症候性AFへのアブレーションの効果、CABANA試験で明らかに/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2019/04/15

 

 症候性心房細動(AF)患者では、カテーテルアブレーションは薬物療法と比較して、1年後のQOLに関し臨床的に意義のある改善をもたらすことが、米国・デューク大学のDaniel B. Mark氏らが行った「CABANA試験」で示された。研究の成果は、JAMA誌2019年4月2日号に掲載された。カテーテルアブレーションは、AF患者の洞調律復帰において、薬物療法よりも有効性が高いとされるが、長期的なQOLの増分がどの程度かは、これまで不明であった。

10ヵ国126施設が参加した非盲検無作為化試験
 CABANA試験は、AFにおける2つの治療法のQOL改善効果を比較する非盲検無作為化試験であり、2009年11月~2016年4月に10ヵ国126施設で患者登録が行われた(米国国立心肺血液研究所[NHLBI]などの助成による)。

 対象は、脳卒中のリスク因子を1つ以上有する新規発症または治療中の症候性AF患者2,204例(年齢中央値68歳、男性63%、発作性AF 43%、持続性AF 57%)であった。

 被験者は、カテーテルアブレーション(1,108例)または薬物療法(1,096例)を受ける群に無作為に割り付けられた。カテーテルアブレーション群では、肺静脈隔離術とともに担当医の裁量で付加的なアブレーションが行われた。薬物療法群では、担当医の裁量で洞調律維持または心拍数調節(あるいはこれら双方)を目的とした薬物治療が行われた。

 事前に規定された12ヵ月時のQOLの主要エンドポイントは3つで、AFのQOLに対する影響(AFEQT)の要約スコア(0[完全なAF関連障害]~100[AF関連障害がない]点、患者レベルの臨床的に意義のある変化量は≧5点)と、Mayo AF-Specific Symptom Inventory(MAFSI)の症状の頻度スコア(0[症状なし]~40[最も重度な症状]点、患者レベルの臨床的に意義のある変化量は≦−1.6点)および同重症度スコア(0[症状なし]~30[最も重度な症状]点、患者レベルの臨床的に意義のある変化量は≦-1.3点)であった。

フォローアップ期間全体でも、AFEQTとMAFSIの双方が良好
 フォローアップ期間中央値は48.5ヵ月であり、1,968例(89%)が試験を完遂した。

 AFEQT要約スコアの平均値は、ベースラインでは、カテーテルアブレーション群が62.9点、薬物療法群は63.1点であった(補正後平均差:-0.2、95%信頼区間[CI]:-1.9~1.5)。治療後12ヵ月時では、カテーテルアブレーション群が薬物療法群に比べ有意に良好であった(86.4 vs.80.9点、補正後平均差:5.3点、95%CI:3.7~6.9、p<0.001)。

 また、フォローアップ期間全体のAFEQT要約スコアの平均値(84.8 vs.80.9点、補正後平均差:3.4点、95%CI:2.1~4.8、p<0.001)も、カテーテルアブレーション群が有意に良好であった。

 一方、MAFSI症状頻度スコアの平均値は、ベースラインでは、カテーテルアブレーション群が11.8点、薬物療法群は11.9点(補正後平均差:-0.2、95%CI:-0.7~0.4)であり、同重症度スコアの平均値は、それぞれ9.3点、9.3点(-0.1、-0.5~0.4)だった。治療後12ヵ月時では、MAFSI症状頻度スコアの平均値(6.4 vs.8.1点、-1.7点、-2.3~-1.2、p<0.001)、同重症度スコアの平均値(5.0 vs.6.5点、−1.5点、−2.0~−1.1、p<0.001)ともに、カテーテルアブレーション群が薬物療法群よりも有意に良好であった。

 また、フォローアップ期間全体のMAFSI症状頻度スコアの平均値(6.5 vs.8.0点、補正後平均差:-1.4、95%CI:-1.9~-0.9、p<0.001)、同重症度スコアの平均値(5.1 vs.6.3点、-1.1点、-1.5~-0.8、p<0.001)は、いずれもカテーテルアブレーション群が有意に良好であった。

 著者は、「これらの知見は、心房細動管理の決定を行う際に役立つ可能性がある」としている。

(医学ライター 菅野 守)

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コメンテーター : 香坂 俊( こうさか しゅん ) 氏

慶應義塾大学 循環器内科 専任講師

J-CLEAR評議員