オリゴ転移へのSABR、OSを1年以上延長/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2019/04/25

 

 原発腫瘍のコントロールが良好で転移病巣が少数(1~5ヵ所)の患者に対し、体幹部定位放射線治療(SABR)は、全生存期間(OS)を有意に延長させることが示された。一方で、SABR治療関連死の発生は3/66例(4.5%)であった。英国・London Health Sciences CentreのDavid A. Palma氏らが、99例を対象に行った第II相の非盲検無作為化比較試験の結果で、Lancet誌オンライン版2019年4月11日号で発表した。結果を踏まえて著者は、「第III相試験を行い、OSへの確固たるベネフィットが示されるのかを確認し、SABRの恩恵が得られる最大転移病巣数を明らかにする必要がある」と述べている。

カナダ、オランダ、スコットランドなど10ヵ所の病院で試験
 研究グループは2012年2月10日~2016年8月30日にかけて、カナダ、オランダ、スコットランド、オーストラリアの10ヵ所の病院を通じて、原発腫瘍のコントロールが良好で、転移が1~5ヵ所の少数転移患者99例を対象に試験を行った。被験者は、Eastern Cooperative Oncology Group(ECOG)スコアが0~1、余命が6ヵ月以上を適格とした。

 転移数1~3 vs.4~5で層別化後、被験者を無作為に1対2に分け、一方には標準的緩和ケアを(対照群、33例)、もう一方には標準的ケア+SABRを全転移部位に対して行った(SABR群、66例)。無作為化はコンピュータ生成無作為化リストを用いて9群に割り付けを行った。患者および担当医ともに治療割り付けはマスキングされなかった。

 主要エンドポイントは、OS。無作為化第II相スクリーニングデザインを用いて、両側検定を行い、α水準を0.20(p<0.20で肯定的試験を意味する)に設定した。

OS中央値、SABR群41ヵ月、対照群は28ヵ月
 被験者99例のうち途中で試験を中断したのは、対照群2例(6%)、SABR群2例(3%)だった。追跡期間中央値は、対照群25ヵ月(四分位範囲[IQR]:19~54)、SABR群26ヵ月(IQR:23~37)だった。

 OS中央値は、対照群28ヵ月(95%信頼区間[CI]:19~33)に対し、SABR群41ヵ月(95%CI:26~未到達)だった(ハザード比[HR]:0.57、95%CI:0.3~1.10、p=0.090)。

 Grade2以上の有害事象発現率は、対照群9%に対し、SABR群29%で、絶対増大値は20%(95%CI:5~34)だった(p=0.026)。

 治療関連死は、SABR群4.5%(3例)に対し、対照群では発生が報告されなかった。

(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)