CABG:内胸動脈グラフトの10年転帰、両側vs.片側/NEJM

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CABG:内胸動脈グラフトの10年転帰、両側vs.片側/NEJMのイメージ

 多枝冠動脈病変があり冠動脈バイパス術(CABG)を施行予定の患者において、両側内胸動脈グラフトと片側内胸動脈+静脈グラフトの長期予後を検討した無作為化非盲検試験(Arterial Revascularization Trial:ART)の結果、10年後の全死因死亡率の有意差は認められなかった。英国・ジョン・ラドクリフ病院のDavid P. Taggart氏らが明らかにした。CABG後の生存期間は、動脈グラフトを1本使用するより複数使用することで改善する可能性が示唆されていたが、5年時の中間解析では両群の臨床転帰に有意差は確認されていなかった。NEJM誌2019年1月31日号掲載の報告。

7ヵ国28施設で約3,100例を10年追跡
 研究グループは2004年6月~2007年12月の間に、7ヵ国28施設においてCABG予定患者を両側内胸動脈グラフト群または片側内胸動脈グラフト群のいずれかに無作為に割り付けた。適応があれば、追加で動脈/静脈グラフトを使用した。
 主要評価項目は、10年時の全死因死亡、副次評価項目は全死因死亡・心筋梗塞・脳卒中の複合で、log-rank法およびCox比例ハザード回帰モデルを用いて解析した。

 両側内胸動脈グラフト(両側グラフト)群に1,548例、片側内胸動脈グラフト(片側グラフト)群に1,554例が無作為に割り付けられた。

10年時も、主要アウトカムの全死因死亡に有意差なし
 両側グラフト群において、13.9%の患者が片側グラフトのみを使用した。一方、片側グラフト群では、21.8%の患者が橈骨動脈グラフトも使用した。2.3%の患者について、10年時の生存状況が不明であった。

 intention-to-treat解析において、10年時点で両側グラフト群では315例(20.3%)、片側グラフト群では329例(21.2%)の死亡が確認された(ハザード比[HR]:0.96、95%信頼区間[CI]:0.82~1.12、p=0.62)。死亡・心筋梗塞・脳卒中の複合エンドポイントに関しては、両側グラフト群で385例(24.9%)、片側グラフト群で425例(27.3%)にいずれかのイベントが発生した(HR:0.90、95%CI:0.79~1.03)。

 著者は、両群で差が得られなかった理由として、CABG術後の静脈グラフト失敗が確認された患者が多かったこと、2001年時点では橈骨動脈グラフトの有効性が知られていなかったこと、両側グラフト群の14%が片側グラフト使用に術式変更となったことなどを挙げ、「複数の動脈グラフトを使用するほうが、1本の内胸動脈グラフトを使用するよりも良好な転帰が得られるかどうかについて、今後さらなる検証が必要である」と述べている。

(医学ライター 吉尾 幸恵)

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要するにLAD(解説:今中和人氏)-1008

コメンテーター : 今中 和人( いまなか かずひと ) 氏

埼玉医科大学総合医療センター 心臓血管外科

J-CLEAR推薦コメンテーター

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