アパルタミド、転移去勢感受性前立腺がんのPFS、OSを改善/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2019/06/13

 

 転移を伴う去勢感受性前立腺がんの患者に対し、アンドロゲン除去療法(ADT)+アパルタミド(商品名:アーリーダ)の併用は、ADT単独と比べて2年後の放射線学的無増悪生存率(PFS)および全生存率(OS)は、いずれも有意に改善したことが示された。副作用プロファイルは両群でほとんど異ならなかった。カナダ・BC Cancer and Vancouver Prostate CentreのKim N. Chi氏らが1,052例を対象に行った第III相プラセボ対照無作為化二重盲検試験の結果で、NEJM誌オンライン版5月31日号で発表された。被験者には、局所前立腺がん治療歴やドセタキセル投与歴のある人も含まれていたという。アパルタミドは、経口アンドロゲン受容体シグナル伝達阻害薬で、本邦では5月30日に発売が開始された。

ADT+アパルタミドvs.ADT+プラセボでPFSとOSを評価
 研究グループは、転移を伴う去勢感受性前立腺がん患者を無作為に2群に分け、ADTに加え、一方にはアパルタミド(240mg/日)を、もう一方にはプラセボを投与した。局所前立腺がん治療歴やドセタキセル治療歴がある患者も許容した。

 主要評価項目は、放射線学的PFSおよびOSとした。

アパルタミド群は0.67倍
 計525例がADT+アパルタミド(アパルタミド群)に、527例がADT+プラセボ(プラセボ群)に割り付けられた。被験者の年齢中央値は68歳。局所前立腺がんの治療として、前立腺摘除または放射線療法を受けていた被験者は16.4%、ドセタキセルの投与を受けていたのは10.7%だった。また、62.7%が高腫瘍量で、37.3%が低腫瘍量だった。

 初回中間解析(追跡期間中央値22.7ヵ月)において、24ヵ月時の放射線学的PFSは、プラセボ群47.5%に対しアパルタミド群は68.2%と、有意に高率だった(放射線学的病勢進行または死亡に関するハザード比[HR]:0.48、95%信頼区間[CI]:0.39~0.60、p<0.001)。

 また、24ヵ月時のOSも、プラセボ群73.5%に対しアパルタミド群は82.4%と、有意に高率だった(死亡HR:0.67、95%CI:0.51~0.89、p=0.005)。

 Grade3または4の有害事象発生率は、アパルタミド群42.2%、プラセボ群40.8%だった。アパルタミド群で最も頻度が高かったのは発疹だった。

(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)