バイオシミラーCT-P13は活動期クローン病に有効か/Lancet

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2019/04/11

 

 活動期クローン病患者に対し、インフリキシマブのバイオシミラーCT-P13投与はインフリキシマブ投与に対し、非劣性であることが示された。韓国・蔚山大学校のByong Duk Ye氏らが220例を対象に行った、第III相多施設共同無作為化二重盲検試験の結果で、著者は「バイオシミラーCT-P13は、活動期クローン病の新たな治療選択肢になりうるだろう」とまとめている。インフリキシマブ・バイオシミラーCT-P13は、強直性脊椎炎と関節リウマチにおいてインフリキシマブとの臨床比較が行われた後に、クローン病での使用が承認された。しかし、そのような形での承認に対して懸念があり、直接比較するため本試験が行われた。Lancet誌2019年3月28日号掲載の報告。

バイオシミラーCT-P13とインフリキシマブ投与6週後のクローン病活動指数を比較

 試験は2014年8月20日~2017年2月15日に、非生物学的治療が非奏効または忍容性がない活動期クローン病患者を対象に行われた。

 被験者を無作為に1対1対1対1に割り付け、30週時点までバイオシミラーCT-P13またはインフリキシマブを投与し、(1)その後もCT-P13を継続(CT-P13継続群)、(2)その後はインフリキシマブに切り替え(CT-P13-インフリキシマブ群)、(3)その後もインフリキシマブを継続(インフリキシマブ継続群)、(4)その後はCT-P13に切り替え(インフリキシマブ-CT-P13群)の4群とした。投与のタイミングは、初回投与後2週、6週後と、その後は8週ごとに54週まで行った。

 主要エンドポイントは、クローン病活動指数(CDAI)がベースラインから6週時までに70ポイント以上低下(CDAI-70)を達成した患者の割合だった。

 インフリキシマブに対するバイオシミラーCT-P13の非劣性マージンは、両治療群間差の95%信頼区間(CI)両側下限値が、-20%より大きいことと規定した。

バイオシミラーCT-P13群のCDAI-70達成率は69%、インフリキシマブ群74%

 308例がスクリーニングを受け、適格被験者220例が試験に登録された。そのうち111例が初回投与CT-P13群に(うちCT-P13継続群56例、CT-P13-インフリキシマブ群55例)、109例が初回投与インフリキシマブ群に(うちインフリキシマブ継続群54例、インフリキシマブ-CT-P13群55例)、それぞれ割り付けられた。

 6週後のCDAI-70達成例は、初回投与CT-P13群は77/111例(69.4%、95%CI:59.9~77.8)、初回投与インフリキシマブ群は81/109例(74.3%、同:65.1~82.2)だった。群間差は-4.9%(95%CI:-16.9~7.3)で、事前に規定した非劣性マージンに基づきバイオシミラーCT-P13のインフリキシマブに対する非劣性が示された。

 なお、試験期間中に1つ以上の治療関連有害事象発生が報告されたのは、全体では147例(67%)で、CT-P13継続群は36例(64%)、CT-P13-インフリキシマブ群は34例(62%)、インフリキシマブ継続群が37例(69%)、インフリキシマブ-CT-P13群が40例(73%)だった。

(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)

専門家はこう見る

コメンテーター : 上村 直実( うえむら なおみ ) 氏

国立国際医療研究センター国府台病院 名誉院長

東京医科大学 消化器内視鏡学講座 兼任教授

J-CLEAR評議員