

筋力は、反復跳び、ベンチ・プレスの結果を、年齢特異的に三分位(Lower、Middle、Upper)に分類した。

平均追跡調査期間は18.9年。死亡は503例(心血管疾患145、癌199含む)。

筋力と死亡率は負の相関




死亡率/1万人年は、全死因はLower:38.9、Middle:5.9、Upper:26.6、心血管疾患はLower:12.1、Middle:7.6、Upper:6.6、癌はLower:6.1、Middle:4.9、Upper:4.2だった(P<0.01)。

年齢、身体活動度、喫煙、飲酒、BMI、基線での健康状態、心血管疾患家族歴で補正後の死亡ハザード比(Lowerを参照群1.0として)は、全死因はMiddle:0.72、Upper:0.77、心血管疾患はMiddle:0.74、Upper:0.71、癌はMiddle:0.72、Upper:0.68だった。

全死因と癌について筋力と死亡率の相関パターンは、心肺フィットネスで補正後も維持された。しかし心血管疾患については心肺フィットネスで補正後、相関は減弱化した。

Ruiz氏は「男性において、筋力は、全死因・癌死亡リスクと独立した関連性があることが認められた」と結論。また、「筋力は心肺フィットネスを高めるようだ」として週に2、3回、全身筋力トレーニングを行うことが全死因死亡率を低下させるかもしれないとも述べた。他の母集団、女性における前向き研究コホート研究の必要性にも言及している。