ヘモクロマトーシスの遺伝子変異、一般的な疾患とも関連/BMJ

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 HFE遺伝子p.C282Y変異のホモ接合体は、性別を問わず、臨床的に診断された一般的な疾患(肝疾患、糖尿病、関節リウマチ、変形性関節症など)の有病率や発生率と関連があり、鉄過剰に関連するp.C282Y変異は、早期に介入を開始すれば予防および治療の可能性があることが、英国・エクセター大学のLuke C. Pilling氏らの検討で示された。研究の成果は、BMJ誌2019年1月16日号に掲載された。欧州人家系では、HFE遺伝子p.C282Y変異ホモ接合体は、鉄過剰症である遺伝性ヘモクロマトーシス(1型)の主因とされる。鉄過剰症は瀉血療法により予防可能であり、治療が可能な場合もあるが、見逃しや診断の遅延が多いという。

約45万人で変異の有無別の罹患状況を検討
 研究グループは、英国の欧州人家系の地域住民サンプルにおいて、HFE遺伝子p.C282Yの遺伝的バリアントを有する集団(ほとんどが遺伝性ヘモクロマトーシス1型)と、p.C282Y変異のない集団で、罹患および死亡の状況を比較するコホート研究を行った(英国医学研究協議会[MRC]の助成による)。

 解析には、UK Biobankに登録されたイングランド、ウェールズ、スコットランドの22施設の2006~10年のデータを用いた。外来診断および死亡証明に基づき、40~70歳の欧州人家系の45万1,243例(平均追跡期間7年、最長9.4年)が抽出された。

 ヘモクロマトーシス変異の有無別に有病率のオッズ比(OR)およびハザード比(HR)を算出した(年齢、遺伝子配列型、遺伝的主成分で補正)。女性は鉄過剰に起因する罹患が遅れるため、男女別に解析を行った。

男性の5例に1例、女性の10例に1例以上が罹患
 p.C282Y変異ホモ接合体を有する2,890例(0.6%、156例に1例の割合)のうち、追跡終了までに男性の21.7%(95%信頼区間[CI]:19.5~24.1、281/1,294例)、女性の9.8%(8.4~11.2、156/1,596例)がヘモクロマトーシスと診断された。

 40~70歳のp.C282Y変異ホモ接合体の男性(1,294例)はp.C282Y変異のない男性(17万5,539例)に比べ、ヘモクロマトーシス(OR:411.1、95%CI:299.0~565.3、p<0.001)、肝疾患(4.30、2.97~6.18、p<0.001)、骨粗鬆症(2.30、1.49~3.57、p<0.001)、関節リウマチ(2.23、1.51~3.31、p<0.001)、変形性関節症(2.01、1.71~2.36、p<0.001)、肺炎(1.62、1.20~2.19、p=0.002)、糖尿病(1.53、1.16~1.98、p=0.002)の有病率が有意に高かった。

 40~70歳のp.C282Y変異ホモ接合体女性(1,596例)で有意に有病率が高い疾患は、ヘモクロマトーシス(OR:438.0、95%CI:247.9~773.9、p<0.001)のほかは、変形性関節症(1.33、1.15~1.53、p<0.001)のみであった。

 7年の追跡期間中に、ホモ接合体の男性の15.7%が、1つ以上の関連疾患を発症したのに対し、p.C282Y変異なしの男性は5.0%であり、有意な差が認められた(p<0.001)。同様に、女性でもそれぞれ10.1%、3.4%と、有意差がみられた(p<0.001)。

 ヘモクロマトーシスの頻度は、p.C282Y/p.H63Dヘテロ接合体の参加者のほうが高かったが、この集団では関連疾患の罹患は多くなかった。

 著者は、「p.H63Dを考慮しなければ、ベースラインとその後の診断を合わせ、p.C282Y変異ホモ接合体を有する男性の5例に1例以上、女性の10例に1例以上が、ヘモクロマトーシス、肝疾患、糖尿病、関節リウマチ、変形性関節症のうち1つ以上の診断を受けることになる」とまとめ、「これらの知見は、早期の診断確定やスクリーニングの拡大の推奨に関わる多くの問題の見直しを正当化する」としている。

(医学ライター 菅野 守)

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